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ダンジョン学園サブカル同好会の日常  作者: くずもち


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31/116

第31話撮影した動画を見てみよう

「ちょいちょい扉開けて―」


「はーい」


 僕が声に応えて部室の扉を開けると、大きな段ボールを抱えた浦島先輩が立っていた。


「はいはい。お疲れさ……なんですこれ?」


「パソコンパソコン」


「パソコンですか!」


「おおー! どうしたんでござるかコレ!」


 つい僕は目を輝かせ、浦島先輩はドヤ顔で机の上に段ボールを下ろした。


「ふぅ。パソコン室で払い下げるやつもらってきたんよー。型落ちだけど結構いい奴だって。グラボもソフトも中々いいの入ってる」


「おおおお……すごいじゃないですか!」


「いいんでござるか? そんな高そうなの?」


「まぁなんか色々あるんでしょう。移り変わり早いからねこういうのは」


 どんな交渉すれば貰って来られるのかはわからないが、なんにせよこれでやれることはグッと広がった。


 しかしまさかこんな同好会の一室にパソコンがやって来るとは、またこの部室の魅力がアップしてしまったようである。


「でも、ちょっと調子悪いんだってさ。修理出来るなら全然使っていいって話だったんだけど……ワタヌキ君、確か行けたよね?」


「もちろんやります! ちなみに修理費は部費で出ます?」


「出ないねぇ。そもそも部費なんて存在しないねぇ。自腹、割り勘でいけたらいいんだけど」


「……やったりましょう。ポーション狩ってくればすぐですよ。実際使えそうですし。しかし……なんだって急にパソコンを?」


 僕はそう尋ねると浦島先輩はニヒルに微笑み、親指を立てて言った。


「動画編集……したいんでしょ?」


「う、浦島先輩……最高です」


「フッ……ホレるなよ? ワタヌキ後輩」


 やだ、この先輩最高にクールだ。


 浦島先輩は段ボールから出したそれをペチリと叩いた。


「ここ数日で私も完全に腹が決まったわけさ。言いたいことがないわけじゃないけど、レベルも上がったしね。……言いたいことがないわけじゃないけど」


「いや……まぁ、なんかすんません」


「いいのよ。得難い経験だったわ。で、協力の第一手がこれというわけよ。私も……自室以外で作業出来るとそれはそれで捗るでしょうし……まぁ元々払い下げのPCは狙ってたよね」


「あー狙ってたんですね」


「じゃなきゃこんなすぐ手に入るわけないでしょ? 切っ掛け、切っ掛け。じゃあさ、世紀の大発明の記録を確認しようぜ? 見てたよドローン。飛んでるだけでも驚きだったけど、撮影までちゃんと出来たら……まぁやるしかないでしょ」


 そこはちゃんと見られていたか。


 言い出した僕も、まぁ自作だけに気になっていたんだ。


 さっそくパソコンのセッティングをして、状況を確認するとやはりすぐには動かない。


 電源がつかないとなるとこいつは手こずりそうだった。


「……ちょっと、パーツ買って来なきゃですね」


「そっかー……じゃあ、動画だけでも確認しとく? スマホでいけるかな? なんか特殊なんでしょ?」


「データは普通と一緒ですよ。観るだけならたぶん……」


「おお! じゃあさっそく観てみるでござるよ!」


 僕らはドローンの画像データをみんなで確認してみることにした。


 しばし、顔を突き合わせて鑑賞。


 しかし改めて観てみると……大きな誤算も一つあった。


「これはひどい……」


「はたから見るとえっぐいでござるな」


「なぜここを撮影しようと思ったのか?」


 いや、誤算でも何でもないか。


 変な格好をした三人組が、順当にモンスターに群がられるやばい絵だ。


 しかも沼に沈みかけのモンスターをぶん殴って止めを刺している。


 ちょっといつもすごいスピードで沈む金色のやつが見たかっただけなんだけど、なんでこんなことに……。


 僕らはそこに映っているヴァイオレンスな映像をしばらく眺めて、同時にため息をついた。


「うわぁ。これはお蔵入りじゃない? ……人類初のダンジョン映像なのになぁ」


「一発目でこれはかっこ悪いでござる……」


「それに方法が裏技過ぎるわ。これは出さない方がよさそう」


 撮影成功は喜ばしいが、お蔵入りは満場一致で決定だった。

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― 新着の感想 ―
いいじゃん! この動画からファンになる人いるかもしれんじゃん! この沼に沈める動画に視聴者も沼らせて、同好会の経験値(スパチャ)にしようぜ!!
封印されしレコード・ゼロが生まれてしまった
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