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〇番外編2.Colorsの日常編1

「ねぇねぇー、今日のお昼ご飯、『つばき』の唐揚げが食べたいー」


アヤが楽屋のソファに座りながら一言、そう言った。食事処『つばき』とは、この仕事場から少し行ったところにある、Colors行きつけのご飯屋さんである。どの料理も大変美味で、特に唐揚げが美味しい。ちなみに夜は居酒屋になる。


アヤの声に反応したのはメンバーのユカリだった。ユカリは少し上を向いて悩む素振りをみせる。


「でも、メイクも終えちゃいましたよ?出番もお昼終わった後すぐですし。行って帰ってもう一度用意するとなると間に合わなくなりませんか?」


それからそう口にした。先程は時間を計算していたらしい。ユカリの言葉に続けて話したのはアオである。


「でも、僕も唐揚げ食べたいなぁー」


すると、アヤがいいことを思いついたとばかりにバンッと机を軽く叩いて立ち上がり、それからニコッと笑った。満面の笑みである。


「じゃあさ!髪型も化粧もこのままで、帽子とかでバレないように行くってのはー?変装すれば大丈夫でしょー」


「いいねー!」


アオがニコニコと笑って言い、


「よし、面白そうだから俺ものるよ」


コウもパチリとウインクをして言う。最後の砦を奪われたとばかりにユカリが眉を下げた。


「ユカリくんも行くでしょー?」


アヤの問いに、ユカリは


「わかりました。乗りかかった船ですから私も行きます……」


と不承不承頷いてみせた。


「やったぁ!決まりー!」


これから始まるのはそんなことから始まったちょっとした冒険物語である。



その後、4人はそれぞれマスクを付ける。その後、髪の毛を隠すのに、アオ、アヤは着ていたパーカーのフードを被り、ユカリとコウはキャップを被った。ユカリもコウと も長い髪は一つにまとめて帽子の中に入れている。


カラーコンタクトはまだ入れていなかったからそれぞれの裸眼でいく。アオの場合は元がコハクの瞳のため目立つからという理由でメガネをかけた。ちなみにサングラスをかけなかったわけは、マスクとフードをしている上にサングラスをしたら不審者に見えたからである。


そしてそれぞれ、名前は本名で呼ぶことにした。アオは結希、コウは透、ユカリは薫、アヤは樹である。


「しゅっぱーつ!」


うきうき声でアヤ改め樹が言いながら先頭を切って外に飛び出していく。それとは裏腹にユカリ改め薫は最後尾に付き、辺りをこわごわと見回している。ちなみに2番めはアオ改め結希、3番目がコウ改め透である。


「薫〜。そんなにビクビクしていたらそっちの方が怪しいよ〜?」


結希がそう言うが、薫はブンブンと首を横に振ってからちょうど前を歩いていた透の腕をぎゅっとつかんだ。


「そうは言っても、バレたら大変です……」


「薫くんは心配症だなぁ〜。バレたら走って逃げればいいよー」


樹がクスリと笑う。薫は更にぎゅっと透の腕を握った。


「そんな適当な……」


その様子をどこか微笑ましいものを見るようにして見ていた透は、ポンポンと頭を撫でてから店を指さす。


「薫、ほら、もうすぐ着くよ?」


「はい……」


何事もなく着いたことに少しホッとしたような顔で薫は頷いた。


「さー、行こー!」


樹の掛け声で4人で店の中へと入る。濃い青色のれんに『食事処 つばき』と白地で書かれたその店は昔ながらの食堂だ。中は、テーブル席がいくつかと厨房に面するようにカウンター席が並んでいる。椅子やテーブルは全体的に木製出できており、そのどれもが深く濃い茶色で、使い古している事がよくわかる。この店は長い間ここにあるのだ。


「おー、結構人がいるねぇ」


樹が店の中を見回しながら言う。入った店の中は、樹の言うように、お昼少し前なのに混み合っていた。3分の2くらいは埋まっている。この分では昼になったらすぐに満席になるだろう。オフィス街にあるのに加えて料理は安くて美味しいからこの店は昼も夜も繁盛しているのだ。常連さんも多くいる。Colorsの面々も常連である。尤も、普段Colorsが行く際は衣装やメイクはしていないし、こんな風にコソコソもしていないが。


「いらっしゃい〜」


店員さんが笑顔で声をかけてくれる。のれんと同じ濃い青のエプロンをした恰幅のいいおばさんだ。肝っ玉母さんと言う名前が似合いそうな彼女はこの店の奥さんである。ちなみに厨房でご飯を作っているのがこの店の大将であり、この彼女の旦那さんである。2人でこの食堂を切り盛りしているのだ。


「4名様でいいかい?」


「はい」


奥さんの問いに代表して透が返事をすると、奥の4人席に案内された。4人が席に着いている間に彼女はメニュー表とお冷、おしぼりを取りに行き、4人の前に置いた。


「注文が決まったら呼んでおくれ」


と言いながら彼女は去っていこうとするが、注文はここに来る前から決まっているので、「もう決まっています!唐揚げ定食4つで!」と結希が呼び止める。すると、彼女は人の良さそうな笑顔を顔全体に浮かべて、「唐揚げ定食4つだね!わかった」と言ってから、大将に向かって、「唐揚げ定食4つ!」と大きな声で言ったのだった。


樹と結希は唐揚げ定食が来るまでワクワクした様子で待っているが、薫は辺りをキョロキョロとしていて落ち着かない。


その時、誰かが、


「あ!」


と声を上げた。

長かったので2つにわけました……。

この続きは、出来次第……。

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