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ダンジョン学園サブカル同好会の日常  作者: くずもち


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第38話30階層守護者の脅威

 僕は毎度おなじみ階層をぶち抜く全力疾走の後、30階ボス階層にやって来た。


 この階層のボスはスライムらしい。


 普通のスライムはゼリー状の体をしていて、分泌される溶解液で攻撃してくる厄介なモンスターとして知られていた。


 炎に弱く、コアを砕くことで倒すことも出来るが、金属製の武器は腐食するから倒すたびに手入れをしないとひどいことになる嫌われ者である。


 僕もモンスターとしてのスライムは知っていたが、攻略君曰く階層守護者のスライムは他のモノとは性質が異なるらしい。


 そして僕は意を決して扉を開けると、到着するなり部屋の中にビッシリと滴る緑のスライムと遭遇して、顔を顰めた。


「なんだろう……服だけとかしてエッチなことをしてきそうなスライムだ」


『どこでそんな偏った知識を仕入れてくるんだい。触ったら秒で骨まで溶かされるから絶対触っちゃダメだよ?』


「……御意」


 おっかないスライムもいたもんだった。


 マスコットで最弱のスライムを見習ってほしいものだが、そんなオタクに優しくないスライムと今から殴り合わないといけないと思うと怖くて泣きそうだった。


『バイオスライムは普通のスライムと違ってとても小さな微生物型のモンスターだ。強力な酸の液体に住んでいて自在に操って来る。そいつをある程度死滅させると30階攻略になるんだが、魔法でそれをやろうとするととても大変だ』


「確かに大変そうだね」


 本来なら魔法をフル活用して、すべてを焼き尽くすのがこのスライムの攻略法というわけだ。


 弱点の属性を突けばより効率的になんていうのはよくあるギミックだと僕は納得した。


『だけど、君が用意したこの大量の洗剤をぶちまけると……あら不思議』


「おっと? 通販番組みたいな流れだね?」


 僕はなんとなく察して、アイテムボックスから大量のポリバケツを取り出し、セット。


 端から順番にぶちまけていった。


 するとどうだろう? 液体に触れた瞬間、バイオスライムは緑色から透明になって、一気に崩れ始めた。


「……」


『このように。こいつらは強力な酸の中でしか生きられない。中和完了だよ』


「……こいつはヒデェや」


『なぜだね? 見事な効率だろう? ああ、じゃあ急いで透明になった所からかき混ぜ棒とかブラシで混ぜて混ぜて。界面活性剤がいい仕事をして、倒す時間が短くなるよ』


「まさかのメインウエポンかこれ……」


 攻略君の言う通り、僕はかき混ぜ係に終始徹して5分後、バイオスライムの完全中和に成功した。


『攻略完了だ。お疲れ様』


「なんだろう……ダンジョンを攻略したというより、風呂掃除をした気分だよ。爽やかな洗剤の匂いが最高だよ」


『ああ。言い得て妙だ。ちなみにめんどくさいからといってただの洗剤だけでやると失敗するから覚えておいてね。アレでスライムは魔法抵抗力が高い。あのひと手間で魔法的なガードを邪魔してるんだよ』


「あー……うん。友達とやる時は気を付けるよ」


 やっぱり攻略君の本気の攻略はちょっと趣が違う。夏休みの自由研究みたいな受け答えをしてしまった。


 まぁ死闘を繰り広げたいわけではないので歓迎なんだけど、……釈然としない所がある自分も否定したくなかった。

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― 新着の感想 ―
アルカリ性洗剤が塩素系だと酸性と反応して塩素ガス発生してヤバい
海藻の灰を混ぜ込んだ洗剤を高圧洗浄機とかで吸い出して散布できるならもうちょい短縮できそう(効率厨)
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