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110話.わたし、相談する

打ち合わせが終わったあと、宇佐美凛さんとみゆ、そして私は、ちょうど昼休みの時間帯に一緒にお茶をしていた。


化粧品のデザインの仕事以来、時折宇佐美さんと仕事をする機会があり、従って昼休みや仕事終わりにご飯を食べたりお茶をしたりするようなことも増えている。


話す内容も仕事のことだけではなく、最近の流行りやプライベートのことなど、様々なことを話す。宇佐美さんはとても気さくな方なので、話しやすい。仕事仲間だが友達みたいな関係だと勝手に思っている。


そういうわけで、本日も3人でカフェに入り、お茶をしているのである。


正面に座る宇佐美さんがカフェで紅茶を飲んでいる姿が美しい。様になっているとでも言おうか。そこだけお姫様が出てくる物語の世界みたいに優雅だ。彼女はカップに入った紅茶を音を立てずに飲むと、丁寧な所作でソーサーに置く。それから、上品な笑みを浮かべた。


その優雅さ、私も見習いたい。


「あら、素敵ですわね!」


それは私が言った、「ゆうくんの誕生日に何かを送ろうと思う」という発言についての宇佐美さんからの返事である。ゆうくんの誕生日は10月。たまたま話の流れでゆうくんの誕生日の話になり、そろそろ秋も深まって、10月が目前に迫った今、考え始めた方がいいと言う話になったのだ。


「リア充だねぇ〜。いいねぇ〜」


宇佐美さんに続いて、今度は隣に座っているみゆが眉を上げながら、からかうような口調で言った。それから、私の肩あたりをグイグイと肘で押してくる。そう言われると恥ずかしくなるし、いたたまれない。


「何がいいと思いますか?」


みゆの腕を押し返しながら問いかけると、宇佐美さんは小さく首を傾けて悩んでくれる。サラリと美しい漆黒の髪がその動きにあわせて、計算されたように動く。つやつやの髪、綺麗だな。シャンプー何を使ってるんだろう。


「そうですわね〜。わたくしもあまりプレゼントをお贈りしたことがないので難しいですわ」


目を伏せて悩む宇佐美さんはどんな角度から見ても綺麗だし、洗練されている。そのまま少し悩んでから、こちらを見やる。


「ですが、そう言えば、アキは昔、男性にネックレスを贈ったことがあるらしいですわ」


アキとは宇佐美さんのお世話をしている香野亜希子さんのことだ。少々苦い思い出もあるが、宇佐美さん大好き人間である。あんなに宇佐美さん第一主義の香野さんにも好きな人がいるんだなぁ。ちょっと意外だといったら失礼かもしれない。


なるほど、アクセサリーか。日常使いできるものなら、使ってくれるかもしれない。


「でも、アクセサリーって人を選びそうではありませんか?あんたの彼氏はアクセサリーをつける人?」


みゆが少し悩んだ後、そう言った。なるほど、確かにゆうくんがアクセサリーをつけるイメージはあまりない。贈ったら使ってくれるかもしれないが、普段つけない人にとってはあまり要らないものかもしれない。


「つけているイメージはないかな」


「たしかに、結希……蒼羽さんはアクセサリーって柄ではありませんわね」


私の言葉に、宇佐美さんは少し悩んだ後、苦笑しながら頷く。名前を言い直してくれたのは、私に対する配慮だと思う。


「今まで通り呼んでくださってかまいませんよ」


「わかりましたわ。結希に似合いそうなプレゼント……難しいですわね」


「マフラーとか?これから冬になるし……。手編みとかしてみるのはどう?……これから編むのは厳しいか!」


今度はみゆが提案をしてくれるが、自分ですぐに首を振って否定した。さすがに初めてするのに数週間で贈れるようなものが作るのは難しいだろう。そこまで器用ではないので、失敗する確率の方が高そうだ。


「ゆうくんがよく使うもの……か」


「お仕事で使う物でも良いかもしれませんね」


「じゃあさ、無難にペンとか?」


みゆがつづけて提案する。ペン!なるほど!いいかもしれない!


「ペンか!いいかも!!仕事で使えそうだし、普段でも使えそう!最近は名前いれとかもできるらしいから、入れてもらおうかな!」


私が言うと、みゆはニッコリと笑う。そんなわけで、プレゼントの最有力候補が決まった。


「ありがとうございました。2人のおかげでプレが決まりそうです」


「それはよかった」


「わたくしも気になる殿方にプレゼントを贈ってみたいですわー」


みゆはニッコリと笑顔を浮べ、宇佐美さんは紅茶を一口のむとわざとらしく物憂げな表情を浮かべて小さくため息をついた。


「そういえば、宇佐美さん、気になる方がいらっしゃるっておっしゃっていましたね?」


私が問いかけると、宇佐美さんは分かりやすく、ボンッと爆発したように顔を赤くした。耳まで赤く染っている。


「え!そうなんですか!」


みゆが驚いた声を上げる。


「……」


宇佐美さんはカップをソーサーに戻すと、両手で顔を覆ってしまった。普段冷静そうな宇佐美さんがこんなにも取り乱している姿ははじめて見たかもしれない。


「え、宇佐美さんの恋愛話、あたし、聞きたいです!!」


「え、あ、えっと……」


目をきらりとさせたみゆが宇佐美さんに迫る勢いで身を乗り出しながら言った。宇佐美さんは少したじろぎ、真っ赤な顔をした。


「聞かせていただけますよね!?」


「えっと……ちょっとだけなら……」


グイグイとしたみゆの勢いに押されて、宇佐美さんはこくりと小さく頷いた。それから、宇佐美さんは、興味津々のみゆ根掘り葉掘り聞かれたのは言うまでもない。


照れている宇佐美さんは大層可愛らしくていらっしゃった。

第1章にある、ゆうくん誕生日記念日短編に繋がるように書かせて頂きました。覚えている方がいらっしゃったらとても嬉しいです!

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