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ダンジョン学園サブカル同好会の日常  作者: くずもち


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第46話セーフエリア

「ここが50.5階。セーフエリアです」


「「…………」」


 絶句。


 この場所に二人を連れて来た時の反応はまさにそんな感じだった。


 後日準備が出来たことを伝え、僕は一気に50階に二人を連れていった。


 それだけでも十分インパクトはあったが、その下の階層に我らがサブカル同好会の同志達を案内すると、とにかく広い草原と泉のある階に到着した。


 そしてこの階層はダンジョンの普通の階層とは全く違うのだと攻略君は教えてくれた。


「ここにはモンスターもいないし、泉の水を飲んだらどんなけがでも回復してくれます。つまり……ダンジョンの休息階層なんですよ」


「ほわー……ダンジョンにこんな場所があったなんて。最高じゃない?」


「セーフゾーンは知っているでござるが……セーフエリアとは……いや確かにここをうまく使えば、捗りそうでござる」


「そうね。階層にたまにあるセーフゾーン、地味につらいのよ。だいたい部屋だから人が集中すると狭くてね」


「そうでござるなぁ。見つけたらみんな中で安心したがるから混むんでござるよな」


 しみじみと授業を思い出して、語る二人が言うように、大人数でセーフゾーンを使うことが多い人間ほど、そんな不満は持っているはずだった。


「その点一階丸ごと安全地帯ってちょっとスゴイ。攻略する人間が0ってことを除けば可能性を感じる」


「……そこ大問題ですよね。もったいない」


 しかし。例年通りなので誰が悪いとかはないんだ。


 ここまで来た猛者達を労うためのエリアは今もなお利用されることを待っているというわけだ。


 だがそれも今日で終わりだった。


 今は回復のための泉以外何もないが、逆に言えば何でも好き放題出来そうなポテンシャルを秘めていると思う。


 浦島先輩と桃山君は、すさまじく広い草原を見て回りながら、それぞれ意見を交わしていた。


「ふーむ。かなり深いし、絶対誰も来ないわよね? ここをホームにして活動って言うのも面白そう」


「そ、そうでござるな。しかし50階なんて未知の領域過ぎて、訳が分からないまであるでござる」


「住む場所はテントになるから常にキャンプ状態でしょ? 二・三日ならともかく長期はきつそう」


「確かに……拙者達どう考えてもアウトドア派ではないでござるし」


 みんなでウームと唸る。


 本格的な探索者になれば、深く潜れば潜るほどダンジョンの中での野営は基本技能になってくる。


 しかしだからと言って、積極的にやりたいかと言えば全然そんなことはなかった。


「そうですね……ああ、いやでも、……それどうにかなるかもしれません」


 ただ、僕にはその辺り不確定だが秘策もあった。


「どういうこと?」


「いや。実はここに家を建ててみようかと。そういうジョブがあるんです」


 触ってみなければわからないことも多いが、浦島先輩的には即採用案件だったようである。


「……採用。それ取りましょう。……取れるのよね?」


「はい。ちょっとまだ条件を達成してませんけど」


「そうなんでござるか? そのジョブなんて言うんでござる?」


「ああうん。そのジョブはカーペンター……まぁつまるところ大工だよ」


「「そんなのあるんだぁ」」


「サポートジョブというらしいです。メインとは別に取得出来るジョブは特殊条件で取得するんですよ」


 いや僕も聞いた時は耳を疑ったからね?


 でもこいつを習得すると、ダンジョンの中で消えない建築物を作ることが出来る、非常に使い勝手が良さそうなジョブだった。


「それにしてもいろいろ見越してやってんだね」


「そうでござるな。感心したでござるよ」


「いや……まぁそんなに考えてはいないんだけど」


 僕自身は何にも考えてないけど、たぶん攻略君がその辺調整してますね。


 胸の奥でわずかに感じるドヤ感がその証明の様な気がした。

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― 新着の感想 ―
他の人が必死に50階ボスを討伐して、自分たちが一番に51階層に到達した!と思って階段を降りると目の前に立派な家が立っていた場面を考えたら、めっちゃ面白いわ笑 現実でいう剱岳初登頂のミステリーみたいにな…
部室を守るために頑張ってたら別荘が生えそうです
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