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ダンジョン学園サブカル同好会の日常  作者: くずもち


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第131話龍宮院 遥は考える

「……恥ずかしいところを見せてばかりで申し訳ないね」


「そ、そうですか?」


「ああ……でもちょっと面白かったな」


「あ、あれがですか?」


「ああ。気絶して目覚めてみると驚異のパワーが手に入った気分だ。本当に訳が分からないが魔法のようだね」


「ああ~……確かにそんな感じですね」


 意識を失ったんだし、定番の覚醒イベント風ではあるかもしれない。それは確かにその通りである。


「だが君達の事は少し理解できた」


 龍宮院先生は我が学園の女生徒を虜にしたキメ顔でシメに掛かった。


 ただ全然記憶がないわけじゃなくて、精神的ダメージが大きいのはなぜか合わない視線が如実に物語っていた。


「先生……気にしなくっても大丈夫ですよ? 僕の配慮が足りなかったんです。先生が体験したのはたぶん人類で味わったのが初めてレベルの大幅レベルアップなので……その……体が敏感になっても仕方がないかなって」


「そうでござる! なにも見なかった! それでいいではござらんか!」


「そうです! ワタシ達だけの秘密です! 沈黙は金!」


「いやぁ……いい物見させてもらいました。〇度3000倍ってあんな感じなんっすかね? その辺り、カフェで語りません?」


「君達黙ってくれないか!? 特に浦島さん! まったく……今日まで30台だったレベルがあっという間に100越え……しかも新しい未発見ジョブまで解放されている。もはや疑うどころか私も君達側だ。してやられたとしか言いようがない」


 龍宮院先生は頭が痛そうに額を押さえていたが、不満顔なのは浦島先輩だった。


「自分から嬉々として飛び込んだくせに……」


「そんなことはありません! しかし衝撃的な経験で、私では持て余す情報だという事は分かります!」


「そうなんですよね……」


 情報として持て余すと言うのは、僕もすごく納得するところだ。


 うんうん共感して頷く僕を先生はじっと見ていて、半眼でため息を吐かれてしまった。


「てっきり浦島さんが黒幕だと思っていたけど……ワタヌキ君、まぁ君がどう思っているのかそこのとこを聞かせてもらって構わないかな?」


 そして龍宮院先生は名指しの上でほぼ核心を突いた質問をして来るので、僕は素直に答えた。


「……そうですね。まだまだダンジョンについて僕らは知らない事ばかりなんだなって思っていますよ。ただ僕は命が掛かっている情報を確かめもせずに攻略情報として世に出すのはどうかと思います。身を持って体験して検証した方がいいかなと」


 幸い提供元は今のところ身の安全は保障してくれている。それは僕が生きているのが証明である。


 まぁ正直レポートに纏めて詳細を説明しろなんて言われても、めんどくさくて冗談ではないけど、周囲の人間に情報を渡すことは積極的に垂れ流す所存。


 僕はリスクは分散した方がいい派である。


「……つまり、情報を公表する気なのか」


「……実はもう配信中です」


「えぇ……そこは少し躊躇いなさいよ。君まだ一年生だろ?」


「いやその……サブカルチャー同好会っぽいっかなって最近始めちゃって」


「な、なるほど? ……ちなみに、今日の動画は撮っているのかな?」


 ただすぐに龍宮院先生は大事なところに気がついたらしい。


 じっと僕の目に視線を合わせる龍宮院先生に僕は……完全に負けてしまった。


「…………撮影済みです」


「バカ!」


「何で言っちゃうんですか!」


「よし! データを渡しなさい! 今すぐにだ!」 


「隠したって仕方ないでしょぉ! 渡します! 渡しますから!」


 データは奪われてしまったがまぁ仕方がない。


 龍宮院先生は今回すごく頑張ってくれたので今後の為にも今日はこれ以上負担を掛ける気なんてなかった。






「まったく油断も隙も無い……」


 ハァと龍宮院 遥は思ったよりもマズイことに首を突っ込んでしまって、大きくため息を吐いた。


 そしてまさかの一日で100オーバーにまで到達してしまった自分のレベルは、夢か幻でもなければとんでもない力を手に入れてしまったことになる。


「一応20階くらいに潜って……確認してみないとなぁ」


 結局今日一日でわかったことなんて常軌を逸しているという事だけなのだろう。


 そして職員室はやはりほんの少し前から騒がしく、慌ただしい喧騒がどこかで聞こえていた。


 外からかかってくる連絡が、いつダンジョンの魔法で空を飛ぶ技術を開発したんだとか。立体映像を映し出す魔法をイベントで使わせてほしいだとか。パイルバンカー売ってくださいだとか。


 そんな連絡がひっきりなしで来るからなのだが……だいたいあいつらのせいで眩暈がした。


 複雑な表情で椅子に体重をかける龍宮院の元に、慌てた同僚がまた一人こちらにやって来る。


「サブカル同好会について何かわかりましたか!」


 そんな質問はもはや何度目か数えるのをやめてしまった。


 そのたびに私は苦笑いで、私にもよくわかっていないんですーと、本当の事でお茶を濁すことしかできなかったわけだが、今日は自分の意思で頷いて答えた。


「いや……レイナさんの海外仕込みのスキルはさすがですね! 例の助っ人から色々教えてもらっているようですし。私達も頑張らないといけませんね!」


「やっぱり助っ人でしたか!……なら私達にはどうしようもありませんね!」


「そうですねー」


 本当のことを言ったって混乱を招くだけだと……龍宮院は判断した。


 だいたい多少レベリングに付き合っただけで、謎は深まるばかりだ。


 だからもう少し、具体的に言えばコンセプトカフェについてもう少しだけ指導し、龍宮城を堪能して、次回の新作を描き上げた後―――また考えよう。


 とりあえず顧問の先生としては、どんな情報を表に出すべきか慎重に考え、アドバイス。生徒達の意思を尊重しつつゆっくりと検討するのができた大人と言うものなのではないだろうか?


 さてこれが正解だったのかわからないが……なんにせよ、頭の整理だけでもしばし時間が必要だった。

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― 新着の感想 ―
新刊出すんですか。 根っこからサブカル側ですよ。
先生でこれなのだから、生徒会のあの2人もいずれこうなるという例に違いあるまい。
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