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ダンジョン学園サブカル同好会の日常  作者: くずもち


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第198話冥府の誘いと魔改造

 40階層守護者。


 夜の森の中の様な不気味な階層に浮かぶ死を纏ったドレスの女、そんな形のモンスターは不気味なようでどこか気品のようなものが感じられた。


 しかしその性質は凶悪極まりない。


「その黒い靄は呪いだ! 触れるとちょっとマズイ!」


「心得た!」


 明らかにヤバそうな怪しい靄は即死の呪い。


 それを常時纏ってそいつは襲い掛かって来る。


 黒い靄はモンスターの周囲を漂っていて、触れたものを死に誘う。


 僕は黄金の斧に思い切り力を流し込むと、聖属性の光で呪いを振り払った。


 切り裂いた道を通るのは、桜の影を纏ったジャージの桃太郎である。


 修行の成果か、動きのキレが半端じゃない。


 さらに紙耐久だと忘れてしまいそうな鋭い突進を、クロハナサクヤの伸びた木の枝が援護する。


 一言も発さずに、むしろお互いを生かしながら飛び回る人間と精霊との連携は研ぎ澄まされていて、精霊との戦い方のお手本を見ているようだった。


 僕の作った隙を見極め、一瞬で間合いを詰めたのはお見事。


 しかし肝心の刀の一撃は踏み込みが浅かったのか、モンスターの首を傷つけただけに留まっていた。


「……猿鬼」


 しかし逃げた先に白い煙と共に突如として現れた巨大な猿は、女型モンスターを容赦なくその拳で叩き潰した。


「!」


 拳から生み出された衝撃波が死の霧と岩の破片もろとも飛んできたが、問題ない。


 僕はオーラで周囲を覆い、防御態勢を取る。


 光の膜にコンコン飛んで来る瓦礫は大きく、その衝撃のすさまじさを物語る。


 暫く土煙の中、石と残骸が降り終わるのを待って、僕はようやくスキルの守りを解除すると軽く息を吐いた。


「ふぅ……」


 そして高いところから落ちて来て見事に着地した桃山君を僕は拍手で迎え入れた。


「お疲れさん。あの大猿、完全に自立して動けんだね」


「そうなんでござるよ……幽霊っぽいのに殴れるんでござるよね。誘導って選択肢が増えるのは面白いんでござるが……ちょっと頼りきりになりそうで怖いでござる。それよりワタヌキ氏は今回、攻略法使わないんでござるか?」


「最近楽しすぎたから、力の使い方体に馴染ませとかないとまずいでしょ?」


「またまたぁ。様になってるでござるよ。けっこう練習したんでござろう?」


「へっへっへっ……まぁね。じゃあもう一息頑張ろう!」


 これで40階層突破だ。


 手ごたえから考えると、やはり推奨レベルもうちの学校と同じ階層=推奨レベルと思っていいか。


 これなら最後まで危なげなく攻略を進められそうだった。


「次から寒くなるから気合入れていこう。なるべく僕から離れないように」


「分かったでござる」


「……わかった」


 何だかハバキリ君の覇気が無くなって来たけど、もう少しの辛抱だ。


 しかしそのもう少しが結構辛い。


 続く極寒の階層は次の守護者まで続くから、ちょっと防寒が頼りないかもしれないと僕は思った。


「あっ。ハバキリ君、今防寒着持ってる?」


「……さすがに持ってないかな?」


「まぁそっか……夏だもんねぇ」


 僕はオーラで寒さくらいどうにかなるし、桃山君もクロハナサクヤというか闇属性の精霊は遮ることに長けているから、寒さくらいは遮断できるはず。


 だがハバキリ君はどうしようと悩んでいると桃山君が実に悩ましい表情で提案した。


「うーん。気休めでござるけど……これ服の下にもう一枚着るでござるか?」


 そう言って出してきたのは大きめサイズの女性キャラドアップの顔が印刷されたTシャツだった。


「……なるほど? まぁ着ないよりもマシかもしれないけど」


「いや……どうでござるかな? マシかどうかは真面目にわからんでござるよ? 自分で提案しておいてなんでござるが」


「……ハバキリ君の魔改造が進んでしまうな」


「な、なんだ? ボクの顔に何かついてるのか?」


 このハバキリ君、現状手も足も出ないおんぶにだっこ状態で、果たして僕らの提案を拒めるものだろうか? いやまさに緊急時だし背に腹は代えられないか?


 でっかい羽根の生えた天使女性に抱きかかえられた、キャラ物Tシャツを着たメガネ男子か……うちの女性陣はみんな喜ぶかな?


 ……まぁいっか? 誰が見ているわけでもなし。


 ただし間違っても、コーディネートしてくれた受付嬢さんには見せられない姿になりそうだけど、きちんと最後に返してもらえばおそらく大丈夫なはずだった。

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