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3話.雨猫、驚く

サブタイトルの解説です…(←今!?)


形はこうなっていると思いますが

〇話.★★、~


〇→話数

★→サイド、視点

~→サブタイトル


です。


よろしくお願いします。

 目が覚めると、見慣れない景色が広がっていた。初めに目に付いたのは見慣れぬ天井。そして、身体は柔らかいものに包まれている。恐らく布団だろうと思う。


 いつの間に眠ってしまっていたのか。それ以前にここはどこなのか。僕は一体……?


 確か昨日は……と思考を過去へ巡らせる。


 仕事から帰っていたら、消防車のサイレンが聞こえてきて。続けて人々がざわめく喧騒が聞こえてきて。何事かなって思いながらも自宅マンションに向かったら、赤々と燃え盛る炎をみた。


 マンションが全焼して……さ迷っていたら雨が降ってきて……そこから記憶がない。


 とりあえず今の状況を確認するべく、ゆっくりと視線を動かすと、ベッドに突っ伏している人が見えた。


 ふせているため顔は見えないが、傷みなどなさそうな真っ直ぐに長い黒色の髪が窓から入ってきているらしい朝日に艷めいている。


 綺麗だなと思ったらいつの間にか起き上がってその子を凝視していたらしい。起きたその子とパチリと目が合う。髪と同様漆黒の瞳がめいっぱい見開かれるのが見えた。


「……え?」


 白い肌に相対するような桃色の唇からぽつりと声が漏れた。純粋に綺麗な人だと思った。


 とりあえず何か言わなきゃと思って、


「おはよう…?」


 今、朝であってるよね?なんて考えていると、


「きゃあああああ!!!」


鼓膜を突き破るような絶叫が部屋に響き渡ったのだった。


 え……?な、何事……?


 間近で悲鳴を上げられたことは何度もあるが、こんなにも驚いたような、黄色くない悲鳴は初めてだった。


 それから、落ち着いたらしい女性に話を聞くと、どうやら僕は雨の中で倒れていたらしく、この目の前の綺麗な女性は僕を家に運んでくれたらしい。


 僕が言うのもなんだけれど、見ず知らずの男性を家にあげるって大丈夫なのかな。


 それとも、僕が誰だかわかって家に上げたのかな……。


だって、僕の仕事は……


アイドル、だから。


アイドルグループの一員だから。下心があって近づいてくる人はごまんといる。


 そう思って、それとなくきいてみると、逆に不思議な顔で「どこかでお会いしました?」と聞き返されてしまった。


 その顔は本当に知らない人のそれで。


 ……下心じゃないってわかってよかった反面、「知られてないんだ……」と少し悲しい気持ちになりました。


 結構有名なアイドルグループなんだけれどな。


まだまだみたいだ。もっと精進しないと。


もしくは、アイドルとして活動している時はウィッグにカラーコンタクトしているから分からないだけなのか……。


 その後、その女性の名前は結月 陽葵さんだということがわかった。僕も名前を聞かれたけれど、どうしようか迷って、本名で答えた。相手が知らないなら、アイドルだって知られない方がいいよね、と思った結果だ。


 本名で名乗ると、「綺麗な名前ですね。それに、希望を結ぶなんて素敵です」と言われた。少し驚いたけれど嬉しかった。だからなのか、一瞬、本当に一瞬、向けられた笑顔に心臓が音を立ててはねたのだった。


 なんだろう……?


 それから、何ともタイミング悪く、いや良く?、僕のお腹が音を立てた。空腹の合図である。話している途中にお腹を鳴らすアイドルってどうなんだろう……自分。


 なんて思っていると、朝ごはんに誘われた。助けて貰った上にごはんをご馳走になるとか図々しいにも程がある。流石に申し訳ないと思って断ったけれど「私、空腹の人をそのまま放り出すほど無慈悲じゃないですから!」と半ば強引に食卓につかされた。


 それから、自分はキッチンの方へと向かう足を1度止めて、


「朝ごはんとか大層なこと言っちゃいましたけど、食パンとハム、それに目玉焼きくらいしか出せません、ごめんなさいね」


「あ、いえ、ありがとうございます」


 僕がそう言うと、「ちょっと待っていてくださいね」の言葉と去り際に笑顔を一つ。それから、陽葵さんは、そのままキッチンへと入っていった。


 案内されたこの部屋はどうやらリビングダイニングのようで、僕が座るこげ茶色基調のテーブルと椅子4人がけが部屋の中心にあり、その縦に長いテーブルの少し開けて右側に陽葵さんがいるキッチンがある。そのキッチンの右横は先程入ってきた扉。扉を出ると先程の寝室に繋がる廊下がある。


 キッチンでは、陽葵さんはサッサと食パンをトースターにさしてから、慣れた手つきでフライパンにハムを入れ、それから卵を2つ割り入れる。


 少しするといい匂いが部屋に漂う。じゅーっという音も食欲をそそる。


 その様子を見ていたら、目線を上げた陽葵さんとパチリと目が合う。ちょっと気まずい。


 陽葵さんはニコッと微笑んだ後、


「あ、ゆうきさん、卵は半熟派ですか?全部固めちゃう派ですか?両面焼きも出来ますけれど」


「卵……そうだね、半熟でお願いできたら嬉しいです」


「りょーかいです!実は私、卵焼くのには自信あるんです!!」


「どんな自信ですか、それ」


 陽葵さんがぐっと親指を立ててあまりにも自信満々に言うから、思わずクスリと笑ってしまう。


「あ、今、笑いましたね?ほんとなんですからね!見ててくださいよ?」


 それから陽葵さんは宣言通り完璧な半熟目玉焼きを作り上げ、ハム、パンとともにお皿に入れると、僕の前と向かい側の席の前に置く。


「どうですかー?完璧でしょう?」


「そうですね」


 また陽葵さんは自信満々に言うから少し笑ってそう返した。


 食べ始めて数分。陽葵さんは、少し迷うように瞳を左右に動かしたあと、こちらを見る。


「……あの、差し支えなければでいいんですが……どうして昨日、あんな所に?」


 そうだよね、普通気になるよね。でもまあ、大した理由じゃないから……。


「あー、大したことないんだけれど、仕事から帰ってきたら家が家事で焼けちゃってて……そのままさ迷っていたら雨が降ってきて……そのまま」


「た、た、大したことあるじゃないですかっ!!」


 僕の言葉に、ガタリと立ち上がりながら言う陽葵さん。それから、


「じゃ、じゃあ、今後行くところとかは……?」


「住むところって言われたらない、と答えるしかないですね。まあ、でも何とかなりますよ ?」


 家、焼けちゃったし。


「どこで寝るんですか?」


 そう聞かれるから、そうだなぁ、新しい家を探すまではホテル暮らしかな……。


「ホテル……」


 そう言うと、陽葵さんは顔色を伺うように、


「でも、火事だって……」


 そっか、ホテルに住むならそこそこお金かかるか……通帳……部屋にあったよなぁ……。


「あー、通帳、火の中ですね……」


「再発行ですかね……身分証明書は……」


 流れる無言の時間。


 運転免許証とか保険証とか……?

 さ、財布に入ってたかなぁ……?

 なかった気がするなぁ……再発行できるかな?


「……。でも、何とかなります、多分」


「いや、それ、何とかなりませんよ!」


 何とかならないかもしらないけれど、これから何とかしなきゃいけないし。そう考えていると、陽葵さんは少し迷うように視線をさ迷わせたあと、こちらを見すえる。


「あー……、うちに、住みますか? 次の家が見つかるまで」

今日の更新はこれで終了です!!

初日でドキドキです!!


いかがでしたか?

楽しんで頂けています?


拙い文章ですが、これからもよろしくお願いします|ョω・`)


そして、ブックマークと評価、つけて下さった方、ありがとうございます!貴重な1人ずつ!私、画面の向こうにいるであろうあなたのためにも頑張りますね( *¯ ꒳ ¯*)本当にありがとうございます!




次回の投稿は【9月9日 朝8時】予定です!

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