第4話なるほどこれが主人公か
「俺は一年以内にギルドを作って、ダンジョン攻略目指しています! 我こそはと言う人! 大歓迎なので一緒に頑張ろう!」
なるほど。主人公っぽい。自己紹介の名前とよろしくお願いしますパターンに変化球を投じて来た辺り大物である。
攻略君曰くこの時の彼が一番、強い運命を背負っているようだ。
まさか同じクラスだとは……こいつはビックリ仰天である。
とてもアグレッシブな自己紹介をかました彼がまさか一番主人公してるとは。
しかし、まぁわかっていればこちらのもの。
何かとんでもない事件が起こったとしても、巻き込まれなければ大丈夫だろう。
さて今日も僕はまったりとダンジョンに潜るわけだが、毎日潜っているとさすがに受付の人には顔を覚えられてしまった。
「いつも頑張ってますね」
「いや、それほどでも……大したことは出来ないんですけど。ダンジョンは好きですよ」
「そうですね。ダンジョンに潜ってみるだけでもいい経験になります。でもパーティを組んだ方がいいですよ? 危ないですし」
「いえその……最初に出遅れてしまって、実力の合う同級生がですね……」
「あっ……でも立派ですよ。毎年そういう子はいますけど、早々に諦めてしまうので」
「……ありがとうございます」
最初の「あっ」が気になるんですけど? まぁいいけど。
何も問題はない。すべてはこれでいいはずである。
一階層の探索も何度も通ってくると狙いのモンスターを倒す手際も上がって来た。
同級生はとっくの昔に下の階層に行っていて、顔を合わせる事なんてほとんどないのもむしろ好都合だ。
ポコポコと倒しているのは、丸っこい豚型モンスター。こちらは生命力が強く打たれ強いが、豚肉がジューシー。
そしてもう一種はカニ型のモンスターだ。
でっかい鋏を持っていて、パワーは侮れないが倒すとおいしいカニ肉が食べられる……最高のモンスターである。
「モンスター食って人気ないんだよな。めっちゃおいしいのに」
『それは私の攻略情報のおかげじゃないか。無毒化しなきゃ普通は腹を下すさ』
「やっぱ誰も知らないのか……すごいな攻略情報」
『だろぅ? リポップポイントと、効率よく倒す方法も普通は知らなきゃ気づかない』
「それは確かに」
普通なら、決まったモンスターを広大なダンジョンの中で狩り続けると言うのは大変なことだ。
しかし攻略君情報を頼りにすると、こうやって可能になる。
「まぁ1000匹は普通に大変だけどね」
『そこはもう頑張ってもらうしか。最大効率でやってるからそんなに時間はかかんないよ。後になればペースも上がるから』
「ペース、これ以上上がるかなぁ。前にレベル上がったのいつだっけ?」
『まぁ雀の涙なのは間違いないけれどもね』
「……」
それまでに一階とはいえダンジョンだ、レベルが低いうちに何かの拍子に死ななきゃいいけどなんて後ろ向きな予想も頭をよぎるが、言葉にすると怖くなるのでやめておいた。




