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ダンジョン学園サブカル同好会の日常  作者: くずもち


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第225話それぞれの成果

「いやー……今日も疲れたでござるよー……」


 ヘロヘロ状態のガスマスクがカフェに入って来る。


 そして僕の席の側にやってくると、お茶を頼んで椅子に座った。


「お疲れー桃山氏。今猿フロア探索中?」


 桃山君が自分の担当階層で何かしていることは知っていた僕は尋ねてみると、マスクを外した桃山君はそうだともと楽しそうに笑って頷いていた。


「先輩に借りた建築スキル持ちのモンスターを援護して、猿とバトルしつつ築城中でござるよ」


 ただ思っていたのとはちょっと違う方向性に僕は驚いた。


「……築城とは思い切ったなぁ。乱世過ぎない?」


「やーまさしく乱世でござる。無限に沸いて来る大猿から建設途中の城を守り、連日の大立ち回り。これ以上テイムモンスターを増やすつもりもないでござるから見敵必殺で、ばっさばっさでござるよね。ジャングルの木の背が高くて、景観を確保しようとすると高さが欲しいんでござるよ」


「海際は?」


「あの海は……ガチでデンジャラスでござるから」


「そうだった……」


 猿エリアの海は、基本的にトラップで間違っても泳いだりしてはいけない。


 あの海は深みにはまるとものすごい勢いで沈むので、だからこそ美しい。


 景観を楽しむしかないのが玉に瑕であり、売りでもあるのが皮肉と言えば皮肉だった。


「猿と一緒に戦いすぎたのか、最近気が付いたらビーストテイマーってジョブが候補に入っていたでござるよ。戦闘にもう一エッセンス欲しい気もするから一旦選んでみるか悩み中でござる」


「おー……それって、完全にボスになったっぽいね」


「……」


 忍者行くかな? と思っていたけどそっちに行くんだ。


 ある意味ネタに走っているなと、僕なんかはニヤリとしてしまった。


「ワタヌキ氏と浦島先輩は、生徒会の依頼でござるよね?」


 だが続く桃山君の質問には、僕は首を横に振った。


「手伝い程度で、僕は結構自由にやらせてもらってるよ。売店周りを夏休みの終わりまでにリニューアルさ」


 休みというのは素晴らしい。


 何時もなら何らかの理由で時間的に作業が打ち切られるところだが、一日自由にできると非常に捗る。


 その結果、やりすぎてしまったのは、戦力の大幅増員も原因の一つだった。


「1階の売店は多少拡張したくらいだけど、他はすごいよ? 天使が増員できたから捗ってさ。余裕もあるから良かったらそっちも作業を手伝えそうだよ」


「ホントでござるか!? それ助かるでござる!」


「いいともいいともどんどん使って? ああ、それでさヴァルキリーがちょっとレベル不足で。全体的にレベリングしたいから手伝ってくれない?」


「お安い御用でござる」


 ドンと胸を叩く桃山君には、存分に頼らせてもらおう。


 何、そのためのサポートは僕の方でもできるように準備を進めていた。


「冒険をサポートできるように店も沢山作ったからぜひ活用してよ。浅い層は1階、5階、9階に一店ずつだけど、11階から先は各階層に一店ずつ設置してるから緊急時には探してみて。ああでも、5の付く階層に配置したコンビニと、25階層に設置したネットカフェ風の販売店には要注意だよ? ネットカフェ以外では寝泊りはできないからね」


「おおっと……また気が付かないうちに大張り切りでござるな! そこにしびれる憧れるでござるよ!」


「よせやい、ほめ過ぎだぜ」


 中々大変だったが苦労のかいあって、どの階層でも食事とアイテムを補充できる体制はバッチリだ。


 各階層ごとに、おすすめ素材を使用した弁当を開発して副会長も大喜びと言う寸法である。


 ちなみに……レストランとかはまだ無理だから、この辺りでお茶を濁していく算段だった。


 僕らの経過報告に浦島先輩と龍宮院先生もいつの間にか興味を示していて、こっちに視線を向けていた。


「おおー。思ったより進んでるなぁ、さすがワタヌキ後輩」


 ただ頑張っているかいないかでいったら、生徒会周りに全面協力している浦島先輩に勝てるものではないだろう。


 先輩の有り余るモンスターの労働力こそ、今回のプロジェクトの要と目されていた。


「先輩はどんな感じなんです? 生徒会からの依頼は」


 ただ意外にもへとへとの割に浦島先輩の表情は浮かないものだった。


「それが全然進んでないのよー。案外形になってないみたいでさー」


「というと?」


「いや、ダンジョンって動くじゃない? 生徒会長のアイディアってそのへん解決させたいやつが多くて。でも動かさない建築が、結局できなかったんだよ」


「あー案内板とか順路とか初期案そんな感じでしたもんね」


 看板を設置してそれそのものが動き回るんじゃまったく意味はない。


 その辺りスキルで解決できると踏んでいたみたいだが、工夫でどうにかできるものではなかったと言う事なのだろう。


「そうそう。形になったのはお得なヒント掲示板だね。どこに出てくるかわかんないけど階層に出るモンスターとかアイテムなんかが書けるやつ。そんでセーフルームにキッチンついたくらいかな?」


 セーフルームは階層にいくつかあるモンスターが入らない安全地帯の事を差している。


 元は簡素な部屋だったから、気軽に火が使えるようになるのは結構便利そうだった。


 ただまだ不満そうな浦島先輩を僕はすごいことだと励ました。


「それだけでも結構大改造じゃないですか」


「空振りの方が多いと余計疲れるんだよー……。結局、君のトイレみたいな奴が一番なんじゃないかと相談しようと思ったら……先に大規模改造しててビックリしたよ」


 これについてはちょっと楽しそうにからかう浦島先輩だが、そりゃあダンジョン改造の先駆者としては、黙って見ていられないというものだった。


「あはは。なんかすごい改造される前に爪痕を残しておきたいなと」


「それでネットカフェは作らなくない?」


「作っちゃったんだから仕方がないじゃないですか。でもそんな大したものじゃないですよ?」


「えぇ? 絶対そんなことないでしょ? やりすぎちゃってるんじゃない?」


 まぁ、この拠点カフェ作りの経験を存分に生かして、魔法とスキルの粋を集めて作ってしまった自信作ではある。


 本音を言うのなら是非堪能して欲しい。


 だが規模は漫画は充実しているが、シャワーもトイレも椅子付きの個室も10人分くらいしかないとても小規模なお店でとどまっているのは、もう少し頑張りたいところだった。


 ただ僕も好き勝手やっているが、それはたぶん僕だけじゃない。


 特に浦島先輩は何かしていることは間違いないと確信があった。


「そうは言いますけど……先輩もこっそり何やってるんです? 知ってるんですよ? 建築の手伝いはほとんどモンスターに丸投げしてるって」


「え? えっへっへっへっ……バレてたかぁ」


 先輩とて今や立派な超人である。


 そもそもタフネスはずば抜けていた浦島先輩がお疲れ気味な次点で、なにか大変なことをしている予想はつく。


 それは当たっていたようで、浦島先輩はムフフと笑みを浮かべて立ち上がる。


「……いいでしょう。まだ途中だけど披露しようか」


 浦島先輩がおもむろに取り出したのはノートパソコンだった。


 そして僕らの席にそれを持ってくると、すぐに起動させて成果を披露した。


「「こ、これは……!」」


「え? なになに?」


 僕と桃山君、そして興味を示した龍宮院先生もパソコンのディスプレイを覗き込む。


 そこには可愛い3dモデリングの頭が燃えているキャラクターが様々なモーションを披露していた。


「作っちゃったぞ? ひのたまちゃん」


 おお、ついにコッチ方面に浦島先輩が動き出したか。


 そろそろ僕しか攻略できない段階も終わっていて、浦島先輩のスキルが生かせる場面に来たという事か。


 滞り気味のネット更新も、堰を切ったように充実してくれれば最高だった。


 でも先輩? ひのたまちゃん、普通におっぱいついちゃってますけど? どういう事か教えてもらえますかな?

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― 新着の感想 ―
……ほら、何でも女の子にしちゃうのがソシャゲ界の常識だし?
強制TSか…攻略君に聞いたらTSの一つくらいは簡単に出来そう
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