第230話ネタが揃ったらそろそろ頃合い
「いやー! 素晴らしいテストでした! こんなにうまくいくとは思いませんでした! あーでも強めに撃つとちょっと銃口歪んでますねー! 高レベル用の素材も試してみます!」
銃の実験を終えた僕らは部室に戻って来て銃の検討をし始めたが、東雲さん共々興奮は冷めやらない。
僕もほとんど銃と変わらない装備にテンション爆上げである。
「でも思ったよりもずっと威力もあるし、あの階層でダメージが与えられるなら十分実用に足りそうだ」
「はい!」
「これは研究用で東雲さんが持っておくとして……桃山君への贈り物の最後の一本。刀から変更して、同じデザインの銃にすることってできない? ちょっとこっちの要望も取り入れてもらいたいけど」
「……! 了解しました。任せてください」
「……二つ返事過ぎない?」
相当嫌な顔でもされるんじゃないかと不安だったのだが、やはりノータイムの東雲さんはむしろ足りないと言う様子だった。
「今銃が熱いですから願ったり叶ったりです! ワタヌキ先生の依頼は未知の技術の宝庫なんですから腕が鳴ります! それに試作品は一つじゃないですからね。アレンジだってできると思いますよ?」
「おお~」
さすがは東雲さん家だ、モノ作りが本気過ぎる。
東雲社長も絡んでいるんだろうから、クオリティも保証されたようなものだった。
東雲さんもスキルの熟練度をいい感じに稼いでいるみたいだし、作れる物も大幅に増えて来ている頃合いだろう。
「それで? 次は何します?」
さぁ早く出せと掴みかかって来そうな気合いを感じる東雲さんに、僕は密かに温めていた改造案を慌てて出した。
「ああうん。次の銃には吸魂石を使って欲しいんだよ。他の素材ももっといい奴を用意するから組みこんで」
「吸魂石を? 銃にモンスターを入れるんですか?」
すぐさま意図を組んでくれる東雲さんに、僕は頷いた。
「そう。この銃そのものに特大の魔力源があったら、それは自分の魔力の節約になると思わない?」
「な、なるほど……確かに刀よりも恩恵は大きいかもしれませんね」
桃山君も遠距離の攻撃手段を探していたし、彼には嬉しい武器だろう。
それに二刀流に、ハンドガンの組み合わせなんて幕末みたいで絶対バエる。
歴史好きの友人にはピッタリに違いなかった。
そして僕自身も、この銃の発想は楽しいことができそうだと大いにテンションが上がっていた。
「じゃあ……少し急ぎでお願いできない? 実は夏休みの終わりにもう一イベントやりたいと思ってて、間に合わせられないかな?」
「え? ええ。結構いろいろ本体は作っているんで、組み込めばいいだけですから……何をするんですか?」
「うん。今より深い階層に挑もうかなって」
「へー。いいですね! 夏休みっぽいと思います!」
無邪気に実験のテンションのままエールをくれる東雲さんだけど、けっこうこれ大変そうなんだよ?
何せ今回の狙いは―――100階層。
一つの節目になるのは間違いない、正真正銘桁の変わる階層だった。




