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ダンジョン学園サブカル同好会の日常  作者: くずもち


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第189話再度待ち合わせ

「よし準備万端だ」


「……ホントでござるかぁ?」


「……」


 浦島先輩達にダンジョンに向かう断りを入れて、僕らは改めてダンジョンの前に向かっているのだが……そんなセリフを口にすると、隣にいる桃山君からはすごく疑惑の視線を向けられてしまった。


 それというのも僕の格好がいつものコスプレではないからだろう。


 肝心のコスプレは、すべて浦島先輩に貸し出し中だった。


「ま、まぁ万全とはいかないけど。メインウエポンはあるし、最低限の準備はして来たから」


「ふむ……ハバキリ氏もいるでござるから、何時もとは違う恰好の方がいいかもしれないでござるな」


「アイテムボックスは桃山君のを使えばいいし。何なら空間魔法を駆使すれば、一時的にアイテムを収納しておくことだってできるとも」


「そうなんでござるか!?」


「アイテムボックスは空間系の魔法の派生だよ?」


 僕はうにょんと空間を歪ませて手を突っ込む。


 そこから取り出したのは今朝コンビニで買ったメロンパンだった。


「おおっふ……すごいでござるなぁ。しかし拙者としては少し口惜しいでござるよ。コスプレの聖地で普段着とは……」


 ただ我らが服飾担当の桃山君は大層悔しそうだった。 


 言われて辺りを見回すと、コミケ中という事もあってダンジョン産の装備を改造して見た目だけでもアニメ風に近づけている探索者を沢山見かけることができた。


 中にはただ単にコスプレも混じっていそうで怖いけど、それはそれで自己責任ってことなんだろう。


「そういえば……ここのダンジョン華やかな人多いね」


「そうなんでござるよ……どれも工夫されていて、こんなに見た目がちぐはぐじゃないダンジョンも珍しいでござる」


 一つ一つの武器防具に至るまで、デザイン性に拘っているところはさすがと言ったところか。


 僕でもそう思うんだから、服飾にこだわりのある桃山君からしたら、垂涎物なのだろう。


「皆さんこだわりがすごい……負けていられないでござるな」


「ガンバレ! 桃山氏! でも……確かにせっかくだから。何かしてもいいかなぁ」


「そうでござるなぁ……しかし、どうしたものか?」


「素材で何か作ってもいいけど……」


「とは言っても……なにかないでござるかね?」


 そこでふと目に留まった先にはイベントの最中だからか……出店のお面屋が並んでいた。


「「……」」





 僕らはあまり待たせるのも悪いので待ち合わせの場所であるダンジョン入り口に急ぐと、そこではハバキリ君と何やら見知らぬお姉様方が話しをしているところに遭遇した。


「君学生でしょ? お姉さんたちが色々教えてあげるから!」


「いや……すみません。友人と待ち合わせしていて」


「そんなのいいじゃない? ちょっと連絡しておけばさ!」


「いや流石にそういうわけには……」


 僕と桃山君は、どちらともなくお互いの顔を見た。


 桃山氏の表情は見たこともないほど強張っていて、きっと自分も同じ顔をしていると予想できた。


「……ま、まさかこれはワタヌキ氏」


「……そのまさかだモモヤマ氏」


 なんと! この短時間でハバキリ君は逆ナンパされているらしい。


 たいそう驚いたわけだが、しかしいわゆる友人の大ピンチ。


 買ったばかりのお面を装備し、今のイカした僕らはハンマーを担いで、そして日本刀を揺らしつつ。


 金太郎と桃太郎となってそこに突撃した。


「ゴメンゴメン……☆」


「待たせちゃったでござるか?♡」


 その時のお姉さん方の表情の強張り方は、ちょっとしばらく忘れられそうになかった。


「……お、お友達来たんだ」


「……私ちょっと急用思い出しちゃった、ゴメンね」


「「……」」


 そそくさと撤退する彼女達を見送り僕らは鼻を鳴らした。


 まぁこんなもんである。


「何でござる? ゆっくりしていけばいいでござるのにね! ワタヌキ氏!」


「全くだね! このファッション正解だったようだな! モモヤマ氏!」


「えっと……助かったんだが……どうしたんだその恰好?」


「そこのお面屋で買ったんだ。では改めて……オッホン。お待たせしましたハバキリ君、今日はよろしくね?」


「はぁ……君らは人を待たせて何をしているんだ」


 それは本当にその通り。


 大変申し訳ないと心から思っていた。


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