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勇太の本性

◇◇◇

 ひなたを宿に置いて俺は一人街中を歩いた。看板などが何故か意味が読めるのが気持ち悪い。

この街にはどうやら3区画に分かれているようだ。

『平民街』つまり下町。貴族街。そしてスラム街。

貴族街へはさらに厳重な門があるため行くことはできない。王城もしかりだ。

そして街中を適当に歩いている時だった。

「ちょっと離して!」

「いいからとにかくこっちに来い!」

一人の少女が三人の男たちに路地へと連れて行かれた。

知り合いならともかく見ず知らずの少女を助ける義理はない。だけど・・・。

どうみても服装がなぁ・・・。

「恩は売っておくに限るか」

俺は男たちの後をつけた。

「あなた達!このわたくしが誰だか知っての狼藉ですか!?」

「あん?てめえが誰かなんて関係ねぇよ。あんたみたいなお貴族さまなら高く売れるからよう」

「売る!?この国は人身売買は禁止されていますのよ!」

「表向きはな。闇ギルドにあんたを連れて行きゃ帝国が高く買い取ってくれるさ」

そろそろか。

「そこまでだ」

俺は男たちの前に飛び出した。

「なんだてめえ。平民のガキはすっこんでろ」

「そうだぜあんちゃん。余計なことに首つっこんだら痛い目にあうぜ」

すると少女が叫ぶ。

「お願いします!わたくしを助けーーん〜!」

男が少女の口を塞ぐ。

「さて、そこの少女。助けてやるが、今から見ること他言しないと誓えるか?」

「んー!んー!」

少女は必死に首を縦に振る。

すると男が剣を抜き襲いかかる。

「このクソガキ!」

「おっと、剣を抜いたな。つまり殺される覚悟ができたというわけだな」

「てめえ何をーー」

男が言い終わる前に男の頭部が地面に転がる。

「ひなたがいなくて良かったよ。こんな光景はさすがに見せられないからな。次はその手を離してもらおう」

「ひぃっ!」

俺は手刀を少女を捕まえてる男に向ける。

「ぐあっ!!俺の腕がーっ!!」

男の右腕が切断される。

「大丈夫、死なないようにちゃんと切断面は焼いてあるから」

千切れた傷口は魔術で瞬時に焼いて止血した。

「ば、化物!!」

残りの一人が逃げ出した。

しかしその前に俺が立ちはだかる。

「バカかお前は。俺の顔を見られたのに逃がすわけ無いだろう」

そして手刀で両足を切断する。

「ぐあ〜っ!!」

「さあて、最後の仕上げだ」

俺はそう言いながら一つの小さな筒を取り出す。

ちなみにこの路地裏の空間はすでに結界で外部と隔離してある。

「さあ、食事の時間だ」

すると筒の中から龍のように胴が長い動物が出てくる。

「こいつは管狐くだぎつね。日本に古くから伝わる妖怪の1種だ。昔駆除した中に幼体が混ざっていてな。今では俺の可愛いペットだ。さあ、食べていいぞ」

バリッ!ボリッ!

そして管狐は男三人をあっという間に食べ尽くした。

少女はその光景を唖然とした表情で眺めている。

「よし、戻れ管狐」

そして管狐は筒に戻った。

「んで、そこの貴族の人。これから人払いの結界を解くが、今見たことは誰にも言わないな?」

「はっ!?あ、ええ、もちろんですわ。まあこんなこと話したところで誰も信じませんけれど。わたくしはエレオノール・フォン・エルハンド。あなた様のお名前をうかがっても?」

「俺はユータだ」

「ユータ様・・・。覚えましたわ。この御恩はいつか必ずお返しいたします」

「ああ、また会ったらよろしく頼む。おっと!そろそろ時間か。じゃあな」

俺はそう言い残しその場を後にした。

それにしてもエルハンドって・・・まさかな。

◇◇◇

「ヒメ様!こちらにおられましたか!」

「もう!ヒメ様、護衛を振り切るなどおやめください!」

ユータ様が立ち去った後、わたくしを探していた近衛兵たちが駆けつけてきた。

わたくしの名前はエレオノール・フォン・エルハンド、この国の第三王女である。

(それにしても、ユータ様のあの風貌・・・先日召喚された勇者様と似た雰囲気がありますわね)

もう少しで帝国の奴隷となってしまうところを寸前でユータ様に助けていただいた。

それも謎の力で。

詠唱を全くしていないところを見ると魔法ではないみたいだけれど。

そして最後はあの見たこともない狐の化物だ。

あんなものを使役しているとなると近衛兵たちでも勝てるかどうか。

ユータ様がこの国に敵対する関係にならないことを祈るばかりだった。

(そういえばお父様は勇者様方に終わったら送り返すと約束したそうだけど、元の世界に送り返す方法などないというのにどうなさるのかしら・・・)

◇◇◇


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