第14話やっちゃった
「この同好会は解散してもらいます。期限は一週間後です」
「「えぇ!!」」
来て早々に切り出された話は、もはや身も蓋もない絶望だった。
「いや、そんな急な話はないでしょう? 活動はしているんです。部室の使用許可も出ているわけで」
浦島先輩もメガネをきっちりかけ直し、いつもよりキリッとした表情で応戦したが、鼻で笑う態度からして取りつく島もなさそうだった。
「その活動が不明瞭なんです。最初期に作られた名残で今までは見逃されてきたようですが、所属しているのは3人。部室を求めている部は沢山ある。それに……サブカルチャー同好会ではね? 今後成果も期待できないでしょう?」
「いや、でもね新入部員もいるわけで、入ったばかりで出て行けと言うのはどうなの?」
「部でもないのに部員もないでしょう? 倉庫の方が有意義だと思われても仕方がない」
「あんたそれ言っちゃう?」
これはまたずいぶん強硬派な方がやってきてしまったようだ。
腕には生徒会の腕章はあるが、いかにも頭の硬そうな男子生徒の生徒会先輩だった。
流石にムッと来たが、残念ながら反撃の材料はなさそうだ。
無念。もはやここまでか……。
まだ学園に入学してからそう時間は経っていないが、今一合わない校風の中、この場所での時間は間違いなく癒しだった。
気の合う友人に、理解のある先輩。
何よりみんなで持ち寄った素敵なアイテムの数々はどれも素晴らしい価値があると思っている。
―――いけないいけない。つい走馬灯を見てしまった。
普段の僕ならそれでもあきらめたのかもしれないが、今の僕は本当につい、ポツリと口を出してしまった。
「待ってください……成果があればいいんですね?」
僕に視線が集まる。
眉間に皺が寄る者もいたが。他のすべては困惑の視線しかないらしい。
言葉は聞こえていたらしく、生徒会先輩は出来るものならと半笑いで頷いた。
「……そうですね。一週間でそんなことは不可能だと思いますが」
「それは一週間後にもう一度言ってください。このまま同好会があっさり潰されてしまうのは諦められないんです。チャンスをいただいてもいいでしょう?」
一か八かの説得は、思っていたよりもうまくいった。
「……確かに君達にしてみたら入部してまもなく追い出される形だね。チャンス位あってもいいでしょう。……ならば一週間後。誰もが認めるような成果を期待しています」
おや、生意気な一年ボウズにずいぶんあっさりと機会をくれたものだ。
しかしこの野郎、そんなことできるわけないだろって態度が言わずともわかるのはある意味才能だよ。
これは目にもの見せてくれる。
僕は内心をひた隠しニッコリ笑って頭を下げて生徒会先輩を見送ると、驚き顔の友人達を振り返って……頭をかいてごまかした。
「やっちゃったぜ……」
「「いやいやいやいや」」
待て待てと思っているだろう? 大丈夫、僕もそう思っているからまずは話を聞いて欲しい。




