序章〜2つの名刀〜
基本本人の視点で進行していきます。駄文かもしれませんが、読んでみて下さい。
−ガギィン−
鉄同士のぶつかる音が灰色の空に鳴り響いた。
俺は目の前に居る男にちょっとした感心を抱いていた。
「強いな。名は?」
「黒斬大虎(くろぎり
たいが)」
「そうか。俺は覇道龍」
「良い名前じゃねぇか」
「そいつはどうも」
俺の持つ刀は名刀に分類される。
名は『蒼龍』
刃は鉄を斬り裂き、刀身は光に翳すと蒼く輝く当に二つと無い刀である。
その蒼龍がこの男の強さに震えている。否、それだけではない。
男の持つ刀にも震えている。
この震えが臆病風に吹かれたものなのか、武者震いなのかは俺には分からなかった。
だが、そんな事はどうでも良かった。
蒼龍が震える程の刀が存在したのだから…
「その刀、名刀か?」
「よく分かったな…コイツの名は『鋼虎』これに気付いたってことは…お前の刀は?」
「蒼龍」
「へぇ〜、あの蒼龍をこの眼で拝めるとは…どうりで強いわけだぜ」
「お前が言うかよ」
「フッ…違いねぇ」
辺りが静まり返る。暫くの沈黙の後、2人同時に踏み出す。
黒斬は恐ろしい速さで俺の懐に踏み込んで来た。鋼虎の刃が俺を襲う。
蒼龍で受け、その刀身を上へ押し上げ、横腹に向かって斬りつける。
これはかわせない!
−ギィン…−
「黒斬、お前出来るな」
「そりゃ、お互い様の様だが?」
黒斬は俺の攻撃を避けきれないと判断し、鋼虎を地に突き刺して防いでいた。
即座に鋼虎を抜き去ると、今度はお返しと言わんばかりに俺の腹を鋼虎で突いてくる。
体を捻って受け流し、鋼虎の刀身を踏みつけて更にお返しで黒斬の右肩を蒼龍で突く。
利き腕である右を潰したが、黒斬は鋼虎を左手に持ち替えて右手で蒼龍の刀身を掴んだ。
俺はとっさに距離をとろうとした。が、それより速く鋼虎が肉を斬り裂いた。
「ぐはぁ!」
「残念…両利きなんだよ」
俺は地に伏せ、絶賛出血中の腹を手で抑えた。
痛みに苦しみながら、横目で黒斬をチラリと見る。
黒斬は肩に刺さった蒼龍を抜くと俺に投げた。
「さぁ…立てよ。
決着点けようぜ」
先に立ち上がった黒斬が、俺に立ち上がるよう促してくる。
「これで…幕引きだ」
言って俺はヨロヨロと立ち上がり、蒼龍を拾い上げた。手に力を込める。
そして、黒斬より少し遅れて走り出す。
「秘剣・大獣爪!」
鋼虎の刀身が巨大な爪と成り、襲い掛かってくる。
「必殺剣・蒼天波!」
蒼龍を蒼白い光が覆い、光り輝いた。
2つの剣技がぶつかり、辺りは白い光に包まれた。