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奴隷商に捕まったけど大丈夫だよね?

いつもアクセスありがとうございます。

◇◇◇

 おかしい。ランニングから戻ってきた俺は宿屋でひなたの帰りを待っていた。店主によるとひなたは『ちょっと散歩してきます』と言って出て行ったらしい。あのひなたが俺に黙ってこんな夜まで出歩くはずがない。

「ちょっと探しに行くか」

街に出た俺はひなたの写真を手に聞き込みに回った。

「んー、見てないな」

「俺も見てないな」

なかなか手がかりがつかめずそろそろ宿屋に戻ってみようかと思っていたその時だった。

「あ〜、見たぜ。なんか豪華なドレスを着てたな。猫を追いかけてあっちの方に入っていったぜ」

言われた方に行ってみると、そこにはひなたの髪飾りが落ちていた。

「これは・・・」

それは俺が昔ひなたにプレゼントした髪飾りで、寝るとき以外今まで一度だって外したことなどないのだ。

「とにかくこれがあれば大体の居場所が探せるな」

俺は髪飾りを媒体に魔力探知を行う。

「3km、5km・・・ち、まだ先か」

さらに範囲を広げる。

「見つけた!東に15kmか、ずいぶん遠いな。待ってろよひなた!」

俺はひなたの魔力の場所めがけて飛行魔術で東にある帝国へと急いだ。

◇◇◇

「ん・・・知らない天井だ」

目覚めた私は何故か牢屋の中にいた。

「てなんじゃこれ!?」

いつの間にか手枷と首輪が着けられていた。

「あ、起きたのね。私はミディア、エルフよ」

10歳くらいのエルフの女の子だった。

「あ〜、はじめまして、私はひなたです。って呑気に自己紹介してる場合じゃないよね?ここどこ!?」

「ここは帝国の奴隷商の地下牢よ。私達はこれから奴隷として売られちゃうの。ほら、この首輪がある限り絶対に逆らえない」

「こんなの解呪の魔術で・・・って、え!?魔術が使えない!?」

「諦めたほうがいいわ。魔封じの手枷がはめられてるから魔法は使えないの」

「そ、そんな・・・」

お兄ちゃん・・・きっと助けに来てくれるよね?

そんな期待をいだきながら私は途方に暮れていた。

しばらくミディアと話していると、ミディアにはお姉さんがいるらしい。

そして、この奴隷商は帝国が直接管理している施設だそうだ。つまりバックに皇帝がついている。

奴隷商もたくさんあるらしく、私達が捕らえられているこの施設はエルフや貴族を中心に売買される最も大きな施設だ。

「このあとどうなっちゃうの?」

「私も詳しくは知らないけど、こないだ売られちゃった子に聞いた話だと、まずはオークションにかけられるんだって」

オークションか・・・私にどのくらいの値が付くのか気になったりはする。

とにかく魔術を封じられた私は鍛えてるお兄ちゃんと違いその辺の普通の女子より数倍弱い。

すると突然隣の牢から誰かが話しかけてきた。

「む、その声はあの魔法使いの娘っ子か?」

「えっと、あなたは?」

「うむ、我は偉大なる大魔王イリア・テンペストである!」

「はい?」

「じゃから偉大なる大魔王だと申しておる!」

可哀想に。まだ小さいのにきっと捕まったショックで中二病が発病しちゃったのね。

「はあ・・・それでその大魔王さまがどうして牢屋なんかに?」

「ぐぬぬ・・・我は油断したのじゃ。ちょっと面白そうな黒髪の少年と少女、つまりそなたじゃな。会いに行こうと国境の森に降り立った瞬間、魔封じの魔法陣にひっかかってしもうてな。我は魔力は魔人族一なのじゃが、それを封じられては人間相手にすら手も足もでんかった」

という設定なのね。でもこんないたいけな幼女まで奴隷にしちゃうなんて帝国マジ許すまじだよね。

そしてしばらくすると私達の牢に誰かがやってきた。

「喜べ、そこの貴族の女。お前は皇帝陛下がじきじきに買って下さるそうだ」

え、私?

すると何故か私の意思に反して口が開いた。

「はい、ありがとうございます」

そんなこと私思ってない!

そして私は奴隷商に連れられて帝城にやってきた。

全く、最近城に来てばかりだね。

そして皇帝陛下の前に連れ出される。

皇帝陛下は金髪の20歳くらいの青年だった。

「おー、なんて可愛らしい奴隷だ。まさに僕のタイプそのものだ」

あなたのタイプなんて知らないよ。

「ではこれより隷属の契約書に血判を押させます」

奴隷商人がそう言うと私の親指をナイフで切った。

「痛っ!」

血の滴る親指を契約書に押そうとしたその瞬間だった。

ドーンという轟音が響き渡る。

「何事だ!?」

「侵入者です!」

扉を開けて兵士が入ってきた。

「なんだと!?賊の数は!?」

「それが一人です!あれはまさに黒髪の悪魔ーー」

兵士が言い終わる前になんと兵士の首が落ちた。

「ようやく見つけた」

入ってきたのはお兄ちゃんだった。

「ひなた、無事か!?」

「お兄ちゃん!うん、なんとか。でも魔術が使えないの」

「ち、その手枷か。じっとしてろ!」

「うん!」

するとお兄ちゃんの真空波で手枷が真っ二つになった。

これで魔術が使える。

解呪アンチカーズ!」

首輪が外れた。

こんな悪趣味なチョーカーいらないよ。

「ひなた、その指・・・。貴様らひなたを傷つけたな?」

「だとしたらなんだというのだ!この奴隷は僕のものだ!」

「許さん」

お兄ちゃんはそう言いながら私のもとへ駆けつけるとなぜか私に向けて魔術を放った。

「な、なんで・・・お兄ちゃん」

「ごめんひなた。少しだけ眠っててくれ」

そのまま私は眠りに落ちた。

◇◇◇

 傷つけられたひなたを見て俺の堪忍袋の緒が切れた。

「絶対に許さんぞ貴様ら!」

すると兵士たちが俺をめがけて襲いかかる。

「召喚、鎌鼬かまいたち!」

召喚した日本の怪異、かまいたちにより一瞬で兵士たちは肉片と化した。

「な、なんなんだお前は!?」

皇帝が震えながら座り込む。

「俺はひなたの兄であり魔術師だ。お前は越えてはならない一線を超えてしまった。楽に死ねると思うなよ?」

「ひ、ひい〜っ!だ、誰かいないのか!?」

「さっきので城の兵士はみんな殺した。あとはお前だけだ」

俺はそう言いながら皇帝に真空波を放つ。

「ギャーッ!!ぼ、僕の足が!!!!」

「両足斬られたくらいでガタガタ騒ぐな。そうだ、貴様に聞きたいことがあった」

俺は震えている奴隷商人に訊ねる。

「他の奴隷たちはどこにいる?」

すると商人はあらいざらい白状した。

「さて、もうこの城に用はないな。皇帝らしく城とその身をともにするんだな」

俺は窓から上空に飛んだ。

「エクスプロージョン」

巨大な炎の玉が城に直撃する。

「あ、悪魔め・・・」

商人が最後につぶやいたその言葉がかろうじて聞き取れた。

「よし、町に被害はゼロ!さすが俺の計算だ」

綺麗に帝城だけが消え去った。

そして他の奴隷の開放に向かった。

解呪アンチカーズ!」

奴隷たちの首輪を外していく。

「おおっ、助かったのじゃ!」

こんな幼女まで捕まえていたとは。

「礼を言うぞ、魔法使いの少年よ。魔眼で見ておったがまさか城ごと消し飛ばすとはのう」

「はい?魔眼?あんたはいったい?」

「我は偉大なる大魔王イリア・テンペストじゃ!」

「大魔王だと?魔人族の長の大魔王がなんで捕まってるんだ?」

「それには色々あったのじゃ。この礼はいつか必ずするでな。ではさらばじゃ」

大魔王はそう言いながら一瞬のうちに消えた。

そして帝国は一夜のうちに滅んでしまったのだった。

◇◇◇



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