第九話 最期
「どうしたんでしょう」
ミルセンの元に、レアナが現れる。
「わたし昨日から、体の調子が変なんです」
「変とは一体どういうことだ」
「私、昨日から体が変なんです」
そう言うレアナ。その体はやせ細っている。
「昨日から喉の渇きが止まらなくて」
レアナはそう言ってその場に倒れた。
そこからレアナの懸命な治療が行われていくが、中々体は回復しない。知っ職は悪くなり、顔を青くなっていく。
「これは一体どういう事なんだ」
ミルセンは叫ぶが、答えなど帰ってこない。
「まさか、ルリアのやつ」
そう言って、歯をぎりぎりと噛む。
「ミルセン様……」
「必ず、ルリアは止めるから、私がお前を助ける」
そう言った瞬間、ミルセンにも異変が生じた。
身体が重く、のどの渇きが止まらない。
「呪いを蔓延させたのか」
ミルセンはそう呟く。
そこからは死までが大変だった。
喉の渇きは収まらずずっと幻覚が見えていた。
ルリアだ。ルリアが許さないと、自分に言っているのだ。
「すまなかった。何が欲しい」
何も返ってこない。
「何が欲しい。何でもやろう」
何も返ってこない。
「何なんだお前は、何が望みなんだ」
何も返ってこない。
「私の命が所望なのか」
その言葉を最期に、ミルセンは亡くなった。
ミルセンらの命が終わった。
彼ら彼女らは、命を失った。
そう、ルリアの魔法によって。
惨めに、部屋の中で水分が減って行った。そして、部屋の中で静かに息絶えた。それこそがルリアの決めた復讐だった。
二人の苦しむ最期、それこそがルリアの決めた復讐だった。
「これはどういう事なんだ」
セルギスが中へと入ってくる。
「ルリア、これは一体」
「セルギス様、戦争にならない様に上手くしておきました」
ルリアはそう答える。
その言葉にセルギスは言葉を失う。
「これが君の決めた復讐なのか」
「ええ、私は許せなかったの」
「俺はそのために君を聖女にしたかったわけじゃない」
「分かっています」
ルリアは頷いた。
「だから、セルギス様には言わなかったんです」
セルギスは必ず自分を止めると思っていたから。
「それがお前の幸せなのか」
「ええ」
ルリアは頷いた。
ルリアにとっては、復讐出来たこと、そして今聖女の力で国に焼く立っていることが嬉しい。
帝国もあんな馬鹿皇太子が一人死んだところで、誰も戦争なんかしてこないだろう。唯一戦争をしてきそうな男はもう死んだ。
これにて世界が少しだけ平和に傾いた。
「なら構わないんだ」
そう言ったセルギスはルリアを抱いた。
「お前なら何をしてくれてもいい。そう思っているからな」
そしてセルギスはもう一度ルリアを抱いた。
「っ私は」
あれで正解だったのだろうかと、今も思っている。
だけど、ルリアはもう迷わない。今もう手を汚してしまった。
だからこそ、聖女の力はもう人を殺すために使わない。人を生かすために使う。
そう、ルリアは決めたのだ。
それから聖女として国のために力を尽くし、民を守りつくした。
そして、王妃としてセルギスも支えた。
歴代最高の聖女となったルリアは今も歴史に名を残している。




