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ダンジョン学園サブカル同好会の日常  作者: くずもち


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第206話人型であることを生かしたい

 チュンチュンと雀が鳴いていた。


 僕はホテルの一室からぼんやりする頭で窓の外を眺めながら、盛大にあくびをかました。


「……疲れた」


 イベントは終わった。


 昨晩は結局諸々話し込んでほとんど寝られなかったわけだが、実に有意義な話し合いができたのではないだろうか?


 しかしおおよそはオタクトークだったんだけど、数少ない実用的な情報でわかったのはこのヴァルキリー、案外知名度が高いかもしれないってことだった。


「まさか龍宮院先生が戦ったことがあるとは……」


 自分の部屋なので一旦もう一度ヴァルキリーを呼び出してみる。


「……」


 そばに佇むヴァルキリーは改めてみても、やはり相当の存在感だった。


「やっぱ翼かなぁ……せめて隠せれば、無口な人間で通せないこともなさそうだけど……」


 そんなことを口に出すとヴァルキリーはコクリと頷いて、次の瞬間パッと翼が消えてなくなっていた。


「お! 消せるんだそれ!」


 僕が驚くと、再びコクリと肯定。


 これならほとんど人間で通りそうだ。言ってみるもんである。


 そしてある程度の意思疎通もできるらしい。


 武装をしていても、ギリギリレイヤーさんで通りそうな見た目は可能性の塊だった。


「これなら普通の服を着れば……学校でも活躍できるか?」


 今いる天使達に比べて明らかに大人に近い彼女達なら、戦闘以外にも幅広い活躍ができる可能性がある……かもしれない?


「でっかいしなぁ。せめてもう少し小柄なら……」


 僕としては思ったことを口にしただけの何気ない呟きだった。


 しかしそれを聞いたヴァルキリーはコクリと頷くと、文字の帯を指先で描きその全身が虹色に輝いた。


「うわ! なんだ!?」


 そして光が収まると、そこには鎧を着た小柄な少女が立っていて、その表情はどこか誇らしげである。


「……」


 だが僕は黙る。この能力は―――一旦情報を秘匿させていただこう。


「……元に戻って」


 ヴァルキリーが再び虹色の輝きと共に元の姿に戻ったのを確認して、僕はひっそりと肩を落とした。


「……他には、何か変身できる?」


 一応そう尋ねると、ヴァルキリーは首を横に振る。


 なるほど。形態の変化は翼の有り無しに加えて、大人形態と子供形態の2種類と。


 十分すごいけれども、悪魔達ほどの擬態能力ではないから、工夫するなら僕が頑張んなきゃいけないと、そういうことのようだった。


 一番手っ取り早くモンスターとしての印象を薄めるのなら、着替えることが簡単か。


 心当たりで真っ先に顔が浮かぶのは、一人の友人である。


「……桃山君にまた衣装を発注してみようかな? いやでも普通の服なら買った方が安いか?」


 何せ数が多すぎる。


 物さえあればスキルで複製する手もあるんだし、いっそ買いに行くのもありかもしれない。


 背丈がかなり大きいから物は選ぶが、人間の規格から大きく外れすぎているってことはないので、選択肢が皆無ってことにはならないだろう。


 できればきちんとした服が一着あれば、東雲さんの家に行った時のような局面で舐められることもなくなるかもしれなかった。


「……うーん。いろんな服が置いてあって、多少変わった客でも対応してくれそうな店……」


 一番無難なのはとりあえず通販か。


 ただ服飾、もっと言うのなら女性服に関してそう詳しいわけではないから、アドバイスはあった方がいい。


 イベントの余韻の残るダンジョン周辺ならまだ鎧姿のヴァルキリーでも通用しそうな節はあるから、タイミング的にはここは悪くないかもしれない。


「ちょっと……行ってみるか?」


 そこまで考えて僕の頭には一つ、心当たりが思い浮かんでいた。









「いらっしゃいませ! ようこそ冒険者ショップ『ユグドラシル』へ! これは学生さん。ご来店ありがとうございます!」


 一か八かで訪れたお店では僕らを快く迎え入れてくれる。


 コスプレにも、探索者界隈にも理解がある店と言えばここしかない。


 ついでに先日快く白ランを用意してみせた店員さんはかなり頼りになりそうだった。


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― 新着の感想 ―
東雲さん家に行ったときって東雲父へのアーム改造依頼の件の話? 特に舐められてるような描写もなく交渉してたと思うけど… 例えに出すなら「舐められて失敗した」「舐めてかかってきたが対処した」ケースを引き合…
その場所だと戦ったことある人に会う確率が高そうだけど…。 羽さえなければレベルの高いコスプレだと思ってもらえるのかな。
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