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79話.わたし、弱くなる

私はその日一睡も出来なかった。どうしていいか分からない。目の前が真っ暗になったような気さえした。


気づいたらいつの間にか朝だった。明るく部屋を照らす、私の心とは真反対のそれが痛いほど朝を知らせてくる。


くよくよしていてもはじまらないので、とりあえずご飯だけは食べるべきだと思いいたり、座ったままだったベットから立ち上がる。長い間座っていたからか身体がカチコチに固まっていて痛い。


「………お腹すいてないなぁ……」


実際お腹は全く空いていない。精神と食欲は大いに関係があると聞いたことはあるが、本当のようだ。ノロノロと起き上がって、冷蔵庫の中にあった冷凍パスタを電子レンジに入れる。


今どき冷凍食品なんて便利なものがあって良かったなぁと関係ないことを考えて苦笑いする。違うことを考えていないとゆうくんのこととこれからの事を考えてしまって気が滅入るから。


考え事をしている間にできたパスタを持って、リビングへと入る。ソファに座り、何の気なしにテレビを付けた。一人で食べるよりら誰かの声が聞こえていた方がいいという防衛本能かもしれない。


パチリと音を立ててついたテレビ。そこからまさかの声が聞こえてきた。


「みなさん、こんにちは、Colorsです!宜しくお願いします!」


「見てくれているみんなに、番組の最後では僕たちの歌声を届けるよ!」


大好きな人の声だった。どうやらColorsが朝の情報番組に出ているらしい。


その情報番組の中のとあるコーナーで、これはアイドルやタレントが美味しいものを巡る有名コーナーだった。毎週色んな有名人が出演しているらしい。


ゆうくんの、大好きな人の明るくげんきな声が聞こえる。それなのに、近くに君はいなくて。


「元気そうでよかった」


このコーナーは生放送だから、ゆうくんのこの様子は今の様子ってことだ。どうやら昨日のメッセージはゆうくんにとってはあまり何も感じないことだったのかもしれない。


元気そうでよかった、と思う反面、私のことはどうでもいいのかも、なんて思ってしまう私は相当心が狭いし、ダメな人間だろう。


こんな時まで自分のダメさ加減をまざまざと見せつけられて悲しくなる。気持ちが更に降下する。自己嫌悪と悲しみとで胸が押しつぶされそうになるくらい苦しい。


テレビを見ていられなくなって、直ぐにリモコンでテレビを消す。それから、まだ湯気を昇らせているパスタを無造作に口に放り込む。


「………いただきます」


食べたパスタは美味しいはずなのに酷く味気なくて、少し涙の味がした。



ご飯を食べたあと、気づいたら眠っていたっぽくて、次に意識が浮上したのはお昼を少しすぎた頃だった。ちょうど電話がかかってきたらしく、スマホが音を立てている。


出るのが億劫だったが、電話相手を見ると、新堂みゆきの文字。昨日のこと、謝れていないしこれは出た方がいいかも、そう思い、電話に出た。


電話では、みゆに昨日のことを聞かれ、思わず泣いてしまった。どうやら気づかれたらしく、結局あったことを洗いざらい喋らされた。


ああ、心配かけているなぁというのが分かる。ごめん、みゆ。私ってこんなに弱かったかなぁ。恋って本当に人を弱くするらしい。


一通り話を聞いたみゆは、


「わかった、話してくれてありがとう。あたし、ひまが倒れないか心配だよ。とりあえず今日はゆっくり休みな。またちょっと夕方くらいに連絡すると思う」


とこちらを始終気遣ってくれて、電話が切れた。


心配させてごめん。

不甲斐なくてごめん。


こんなことなら、この恋心、捨てられればいいのになぁ。


その後、本当に夕方にみゆから連絡がきた。


『明日午後7時!ここに来ること。絶対だから、拒否権ないから!』

ブックマークがお1人増えていたので、嬉しくて昨日は勝手に舞い上がって、勝手に更新祭りをしていました苦笑

今日も出来そうならもう少し更新しますね。


もうブックマークをして下さっている方、新しくして下さった方、本当にありがとうございます。

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