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78話.あたし、話を聞く

コウくんからの電話の後、あたしはいの一番にひまに電話を掛けることにする。気になり始めたら永遠に気になる。それに、昨日の夜ご飯のことも文句を言ってやろう。


そう思うが早いか、あたしはスマホでひまの連絡先をタップすると、耳に当てる。出てくれればいいんだけれど。コール音が1、2分続き、もう出ないかなと思った時、音が途切れた。


「……はい」


コール音の代わりに物凄く暗い、どんより雨雲よりさらに暗い声が電話口から聞こえてくる。


「ひま、大丈夫?」


そう心配せずにはいられないほどにはくらい声音だ。あたしの問いかけに、ひまはたっぷりと間をあけてから、


「………うん、大丈夫」


と答えた。全然大丈夫じゃないね。うん、第一声目を聞いた時からわかっていたけれども。でも、とりあえずひまと会話をしなきゃはじまらないので、大丈夫じゃないだろうというツッコミはしないでおく。まずはそうだな、無難なところからかな。


「で、昨日の用事は済んだ?」


「………っ……」


その話をした途端、ひまから息を呑むような音が聞こえてきた。それから、小さく短い呼吸音が聞こえる。大声でわめくわけじゃないし、向こうはこちらに声を聞かせたくないようだったが、息遣いでわかる。これは泣いている。


どうやら思いっきり地雷を踏み抜いたらしい。この話題なら大丈夫だと思っていたのに。どこが地雷か全くわからない。


こうなったらもう直球勝負だな。聞くしかあるまい。どうせこれなら大丈夫と気を遣ってもどこに地雷があるか分からないのだから。


「何をそんなに悩んでいるの?あたしに相談できるなら、しちゃいなさい!大方彼氏のことでしょうけれど」


そう言うと、ひまはハッと驚いたような声を上げる。感情を声だけで読み取れているあたし、凄くない?


「うん……」


それから、あたしはひまの話を聞いた。


最近あったこと全部。凛さんのこと、アキさんという凛さんの付き人のこと、蒼羽結希のこれまでのこと。


凛さんとアオくんが婚約者同士っていうのを聞いた時はたいへん驚いたが、でも、あの独占欲と陽葵愛を隠そうとしないアオくんが他の女性を好きだと言うだろうか?


少なくともあたしにはそうは思えないのだけれど。本当に婚約者なのか?そこもまぁ、怪しいし、その凛さんの付き人も怪しい。


それに、凛さんもアオくんが好きという感じには見えなかった。どちらかというと陽葵とアオくんの恋路に興味津々という視線をしていたような気がする。


何か色々な勘違いが勘違いを産み、裏を読んで空回りしているようにしか見えない。


「私、もうゆうくんと会わせる顔がないよ」


メッセージを送ってしまったと悩む陽葵。まぁ、自分の意志とは違う内容を送っちゃったら動揺するだろうし、苦しくもなるだろう。でも、たいへん、とても、まどろっこしい!!


1番大事なことは!!


陽葵とアオくん、2人でちゃんと会話しろ!!である。


お互い「そうかもしれない」って思い込んですれ違っているに違いない。だって、陽葵の言葉「だと思う」やら「に違いない」等の曖昧な言葉が多すぎる。


これはアオくん側の意見を聞かなくてもわかることがある。圧倒的な会話不足だよ、それは。


話さないとお互いわからんのは当たり前だろう!違う人間なんだから!!


はた迷惑なカップルだな!おい!


それに、倉本が可哀想すぎる。好きな子に恋愛相談されるとか辛すぎるだろう。それに、倉本は背中を押したのか、良い奴だな。そんな倉本の涙ぐましい程の愛情と努力を踏みにじるわけにはいかない。


こりゃもう、会わせるしかないな。逃げられないように2人を呼びだした方が絶対早い。あたしは、速急にどうにか2人を呼び出して会わせる算段をつけるべきだろう。


職権乱用みたいで気が引けるが、ここは、コウくんの力もかりるしかあるまい。

まどろっこしいのが苦手なみゆきさんです。

さて、ヘタレ2人は上手くいくのでしょうか。

絡まった糸はほどけるのでしょうか……。

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