『山のデクのぼう』政おとぎ話
#小泉構文
「国防というものは国を守ることだと思うんです。つまり、守るべきものを守る。これが、防衛において最も大切な守りなんです。」
むかしむかしあるところに、
農道をとろとろとさまよう木偶の坊がおりました。
荷車にもなれず、馬にもなれず。
たまに道の真ん中で止まっては、空を見あげてヘタな歌を口ずさむだけ。
今日も飛ぶ鳥を見つめながら、のどかな道をさまよいます。
村の民は指をさして嘲笑いました。
「何の役にも立たぬ」
「邪魔なだけだ」
皆に嘲笑されても木偶の坊はのんびりとした笑顔を絶やしませんでした。
叱られても、嘲笑われても、
自分が何者か思い出せぬまま。
そんな木偶の坊を見かねた殿さまがある日家臣に命じました。
「――あれを、海へ連れていけ」
家臣は色めき立ち、民はさらに嘲笑いました。
「殿さまは海に沈める気だ」
「とうとう始末されるのだ」
家臣たちに手を引かれる木偶の坊を見て、民たちはまた嘲笑いました。
「やっと村の邪魔者がいなくなる」
「見ろ、笑顔が消えた」
「“うつけ”でも海の恐さは分かるようだ」
そして。
バッシャーーーーン
殿さまの命令で海に落とされた木偶の坊。
彼が沈む様を見にきた民たちの前で、、、
木偶の坊は沈みませんでした。
海の上にどっしりと構えあたりを見渡しています。
木偶の坊は思い出していました。
――空の鳥を捉える知覚
――水平線を見据える鋭い目
――海を割る強固な身体
自分は、“護る”ために造られたのだと。
木偶の坊はもう歩きません。
ニコニコと無邪気に笑いません。
彼はあるべき本分を取り戻したのです。
民や家臣たちはその変わりように戸惑っていました。
その中で殿さまだけはニコニコと笑っています。
水平線の向こうに敵の姿が見えました。
民を敵から護るため。
海にもどしてくれた殿さまに報いるため。
山では石を投げられた木偶の坊、
“イージス艦”は敵目掛けて海を疾走りだしました。
#覚醒進次郎




