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ダンジョン学園サブカル同好会の日常  作者: くずもち


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第245話浸食系攻略法

「ゴーレム! ここは任せた!」


「GO」


 巨大ゴーレムを召喚し、後を任せた僕らは開かれた道を走る。


 何だかいつも通りの展開に、桃山君が笑い声を漏らした。


「やっぱり走るんでござるな! ちょっと安心するでござるよ!」


「そりゃあ走るよ! まともに相手してたら体力がいくらあっても足りない!」


「でもさ! このやり方って、ちょっと被害大きくなるんじゃないか!?」


 龍宮院先生がしかし、強行突破に近い戦闘に不安を漏らしていたが、ここだけは強引にこじ開けるしか方法がない。


「いや! 時短テクニックです! 御覧の通り戦場は平野! 隠れてコソコソするにも限度があります!」


「そうだね!」


「だから最短最速で! この階層! 被害を抑えるにはスピードが命です!」


 大魔法で出来た道をまっすぐ城まで駆け抜ける。


 そして本体である僕らが城を攻略している間、この大群の相手を僕らのテイムモンスターにお願いする。


 しかしその場合、僕らのテイムモンスターには大きな被害が予想されるが……僕とて、被害を極力抑える手段は講じていた。


「……そしてここから浦島先輩の所のモンスターが特に大いに活躍します」


 この時のための準備は僕らが直接やったわけではない。


 テイムモンスター達がコツコツと集めて来た、日々の準備の賜物だった。


 僕とてモンスター達に、売れない売店の店員ばっかりやらせていたわけじゃないのである。


「テイムにはいろんな方法があるんですよ。 中にはアイテムや素材を使えば済むものもたくさんあるんです」


「それっていうと……まさか」


 言葉を詰まらせる龍宮院先生だが、おそらくはそのまさかだった。


「テイムに何が必要かわかっていれば、準備もできるでしょう?」


「そういうことですよ! 先生! つまり! 私の真の大活躍はここからってことですよね!」


 踏破したあらゆる階層からかき集めていたアイテムの中には、モンスターをテイムできる素材が大量に含まれている。


 そしてそれはもちろんこの階層にいるモンスター達にも効果のあるものばかりで、今回そのアイテムを持っているのはモンスター達だ。


 テイムモンスターがテイムしたモンスターは主人のテイムモンスターとしてカウントされる。


 つまりテイムに制限がない浦島先輩の独壇場である。


「アイテム使用系のテイム条件を中心に、バンバン引きこんでますね。味方に付ければ戦力増強しつつ敵の数も減らせます。浸食系攻略ってわけです」


「うわぁ。それは……手堅いけど、知らないとできないわ」


 ぎょっとする龍宮院先生の言う通り、これは出てくるモンスターとそのテイム方法をすべて知っていなければできない。


 この凶悪な攻略は、ゲームならば間違いなくバランスブレイカーだ。


 そうして出来上がるモンスター軍団を想像したのか、桃山君のマスクが深くシュコーッと音を立てた。


「……それは終わるころには浦島先輩最強でござるね」


「100階のモンスターは軒並み手に入るからねぇ……」


「そんなにですか!?」


「余すことなく。テイムモンスターには素材集めメインで頑張ってもらっていたからねぇ」


 比較的知能高めだと素材集めが捗る。


 うちの天使達もだけど浦島先輩のテイムモンスターはスキルを覚えさせようとして器用な奴が多いから、なおさら抜かりもないときていた。


「任せておいてよ。うちの子達は優秀だからね……今もどんどん増えてるよ?」


「あんまり無理をさせ過ぎないようにしてくださいね? ゴーレムは防御力はでたらめですから、引く時は引いて大丈夫ですから」


「了解了解。でもいいの? あの子はもっと前に出すと思ってたのに」


「結構ダメージがあるんで。それに……手に入れる城の被害は少ない方がいいでしょう?」


「ああ、それはそう!」


 そして巨大ゴーレムは城に攻め込む先兵として使うのではなく、後衛の砦として使用する。


 アレはゴーレムでもあるが自立起動する要塞の役割もこなせて、この乱戦では実に心強い戦力となってくれるはずである。


 そして大きさがアドバンテージになるなら、もう一手助けも存在した。


 浦島先輩は嬉々として、新戦力の名を呼んでいた。


「ああ、じゃあスマウグ君もこっちで使っちゃっていいか!」


 僕は頷く。


 それと同時に召喚の門から、巨大な影が飛び出していく。


「ドラゴン使いが荒いな! こうもすぐに呼ばれるとは!」


「お願いねスマウグ君! 後ろをよろしく!」


「任せておくがいい……一息で有象無象など滅ぼしてくれよう!」


「あっ! 全部テイムするつもりだからほどほどにね!」


「……」


 あ、浦島先輩の要求にドラゴンが呆れている気がする。


 けれどこれで、戦力としては十分。


 ただ僕としては、もう一押し被害を抑えて十二分にしておきたい。


 では最後のダメ押しである。


「出てこい! 上位天使! セラフィム!」


 僕の呼び声に応えて、炎の輪と純白の翼を広げた美しい女性が僕の背後から光と共に現れるこだわりの召喚演出に、仲間達の目は釘付けだった。


 そしてこのセラフィムこそ、僕らの殿になる切り札となってくれる。


「こいつの洗脳で、後ろから洗脳も同時に施していきます」


 だがその宣言に首をかしげたのは龍宮院先生だった。


「ちょっと待って。こいつの能力って確か強力だけど一人ずつしか効果がないんじゃなかった?」


「ええ。そうですよ。でもそれはナチュラルな場合でしょう? 探索者なんだからアイテムを使わなきゃ」


 そう、元のセラフィムの単体しか機能しない洗脳能力は、正直攻略に於いては微妙な能力だった。


 しかし仲間になったのだから、着飾ったって問題はない。


 今回セラフィムに装備したアイテムは腕輪タイプで、アクセサリーとして装着済みである。


「ちなみに……そのアイテムってどんな効果?」


 なぜか恐る恐る聞いて来た龍宮院先生に、僕は答えた。


「はい。全体化ですね」


「ひえぇぇ……」


 そのかすれた悲鳴。ダメ押しとしての高評価だととらえてよろしいか?


 これで浸食系攻略の速度は加速度的に上がるだろう。


 そしてここからは宣言通り、どれだけ迅速に攻略できるかによって結果は大きく変わる。


「言ったでしょう? 丸ごといただくって……」


 早く攻略することに関しては僕にもすでに自信が芽生えていた。


『守護者までの最短ルートをナビゲートする』


「じゃあみんな―――よろしく」


 全力疾走で辿りついた城門を前に、浦島先輩は黒い豹を召喚した。


「ワカンダ君! ぶち破っちゃえ!」


「ガウ!」


 流石は最初期にテイムされ、鍛え上げられたモンスター。


 その爪の斬撃は城壁をまるでビスケットみたいにぶち抜いて、僕らの侵入経路を確保した。

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― 新着の感想 ―
なんの心配も無かった! むしろ悪役の所業っぽい!w
裏技もいいけど全力はやはりいいな。
魔王役の守護者は泣いて良い…こんなはずじゃなかったって… 勇者パーティー的なの相手すると思ってたら大群引き連れて更に自軍を引き抜きまくって来るとか想定してないと思うの…
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