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ダンジョン学園サブカル同好会の日常  作者: くずもち


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第108話時を司る者

「その話はすごく興味はあるが……そろそろ私にも説明が欲しい。というか説明してくれないと、マズイ」


「というと?」


「職員室の空気がね……顧問って書類に書いてあるからね」


 僕らの話に割って入った龍宮院先生は本当に困り顔だった。


 正直申し訳ない気持ちでいっぱいである。


  ただ僕にはリクエストにすぐに応えられる自信がちょっとなかった。


「サブカル同好会なんて存在しません。サブカル研究部ならありますけどね!ってどうです?」


「そんな屁理屈をどや顔で語られても?」


「……そうですよねぇ。なんかうまい具合にうやむやにとか無理ですか?」


「無理だね。なにより……なんにも知らないのがマズイ」


 渋い表情を浮かべる龍宮院先生だったけど……知ったところで、どうなんだろう?


 説明を求められて、万人が納得する説明になるものだろうか?


 視線で他のメンバーに助けを求めると、ここにいる龍宮院先生以外は絶妙に無理なんじゃないか? という顔をしていた。


「いやーでも先生……知ったところで、話せるかどうかって別問題ですよ?」


「……君達、いつも本当に何をしてるかちゃんと聞いていいかな?」


「とりあえず……50階のセーフエリアは序の口とだけ」


「ま、まぁ。そうだろうね……」


 一端、龍宮院先生には覚悟を決めていただくとしよう。


 元凶の浦島先輩は、もうすでに全力で仲間に引き込むことを決めているようだった。


「あ、じゃあ。引きずりこむためにも、一緒に行ってみたら? 一年が一日の部屋」


「……引きずり込む」


「なるほど! 理解するためにはまず虎の穴に飛び込むのが一番です」


「虎の穴なの?」


「龍宮院先生は探索者として一流だと聞いているでござる。そこが例え地獄でも、簡単には後れを取らぬはずでござるよ」


「いやいや、地獄みたいなとこも通るんだから、冗談じゃないよ本当に」


「アハハハハ。そうでござるなこれは失敬。不謹慎だったでござるな」


「……地獄を通るの? ダンジョンにそんな場所あったかなぁ?」


 生徒とはいえ、得体のしれない僕らに囲まれ、不安のにじむ龍宮院先生だけど、大丈夫ですよ? みんな最初はそうだったんです。


 僕ですら自分のことなのに、不信感でいっぱいだった。


 しかしそこを突破してもらわないと、今のサブカル同好会……いやサブカルチャー研究部を説明することは到底出来ない。


 でもたぶん浦島先輩はいい感じに収まりのいい言い訳を考えることになるだろうなって僕は思っていたけれど。




 目指す階層は天使達の支配する75階層。


 今回はスピード重視という事もあって、僕と龍宮院先生の2人で何時ものマラソンである。


 天使達もかなり多彩になって来る、聖なる光降り注ぐ朽ちたローマの遺跡のような階層だった。


「ハハハ……何ここ楽園?」


「ダンジョンですよ。気をしっかり持ってください」


 光あふれる空間は少しならリラックス効果があるのだが、長くいると精神が昇天しそうな多幸感に満たされてしまうのだとか。


 過度に摂取するとこの階層から抜け出せなくなるから、正気でいたかったらあまり長居はしない方がいい。


 出来る限り最短のルートを通り、やって来た目的の場所はストーンサークルのように石柱の並んでいる場所で周囲は結界で閉ざされている。


 唯一の出入り口は石のアーチのような入り口なのだが、謎の文字と記号が細かく書き込まれていた。


「あのモンスターは……やばい」


「ええ。すごくヤバいですね」


 そして龍宮院先生は結界の中央に陣取る巨大な天使型モンスターを見て、顔にびっしりと汗を掻いて震えていた。


 確かに今の龍宮院先生のレベルだと、とても生き残ることが出来ないモンスターであることは間違いなかった。


 そんな先生を安心させるように、僕は何でもないように彼女に話しかけた。


「はい、ここでストップですよ。彼は無視でお願いします」


「無視!? なんかすごい存在感だけど無視して大丈夫!?」


 絶対ダメだろうと! そんなニュアンスを感じたが、ルールを把握していれば比較的安全に歩けるのが、天使系が支配する階層の数少ないいいところだった。


「こっちが攻撃しなきゃ何もしません。厳密に言うと、あの結界の中に入ったら戦闘になります」


「……これ?」


 大型天使をぐるりとサークル状に包んでいる石柱が目印で、それらが起点になって発生している不可視の結界がスイッチのラインだ。


 ただし今回僕の方は、中の彼には全く用事がなかったりする。


 取り出したのは愛用のスレッジハンマーだった。


「でも用があるのはこの結界の入り口の門なんで、必要なところだけもいで帰りましょう」


「もぐのかい!?」


「大丈夫です。もいでも次来る時には直っているのがダンジョンのいいところですよ」


「そういう事ではないと思うんだけど……」


 呆れたのか驚き疲れたのか、ハラハラしすぎて先生の顔色が悪くなってきたので、僕は急いで作業に集中することにした。


 まずは門の前で必要な部分の確認。


 時計の様なマークと、一定の文字をピックアップして印をつける。


 そしてその上下に思い切りハンマーを叩きつけて破壊した。


 よし! うまく壊れた。


 壊れた破片をリュックに詰めて、これで目的達成である。


「この門が時間を遅くするために必要な部分です。まぁセーフゾーンを作るようなものですよ」


「……それって最新技術じゃなかったかな?」


 マジかと龍宮院先生は零すけど、そういえばエキスポのステージもやってることは同じようなものらしい。 


「アレだってもいで来てくっつけてるだけです。やってる理屈は同じです」


「……聞きたくなかったなぁ」


 すごい科学技術ではないんです。魔法ですよあれ?


 そして門をぶっ壊したが、まだ動かない天使を確認して僕も実は胸を撫でおろす。


 先生の手前余裕ぶっているけどやったことがあるわけでもない。


 それに説明されたってこうも突っ立っているんだから僕だって怖い。


 ではたぶん来ないと思うけど、また会おう時を司る天使よ!


 ちなみに彼は戦うとなると行動を遅延させる魔法を多用してくる、嫌らしい戦法をしてくる系天使だった。


 守護者ではないが、いいドロップアイテムを持っているシンボルエンカウントのモンスターなので、やる気があったら挑戦してみるのもいいだろう。


 微動だにしない天使は、気のせいかちょっと困惑している様な気がした。

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― 新着の感想 ―
時間に干渉する禁断の果実がこんな簡単にもぎもぎフルーツ状態に……。
先生ってレベルいくつなんだろ 少なくとも50階層くらいは攻略してるか、あるいは極端なスピード特化でもないと、いまのワタヌキの「スピード重視」にはついていけないような気が……
時間を遅くする魔法なり素材なりがあるということは、時間を速くする魔法なり素材なりがあるということで。……つまりはそう、加速装置ができるのでは!?
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