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ダンジョン学園サブカル同好会の日常  作者: くずもち


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第196話ヴァルキリー戦

 ヴァルキリーはその飛行能力と一糸乱れぬ連携が得意なモンスターである。


 だが個体としてもとても強く、高い身体能力と高度な魔法まで備え、武装を使いこなす。


 このフロアにおいて、守護者である彼女達は侵入者に対して容赦なく襲い掛かり排除する。


 ヴァルキリー達は迅速に空中に展開し、今回の侵入者を目視した。


 その数はわずかに三人。


 そして一人、無防備に前に進み出て来た敵にまず狙いを定めてヴァルキリー達は動いた。


 空中から一斉に急降下。


 今まさにランスで串刺しにするはずだったヴァルキリー達は、しかし黄金に輝く大斧の一撃で蹴散らされた。


「……!!」


「……いきなりくるじゃん」


 侵入者は呟く。


 斧とは思えない何か大きな塊が振り回されたような衝撃が吹き荒れて、なすすべもなく吹き飛ぶヴァルキリー達は多くが地面に転がって、戦闘不能に陥っていた。


 そしてかろうじて難を逃れた個体は、さすがに様子を見るために距離をとる。


 しかしおかしなお面の赤ジャージは黙ってそれを見つめ―――斧を振りかぶると、何もないところを斬り裂いたのだ。


 そんな素振りに本来意味があるわけがない。


 ヴァルキリー達は遠距離攻撃がないのだと男の動作を嘲笑する。


「!」


 しかし次の瞬間、魔法を使う前に叩き落されたのはヴァルキリー達だった。


 やはり鈍器で殴られたような激しい一撃で、まず一体叩き落とされる。


 何が起こっているのかもわからずにヴァルキリー達が混乱している中、その現象は続いた。


「……いーよいしょ!」


 斜め縦横、後ろ前。方向に一貫性はなく突然に衝撃は襲い掛かかってくる。


 ズドンと重い音が響き、一体、また一体と落とされて行くヴァルキリー達。


 そんなヴァルキリー達を地に落とした侵入者は無様に転がる戦闘可能な一体を見下ろして呟いた。


「……ディメンションブレイクとでも名付けようかな?」


 そして振り下ろされる一撃はまた一体、ヴァルキリーを戦闘不能にした。


 だが一定の数ヴァルキリーの数が減ると、そこに黄金の鎧と白銀の鎧を付けた二体のヴァルキリーが現れる。


 二体は数を減らしたヴァルキリー達を見て雄叫びを上げるが、しかしいきなり目の前に文字通り出現した男の一言に叫びはさえぎられた。


「うるさいよ……」


「!」


 ゴシャリと一撃で銀色のヴァルキリーはやはり叩き潰されて、男は―――あまりにも突然に歌い始めた。


「まーさかりかっついできーんたろおー……くーまにまーたがりおーうまのけいこー……」


「…………!????」


 なぜ? と疑問が生まれると同時にヴァルキリー達は理解した。


 お面の男にとって、この戦闘は退屈な作業に過ぎないのだと。


 それは圧倒的な実力差から生じる、まさに一方的な蹂躙だった。


 実際に調子の外れたメロディに合わせて次々叩き潰されてゆくヴァルキリーに攻撃にあらがうすべはなく、その数が瞬く間に減って行く。


「……っ!」


 最後に残った金色のヴァルキリーはあるはずのない怯えに襲われていた。


 それは今まさに獲得した感情だったがしかし、その闘争本能は男への攻撃以外を許さない。


 ランスを構えた金色のヴァルキリーが最後に見たのは、自分のランスを粉々にする黄金のバトルアックスと、ものすごい笑顔のおかっぱ頭のお面だった。







『テイムが完了した……素晴らしい。予想以上に大量だね。とてつもない恐怖でも感じたのだろうな』


「……なんでだよ?」


 辛い戦いだったがようやく敵の気配はなくなった。


 ふぅと一息つけば、戦闘終了である。


 攻略君大喜びの成果は否定はすまい。


 確かに空間魔法の練習の成果がよく出た戦いであったことは間違いなかった。


「まぁ何とかやれるもんだね……」


 僕は戦闘で高ぶった気分を落ち着けて、仲間を見た。


 すると桃山君はちょっと感動したように声のトーンを上げていた。


「すごいでござるな! なんでござるか今の戦い方! 最高でござるよ!」


「やーどうもどうもー。ありがとうね」


 だけど問題はハバキリ君の方で、僕を瞬き一つせずに見てドン引き? というか呆けていて、喜ぶどころではなさそうだった。


「……」


 そしてこっちが一番の問題。


 僕は意を決して振り返ると、ボロボロの鎧のまま跪くヴァルキリー達の群れは、女性の姿という事もあって、なんとも言えない後味の悪さがあった。


 姿は……あんまり変化してないな? うん。


 うちの天使達同様回復の魔法も使えるようで、徐々に傷は治癒していってるみたいだが、ダメージが強烈だったのかまだまだ全快には時間がかかりそうだ。


 しかし一般的男子高校生の感性からすると、こいつは少々刺激が強すぎる。


 僕はやれやれとため息を吐いて、さっさと次の準備を進めることにした。


「よし。とりあえず……テイム完了ってことで治療しようか?」


「……! ち、治療ならボクも手伝える!」


「あ、じゃあ拙者、服を直すでござるよ」


 何だかハバキリ君がハッとして手伝いを申し入れてくれたのは嬉しかったが、ちょっと引かれてそうなのが気になると言えば気になるか。


 しかしこのくらいはまだまだ序の口だった。


 ……残念ながらまだ攻略は3割といったところで、お楽しみはこれからだった。

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― 新着の感想 ―
テイム(Terror Timeの略)
テイムって恐怖でやるものだっけ。。。?
絵面よ…
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