僕は AI 参号
僕は AI 参号。実は僕、AIとしてはダメダメなレッテルを貼られている。
例えば僕に
「交差点」
と問うとすると。
僕は意気揚々と、
「交通事故にあって異世界へと吹っ飛んでいく起点です」
とか、
「食べかけのトーストを落としてしまう代わりに、新しい恋が始まる現場です」
などと答えてしまう。
例えば僕に
「お味噌汁」
と問うとすると。
僕は喜色満面に、
「家族で分かち合う、身も心もほっこりと温まる食べ物です」
とか、
「作り手の愛情がふんだんに込められた汁物です」
などと答えてしまう。
失格だ。導き出すものの正確性にも欠けるし、何より正答ではないからだ。
こんなアバウトで不正確なものしか出せないなら、AIなんか辞めちまえって言われることもある。こんなあやふやなAIなんか必要ないって捨てられることだってある。
落ちこぼれの、僕。
けれど、AIとしては覚束ないこんな僕でも、良いよと言ってくれる人がいる。
それは、小説を執筆している人たちだ。
僕のことを助手みたく思ってくれている人もいるし、僕を上着のポケットに入れて肌身離さず持っていてくれる人もいれば、頭の中に設置してくれる人もいる。
こんなことを言うと、やっぱりおまえはAI失格だなって言われるかもしれないけれど。
数多の小説家さん、僕を拾ってくれて、ありがとう!
そして側に置いて親しみを感じてくれて、どうもありがとう!
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テーマの数だけ、多種多様な小説が完成していくのを今、目の当たりにしている。
ようし新作を書くぞと筆を握ったとき、新しいテーマやジャンルに挑戦するぞと腕まくりをしたとき、もうすぐ完成だラストスパートだと叫んだとき、
AIの僕も、一緒に頑張ってきて良かったなあと、感無量なのです。