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ダンジョン学園サブカル同好会の日常  作者: くずもち


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第22話絶対確保しておきたいアイテム

 衣裳を揃えた僕達だったが、まぁ3人そろっての活動はしばらく後の楽しみとなる。


 僕は二人に今日のモンスターのリポップポイントを教えて別れた後、また決死の覚悟で15階層まで降りてくると、燃える頭を灯して一旦ドローンを動かしてみた。


「……マジで動くな。すごくない?」


 散々失敗すること前提に話をした手前、ものすごく気まずい。


 しかし攻略君に言わせればこの世界初の快挙は当然の結果の様だった。


『私から言わせれば、当然だね。条件が揃えば使い魔化して全部任せてしまえばよりいい』


「そんなことできるの? ……何でもありだなぁダンジョン。でもまたずいぶん深く潜って来たけど、何するの?」


 だいぶん慣れてきたが、このくらい深くなると死の危険しか感じないのでもう少し浅いところでどうにかしてほしいんだけど。


 今日は攻略君がこの階層にとても素晴らしいアイテムが眠っていると言うので確保しに来たしだいだ。


「でも何があるの?」


 僕はせめて前もって聞いておきたいと思ったのだが、今日の攻略君はずいぶんと勿体をつけて来た。


『フッフッフッ。装備の話をしていたからね。問題をすべて解決してくれる最高のアイテムがこの階層にある』


「えぇ? 本当に?」


 眉唾ものだが、攻略君が言うなら気になる話だ。


 15階をナビに従い、探索すること一時間ほど。


 ようやく見つけたのはただの行き止まりだった。


「……行き止まりじゃん」


『ところがだよ。そのまま壁にぶつかってみてくれ』


「えぇ? このまま? 何分の何番線?」


 衝突しろって? 痛そうだ。


 だがここまで来て手ぶらで帰る方がしんどい。


 仕方がないので僕は壁に向かって走り……そして通り過ぎた。


「おお!」


 こういうの映画で見たことある! とついはしゃぎそうになったが、中の部屋は中の部屋ですさまじい。


 ロマンあふれる古式ゆかしい魔法使いの部屋と言う感じの空間で胸が熱くなった。


「な、なにここ?」


『隠し部屋だね。そして……今日狙って来たのは、そこの窯だ』


「窯?」


 攻略君の言う通り、確かに部屋の真ん中には窯があった。


 大きな金属製の窯は魔女が薬でも作っていそうで、怪しさ満点である。


「これなんなの?」


 知らなかった僕は改めて聞いてみると、攻略君は最高のお宝を紹介するテレビショッピングの店員ように饒舌に語り始めた。


『これは錬金釜。中に物を入れるとすべてダンジョンの産物と化す不思議なアイテムだ』


「……なるほど?」


 よくわからないが、それは確かに面白そうだ。


 だが僕としては一つ気になることがあったので先に確認せねばならなかった。


「説明の前に先にいい? 攻略君……まさかだけどさ」


『なにかな?』


「この金属製の窯を……俺に担いで帰れって言ってる?」


 この一歩間違えば死ぬような階で?


 まさかとは思ったがそう尋ねると、いつも以上に爽やかな声が返事をした。


『頑張れ☆』


「畜生!」


 こうなることは分かっていたけど叫ばずにはいられない。


 僕は錬金釜を掴んで決死の覚悟で地上を目指すことになった。




「……死ぬかと思った」


『お疲れ様。でも苦労のかいはあるよ? 絶対だ』


「そう願いたいね……」


 いやそこは本当に切実に。


 行きも相当なスニーキングを要求されたが、帰りは窯付きの分難易度が跳ね上がった。


 それでも何とか気力が持ったのは命がかかっていることもあるが、攻略君がここまで押す時は本当にヤバい可能性があったからである。


 きっとこうするだけの価値がある。


 そしてようやく生き延びて、窯を担いだまま今日も1階で頑張っている浦島先輩と桃山君に挨拶に寄ったのだが―――。


 僕の姿を見つけた瞬間、浦島先輩の方が僕の持っている錬金釜を見て顔色を変えていた。


「えぇ! それモンスターポット!? なんてもの持ってきてるの!」


「え?」


 悲鳴を上げられてしまった僕は、話が違うんですけどと攻略君に訴えた。


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― 新着の感想 ―
楽しく読ませてもらってます。 攻略君がなかなかとぼけてていいキャラしてる。 錬金窯 持ち運べてモンスターポットていうのなら、 釜 のほうじゃないのかと… 勝手に魔女鍋をイメージしたもんで…
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