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ダンジョン学園サブカル同好会の日常  作者: くずもち


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第193話さぁ未知のダンジョンに挑もう

「本当にいいのか? こんな高価なもの……なんだか見掛け倒しになる気がするんだが」


「気にしないでいいよ。それに似合ってはいるよ?」


 一応不安そうなハバキリ君にフォローだけは入れておいた。


 ただ不安がるハバキリ君に店員さんから送られた言葉は中々いいものだったと思う。


「見掛け倒し結構じゃないですか。そうするだけでスッと背筋が伸びるものですよ。中身が足りないと言うのなら後から足せばいいのです。そのうちその服だって物足りないと思えたら、また私達がお手伝いしますので。それではいってらっしゃい」


 趣味性が強いお店だったけれど、いいお店だったと感想を持った僕らは感謝を伝えて別れを告げた。


 では改めて、ここからが本番である。


 ハバキリ君が今回、どんな理由で僕と一緒にダンジョンに行ってみようと思ったのかはわからないけど、それなら僕の方も積極的アプローチの一つとしてこちらの思惑に協力してもらってもいいはずだ。


 ではハバキリ君。君にはファイアーボールヘッド先生のお悩み相談、その第一被験者として裏攻略ツアーにご参加していただこう。


 僕はハバキリ君に向かって、最初に伝えるべきところを伝えておくことにした。


「実は、今日はハバキリ君には僕らにも付き合ってもらいたくて。少し手の込んだことをしたいんだよね。贈らせてもらった装備は、その手間賃みたいなものだって思ってもらったら助かるよ。もちろんハバキリ君に何か目的があるならそっちを優先してもいいし」


 そう確認すると、ハバキリ君の目は泳いだ。


「い、いや。とくにはない。ボクはただ、外のダンジョンの雰囲気を感じたかっただけなんだが……」


「了解。ただ……空気を感じられるかと言われるとちょっと自信がないかなぁ」


「それはどういう?……」


「それに残念ながら、今日の装備はそんなに使うことはないかもしれないよ?」


「え?」


 言語化しにくいけれど、たぶん十中八九そうなる確信はある。


 なにも言えない僕はただ意味ありげに微笑み、ダンジョンの入り口で入場の手続きを始めた。


 しかし、今日の僕は行動がかなり思い切っているね。


 男友達二人と、気軽にネタ装備でダンジョン探索と言うのは、思いの外新鮮に感じる。


 そしてどうやら僕は新しいダンジョンにワクワクして、気が高ぶっているみたいだった。





 攻略君は当然のようにこのダンジョンについても語った。


『このダンジョンはそんなに深くはない。完全攻略が容易なダンジョンだ』


「うえーい……攻略君? 言い間違い? まだダンジョンを完全攻略した人間なんていないんだよ?」


『だろうね。そして君がこのダンジョンで達成すべきお得な情報は一つ。ここにはとてもいい感じのモンスターがいる』


「おいおいまた嫌な予感がすることを言うなぁ」





 そんなやり取りがあったことは不安の種だが、事前情報で今回の攻略内容は一部を除いて把握していた。


 そして今回目指すのはなんと、ユグドラもどきの最奥というのだから、僕自身ですら気が狂っているとしか思えない。


「はい。これで手続きは終了です。ではくれぐれも気を付けてくださいね?」


「ありがとうございます」


「頑張るでござるよ」


「ありがとう」


 ダンジョンの受付で手続きを終わらせた僕らは、買ったばかりの真新しい装備を着込み、まず念入りにストレッチを始めた。


 しかしあまりにも念入りすぎるストレッチに、ハバキリ君は怪訝な表情を浮かべていた。


「……何をしているんだ?」


「準備運動だよ。これから走るからね。君にも付いて来てもらいたいんだけど? いける?」


「足には自信があるが……それはあまりにも迂闊じゃないか?」


 迂闊なんて、そんな生易しいものになると思ったら大間違いだよハバキリ君。


 ここからは正真正銘、一歩でも足を踏みはずすと地獄に落ちかねない、狂気のデスゲームに他ならなかった。


 だがそれでもなお僕はハバキリ君にこんな言葉を贈らせてもらうとしよう。


「大丈夫。それに―――ハバキリ君は普通じゃないものを見たくて僕に声を掛けたんでしょ?」


 率直すぎる物言いだが、そろそろいいだろう。


 そして図星を突かれたのか、目に見えてハバキリ君は動揺した。


「……! いや! ……うん。そうだな」


「原因は月読さん?」


 そしておそらくは疑念の現況を言い当てるとハバキリ君はいよいよばつが悪そうだった。


「……そうだ。彼女の近頃の成長は異常だ。そして君の事を思い出したんだ。何かボクも成長のきっかけになるんじゃないかって……秘密を探るようなことをしてすまないとは思う……」


 なるほど、どこか後ろめたそうだと感じたのはそういう事か。


 小骨が引っかかるようだったのでスッキリした。


 そしてそれだけ聞ければ正直十分だった。


 僕はにっこり笑って頷き、ハバキリ君の肩を軽く叩いた。


「いいよ。全然かまわない。参考になるなら存分に持って帰ってよ」


「ほ、本当に?」


「まぁ参考になるかどうかは分かんないけどね。今日は急ぎだから、いちいち解説はしない。それでいい?」


「もちろんだ!」


「拍子抜けでもガッカリしないでよ? 僕はよくガッカリされるんだよね」


「……そうなのか?」


「残念ながら?」


 ハバキリ君には悪いけど、本当によくガッカリはされる。おそらく思っていた方向とは違うという意味で。


 大事なところは外してないと思うんだけど、けっこうダンジョンに命を懸けている人は本能的に冒険の浪漫を追い求めてるってところかな?


 そう言う意味じゃ僕の提供する探索は……何か一つ足りないんだろうなって言うのが僕の推測だった。

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― 新着の感想 ―
 いい感じのモンスター……コミケ会場だとヲタクにやさしいギャルというやつかな。
ひとつ足りないというよりひとつ多い方だと思う… 段取りが機能しすぎているってこういうことなんだなぁと
いよいよ戦闘かと思えばムービーで尚且つスキップされた感ありますよね、主人公のダンジョン攻略。 もっと深い所に行くための時短だとは思いますが… 面白かったです。応援してます。
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