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聖女失格と言われ、投獄された少女、隣国の王太子に拾われ聖女として覚醒する  作者: 有原優


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第6話 覚醒

「じゃあ、今夜お願いします」


 ルリアはそう言った。


 そう言ったものの、ドキドキする。

 ルリアは処女だ。そんな経験がない。


 まるでベッドに向かうのは死刑台のよう。

 しかし、何よりも嫌、という訳ではない。


 相手は相手はセルギス。ルリアの知っている相手だ。

 それに、完全に拒否感があるわけではない。

 それに、避妊もしている。


 これで、聖女の力を得られるのなら、それは万々歳だ。


 だけど、それなのにどきどきするのは、自分が性行為についてほとんど知識が無いからだろう。


 だが、自身のやることを明確化し、脳に焼き付ける。

 そうすることで、不安な気持ちも少しはまぎれると言ったところだろうか。


 自分がこれからする行為を考えれば、言語化したらそこまで大したことではないのではないか。

 そもそも、子作りという行為なのだ。


 決して、ふしだらな行為ではない。それに、子どもも出来ない。

ただ、互いの体を合わせるだけなのだ。


 そしてその時がついにやってきた。

 ルリアは先以てベッドに来てそっと寝転がる。

 服はちゃんと脱ぎやすい寝巻を着ている。

 セルギスが来たら準備は完了だ。


 元々ルリアは死刑される運命だった中、セルギスに救われた。

 聖女の力を置いといても、セルギスに報いるために、捧げるべきなのだ。

 自分の処女を。


 そしてセルギスがやってくる。

 その瞬間部屋に香ばしいムードがあふれ出す。

 二人は唾をのんだ。

 しかし、その場にあふれるのは、即座に変わっあt。初心な振Ýたりだ。

 互いに性行為なんてしたことが無い。

 それに、子どもが欲しいとかではなく、聖女になれる可能性を探るための、処女喪失のための性行為だ。


「行くぞ」

「ええ」


 そして二人は――




 翌日。ルリアは隣に寝ているセルギスを見て実感した。

 自分が実際に先日この人と繋がったのだと。

 ルリアは体の中の聖女の力を意識し、外に押し出す。すると、力が溢れて来る。


 これって。


 ルリアはそう呟き、水を出す。

 すると、あふれんばかりの水が飛び出し、ベッドがびしょびしょになった。


(やっちゃったわ)



 ルリアは即座に思う。その後すぐさまセルギスがんぐっと目が覚める。


 そしてせき込む。水を口に含んでしまったのだ。



「何だこれは」


セルギスがルリアを見やる。


そして、ルリアは一瞬セルギスを見つめた後、


「えっと、そのごめんなさい」


 ルリアは頭を下げて謝った。

 その瞬間セルギスは気づいた。この水はルリアが生み出したものであると。

 この水を生み出し、そしてこの出量。

 初めての魔法でこうなるとは思えない。それも、聖女の力なしには。




 という事は――




 セルギスはルリアの目を見る。



 ルリアは照れ隠しに自身の髪の毛に触れた。

 

 それは、YESという意味であることは誰の目にも明らかだった。


 

 セルギスは遠慮なく、ルリアの手を取り、「やったな!!」と、まるで自分のことかのように喜んだ。


 そしてそのまま、セルギスはルリアを抱きしめた。


 そして――





「ルリア、本当に公表していいのか?」


そう、聖女であることをだ。もし聖女だと分かったら、国のために色々尽くさなければならない。

 そうなればルリアが聖女としての務めをしなければならなくなる。


 


「ええ。私の目的は、あの人たちに赤っ恥をかかせるためですし、この国で活躍すればそれはかなうでしょう。それに私は自分の力を生かしたいんです。この国に、セルギス様に貢献したいです」


 ルリアは、聖女の力を隠すことなどしない。そ

 れにまだ数日しかいてないが、すでに理解している。

 この国に、ルリアに聖女であることを理由に、冷たい発言をするような人はもういないという事を。

 だからなのだ。ルリアがこの場に立ったという事は。


 ここには大臣や騎士団長等々国を支える人たちがいる。

 その中でルリアは言った。


「私は聖女として今までずっと魔法が出ずに苦しみ、偽聖女として断罪されたこともあります。しかし、こちらにいるセルギス様のおかげで、私は第二の人生を歩むことが出来ました。おまけに、聖女としての力にも目覚めました。渡すあこの国に来て人生が人生が変わりました。私はこの場のみんなに感謝をしたいと思います。私を入れることを考えたセルギス様、そして私を受け入れてくださったこの国に感謝をいたします」


 そう言ってルリアは頭を下げた。


 ほとんど自身の本心だ。だけど、一部本心ではないことがある。

 この国に恩返ししたいというのには、あの国への復讐という意味を持っている。

 ルリアは聖女ではあっても、聖人ではないのだ。


(この力で、あの人たちを見返してあげるわ)


 ルリアは胸の高まりを感じた。

 自身の躍動の時だ。


 とはいえ、物理的に報復するという訳ではないのが悔しいところだが。


 その翌日。

 その知らせが祖国の方に流れる運びとなった。


「何だこれは」


 ミルセンは床を叩いた。


「聖女の力が遂にだと、ふざけるな。飛んだデマ情報を流しやがって」


 明らかにいらいらとした様子の、ミルセン。

 なぜ、売り払った直後に力が覚醒しているのか、理解が及ばない。

 こんなのではだめだという気持ちがミルセンの中で芽生える。

 本当に嘘にしろ、この騒ぎを放っておいては、帝国にとってマイナスでしかない。

 早く手を打たなければ。


「どうしたんですぅ?」


 レアナが調子よさげにミルセンに話しかける。


「それは……」


 レアナがミルセンの手にしている報告書を手に取ると、イラっとした様子で地面を踏みしめる。


「こんなの認められないわ。なんであの無能が」

「俺も同じ気持ちだ。おそらくこれは嘘だろう。だけど、これをこのままにしておくわけには行かない。あいつの元に行くぞ」

「それはいいですわね。いい旅行になりますし」

「もしそれで快い結果が得られなかったら戦争しかないだろう」

「ええ、そうですわね。あたしは絶対にあの無能が聖女になったとは信じたくはありませんが、奴をのさばりにして置いたら、私とミルセン様の婚約計画は阻止される」

「ああ、絶対に許せん」


 そう、ミルセンは怒りに満ちた表情を見せた。




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