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ダンジョン学園サブカル同好会の日常  作者: くずもち


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第23話モンスターポット

 モンスターポットとは?


 その昔、ダンジョンが生まれた最初期の話だ。


 偶然これを見つけた探索者がうっかり中にゴミを捨てたところ、中からモンスターが飛び出してきて頭から食われてしまったという曰く付きのアイテムである。


 そんなことは全く知らなかった僕は、唖然として逆に聞き返してしまった。


「これ……モンスター出るんですか?」


「そう……トラップ認定されて、破壊が推奨されてるけど……なんでそんなに大事そうに持ってんの?」


 浦島先輩は鞭を構えたまま、僕からちょっと距離を取っていた。


「いや。これすごく役立つアイテムらしいんですよ」


「……具体的には?」


「ええっとですね……こいつの正式名称は錬金窯と言って、どんなものでもダンジョン産のアイテムになるんです」


「……何ですって?」


 今回は効果を知っているだけあって、浦島先輩が怖い。


 しかし頭の中の攻略君はこう言った。


『強気で行って大丈夫だ!』


「いいでしょう……ではお見せしましょう! この錬金窯の驚くべき性能を!」


『予想以上』


 うるさいやい。


 勢いあまってマジシャンみたいなことを言ってしまったが、種も仕掛けも今からすぐに教えてくださいお願いします。


『ではまず……君のリュクサックを錬金窯に放り込んで?』


 え? 嫌なんだけど? 気に入ってるんだよこのリュック?


『いいから』


 ……わかった。


 僕はリュックを錬金窯に放り込む。


 モンスターになったらどうしようと内心ドキドキしていると、攻略君の要求は続いた。


『じゃあ次に転移宝玉を放りこんで』


 はぁ? めっちゃ貴重品じゃん!


『また20階で守護者を倒したら手に入るよ』


 そんなのいつになるんだよと思ったが、友人の疑惑に塗れた視線が痛いほど集まっている。


 入れなければ始まらないようで、僕はキュッと唇を噛んだ。


「なんでそんな苦しそうな顔してんの?」


「……い、いえ。大丈夫です。全然大丈夫ですヨ?」


 断腸の思いで追加のアイテムを放り込むと、不思議な虹色の光が窯の中から飛び出した。


「おお……」


 何かの確定演出かな?


 光が収まり、僕は恐々リュックを取り出す。


 モンスターには……なっていないようだ。


 一見すると全く変わってはいないお気に入りのリュックなのだが、その変化はチャックを開けてみて僕も気がついた。


「え? 中身が見えない」


「中身が?……いやこれ……アイテムボックス化してない?」


「……ね? すごいでしょ?」


「すごいなんてもんじゃないでしょ! これ市販品でしょ!?」


「アイテムボックスを自作出来るんでござるか!?」


 浦島先輩も桃山君も僕のリュックをガッチリ掴んで驚いていたが、たぶん僕が一番驚いていた。


 アイテムボックスとは、どんなモノでも重さ、量共に関係なく持ち運べる便利アイテムである。


 出現率が低く、すべての探索者の憧れそのもののようなアイテムなのだが、今最高の形でソレがこの手の中にある。


 これ一つあれば荷物の制限から解放される夢のアイテムは見た目は様々でぼろ布の袋から革バック、それこそ箱なんかもあって、完全にランダムだと言われていた―――そう。今日までは。


 ブワッと全身の毛穴が開くのを感じる。


 確かに攻略君が言うように。こいつは超重要アイテムだ。


 そして僕は気がついてしまった……僕が攻略君を持っていることで、この錬金窯はまさに神アイテムになるということにだ。

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― 新着の感想 ―
先輩と同輩からしたらワタヌキくんは未来人か異世界人だと思われてそう。
普通に全世界から身柄を狙われるねぇ……
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