第308話聖属性だったよ
「あっぶなぁー……」
戦闘の末、無数に湧き出したスケルトンがメドゥーサに絡みつき、指一本動かせないほどにガチガチ拘束した。
しかし人に近くなったというのにパワーはしっかりモンスターのままで、抑えるのも一苦労のようだった。
「姿を変えることには成功したけど。行動と性能は変わんないのか……弱体化はしていないんじゃない?」
「石化の呪いは健在でした。解かないんですか?」
スケルトンに魔力を注ぎ、メドゥーサを動けなくしたレイナさんは一息ついてそういうが、それをやってしまうとちょっとまずい。
「もう一回やれば解呪できるかもしれないけど……モンスターから武器一つ奪ってなんかメリットあるかなって」
「……武器が減るのはマイナスでしかないですね」
「それにテイムする条件が、この魔眼の封印なんだよね」
僕はその手段として準備してきた魔眼殺しの目隠しを取り出すと、全員が騒然となった。
「ま、まぁ必要ですよね……目隠し」
「そうでござるな……呪いを封印しないのは危険でござるし」
「じゃあ……シノがテイムしますか?」
「それもいいけど……私、100階で相当テイムモンスター増やしちゃったからね、他にいなかったらってことで。桃山後輩どう?」
そう振られると、桃山君は首を横に振った。
「拙者はー……ああ、無理でござるな。蛇でも獣系ではないってことでござろうか?」
「おお? なんか意外。じゃあレイナさんもダメ?」
「ダメですねぇ。ネクロマンサーの領分ではないみたいです」
レイナさんも非常に残念そうに肩を落としていた。
「じゃあ、ワタヌキ後輩は?」
最後に僕に回って来て確認すると、予想外に大丈夫だった。
「僕……行けそうですね」
「! え! マジで? 意外!」
驚く浦島先輩同様、僕も何だか意外だけど、聖騎士のテイム枠で行けそうである。
解呪したメドゥーサは聖なる感じなのかな?
僕は確認のために自分を指差す。
とりあえず桃山君とレイナさんは頷いて、浦島先輩は名残惜しそうではあったが頷く。
ならばと僕は魔眼殺しを拘束されて暴れるメドゥーサに装着しようと手を伸ばした。
でもなんというか……とても気まずい空気は気のせいではなかった。
「これ、やばいですね……何とは言いませんが」
「確かに……写真撮っていい?」
浦島先輩? お願いだからやめて?
ここにきて姿を変化させた弊害が顔を出したみたいだ。
これはもたもたしていると良くないみたいである。
「さっさと終わらせましょう……いますぐに!」
「ワタヌキ氏! ファイトでござる! ……正直絵面がヤバいでござる!」
「……そうかなとは思うけれどもね!」
僕はさっさとメドゥーサに目隠しをギュッと装着すると、途端にメドゥーサは大人しくなる。
これでテイムは完了である。
「じゃあ……スケルトンひっこめますね」
レイナさんが慎重に一旦拘束を解いても暴れる様子はない。
じっとこちらの気配を窺っている感じは仲間になりたそうにこちらを見ていると言ったところだった。
「テイム……完了ですかね?」
「……たぶん。OK」
はぁーっとようやく流れる安堵で今回のバトルは終了だった。
ただ絵面はともかく、一人のテイマーとして浦島先輩は随分感心してメドゥーサを観察していた。
「こういうパターンもあるんだねぇ。結構ハードル高くない? 魔眼の封印って」
「そうですよ。都合よくそういうアイテム持ってないといけないですからね」
狙ってやろうとすると相当前知識が必要になるタイプのテイムだと、浦島先輩も察していたようだった。
「はーやっぱそうか……ここに来てテイムも奥が深いなぁ。なんか一人じゃ手に余る感じはしたんだよ」
「そうなんですよね……。まぁ、あんまり割には合わないです」
とはいえせっかく仲間にしたのなら盾の完成度をより高めるために実験に付き合ってもらうのもアリだろう。
一段落して僕はしかし、どうにもまた神々しい美人さんが仲間になったものだとそこはかなり……主に仲間の目が気になるところだった。




