第190話ショップに行こう
「ああ、ここにいる人の装備ってそういう事なのか。妙に纏まりのある装備だと思ってはいたが……」
「そうそう。うまくデザイン落としこんでるよね。アレは職人の技だよ」
正直錬金釜もスキルもなしにアレをどうやってやるのか、僕には全く想像できない。
ハバキリ君にお面を買った経緯と、周囲の珍しい装備の話をすると予想以上に感心されてしまった。
「なるほど。そういう風には初めて見たかもしれない……」
「そう? 案外プロの人はやってるイメージあるよ」
「そ、そうかな?」
ハバキリ君は意外そうな声を上げるが、おそらくは多少の仕立て直しというか装備のちぐはぐ感を消す工夫はやっていると思う。
僕が真っ先に思い出したのはエキスポに出場していた若手枠の三人組だった。
対戦相手の三人組はグラディエーターだったり、本格派魔法使いだったりと個性豊かだったが、発掘品らしい中古感はなかったし、デザインに纏まりがあったように思えた。
アレは絶対、見栄えがする様に仕立て直していたに違いないと思っている。知らないけど。
さて、このまま手続きしてダンジョンの中に突っ込むのもいいが、僕と桃山君だけでなく、ハバキリ君も何の変哲もない私服の様だった。
そういえばハバキリ君だって一年生だった。
アイテムボックスに該当する装備はまだ持っていないだろうから、まともな公共交通機関でフル装備を持ってこいと言う方が無理な話か。
だからまず僕は提案した。
「せっかくだから、僕らももう少し装備を整えてからダンジョンに挑まない? ホラあそこにいい店があるじゃない」
そこで僕が指で示したのは、ダンジョンの発掘品を扱うショップである。
学校にも存在する発掘品を扱うショップはこちらの方が世間一般に流通している正式な専門店だ。
しかしさすがはユグドラモドキのお膝元。探索者の活動が活発なダンジョンだけあって、規模も大きく一般の企業も入っている店舗はかなりいいアイテムも期待できそうだった。
「いや……ボクは別に……」
「せっかくだから行こうよ」
「そうでござる! 前準備は大切でござるよ!」
そして当然、装備欲が向上している桃山君も賛成すると、そう頑なに否定するわけでもなくハバキリ君は困り顔を浮かべていた。
「それは確かに……」
「手荷物だけじゃ万全じゃないでしょ? 回復魔法は使えるけど手持ちはそれぞれ揃えといたほうがいいって」
「いやしかし……」
「まぁまぁ」
戸惑うハバキリ君を少々強引に店の中に連れて行くと、ガラリと店の中は雰囲気が変わった。
自動ドア以外は木目調を意識して作られたアウトドア用品店の様な雰囲気の店内は探索者専用というか、いわゆる冒険者ギルド風で―――。
「いらっしゃいませ! ようこそ冒険者ショップ”ユグドラシル”へ!」
そしてまるでその世界の案内人のように、ファンタジー世界の冒険者ギルド受付嬢風衣装を着た女性がニッコリとプロの笑顔で僕らを迎え入れた。
「「おおー」」
「?」




