思考盗聴機
「よし、ついに思考盗聴機を完成させたぞ」
散らかった研究所の中でヘルメット型の装置を前に博士は一人そう呟くと満足そうに頷いた。家庭での浮気調査に始まり国防にまでありとあらゆる場面で活躍するであろう機械である。
これを売り込めば莫大な金が入ってくるはずだ。その金でまた別の研究開発ができる。
博士はそのときのことを考えてニヤニヤと笑うが、ふと実証実験をしていないことを思い出した。
理論は完璧である。だが実際に使ってれば売り込むときのプレゼンにも使えるだろう。
博士は機械を頭に被ると外へと出てみた。
しばらくして博士はがっかりとした表情で戻ってくる。そして一人で呟いた。
「まともな思考をしているやつなど誰もいないのだな」