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ダンジョン学園サブカル同好会の日常  作者: くずもち


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第45話クロハナサクヤ

 地上に戻った僕らは、生き残ったことをまず喜んだ。


 そして僕は改めてひょうたんを桃山君へとプレゼントすることにした。


 というかひょうたんは元々彼の物だから返したと言うのが適切かもしれない。


 ひょうたんはとても物騒な中身入りではあるが……攻略君曰く、そいつは心強い仲間にもなりえるのだという。


「封印された精霊とは契約出来るんだ。契約するとその精霊の力を借りることが出来る」


「契約って何でござる?」


「君の魔力で雇う感じ。そして精霊に名前を付けるんだ。その時魔力を流して相性がいいと契約してくれるよ」


「……相性が悪かったら?」


「そのまま消えちゃう。いや帰っちゃう」


 そこには多少運の要素が絡むが、やってみること自体にリスクはない。


「ふむ……じゃあやってみるでござるよ」


 桃山君は恐々ひょうたんを受け取って、手のひらから魔力を流した。


 どうやらやってみる気になってくれたようで、彼もまたチャレンジャーだ。


「名前は……じゃあ、クロハナサクヤ」


「ああ、なんかそういう名前聞いたことある。神様だっけ? 響きがかわいいよね」


「ちょっともじってみたんでござるよ。どうでござる?」


 桃山君は半信半疑ながらもひょうたんに話しかけてみると、飲み口から黒い桜がニョロリと出て来た。


「……気に入ったみたい?」


「そ、そうなんでござるね」


「とりあえずこの先ひょうたんが住処になるから、ダンジョンに潜る時はどこかに持っておいて」


「そうでござるな。うむ……よろしく頼むでござるクロハナサクヤ」


 クロハナサクヤは桃山君の言葉に微かに枝を揺らしたように見えたが、何を考えているのかまでは僕にはわからなかった。




「ではこれで契約は完了ってことで。じゃあ、明日は浦島先輩も交えて50階達成記念と、お披露目かなぁ」


「おめでとう……でいいんでござるよね? とても踏破したという感じではなかったような気もするでござる」


「いつでも50階に行けるようになったってことが重要じゃないか桃山氏。それにだ。実は―――50階は特別な階なんだ」


「そうなんでござるか?」


「そうとも。まぁ楽しみにしておいてよ」


 攻略君情報ではこの区切りのいい階層にはとても便利なものがあるという。


 僕も話を聞いて本当ならとても便利になると、楽しみにしているところだ。


 そして初見の感動をみんなで味わうのも楽しそうだと思っていた。


「あとは50階までを歩けるようにレベル上げとか、スキル厳選とかあるだろうけど……まぁそれはおいおいだね」


 だが現状、かなり不安定で危険が多いのは間違いない。地盤を固めるのはここからだった。


「いやぁ本当に……何者なんでござるか? ワタヌキ氏?」


 ついという風に、桃山君は尋ねてくる。


 しかし僕自身は大した者では断じてなかった。


「まぁ……歩く攻略サイト? とでも思ってくれたらそれでいいよ」


「ハハハ……意味わかんないでござるよ」


「だよねぇ? 僕もいまいちわかってないから、あんまり深く考えない方がいいよ」


 詳しく紐解くなら攻略君の秘密を突き詰めなければならないが……知ったところで僕自身が大したことがないから、何が出来るわけでもなさそうだというのが僕の正直な感想だった。


 この攻略君が常軌を逸しているのは、もう疑う余地はない。


 しかしうっかり踏み込み過ぎたら、ひどい目に遭いそうな予感はあった。


「……まぁもう手遅れな気はするけど」


 ともあれ選択に悔いがないなら、それは言わぬが花である。

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― 新着の感想 ―
桃山氏の和風な感じいいなぁ かっこいい
この主人公馬鹿な上にお人好しすぎるわ。まずは自分からやろ
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