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103話.雨猫、感想をもらう

ライブリハの休憩時間。これまで通しでしていたので、疲れた。床にごろりと大の字に横になる。まだ少し息が荒い。さっきまで全力で踊って全力で歌っていたからだろう。


「疲れた〜」


そうしていると、メンバーのアヤも隣に寝転んだ。そのまま、ふわぁ〜と大きなあくびを1つ落としている。


「疲れたねぇ、アオくん。僕、もう眠たいよぉ〜」


ふふふと力なく笑うアヤ。そうしていると、今度は同じくメンバーのコウがやってきて僕にペットボトルに入った水を手渡してから僕の隣に座った。アヤとは反対側だ。


後ろからメンバーのユカリもやってきて、アヤにペットボトルを渡している。アヤに手渡した後は、アヤの隣に体育座りで座った。


「ありがとう、コウ」

「ユカリくん、ありがと〜!」


僕とアヤの声が重なる。コウは優しく慈愛深い笑みを浮かべて「どういたしまして」と言い、ユカリは少し照れたような顔して頷いた。


「そういえば、アオはドラマの撮影、終わったんだったよね?この前クランクアップしたってドラマのSNSで見たよ」


コウがそう言った。コウが言っているのは、僕が初主演を務めたドラマ、『迷探偵Aの珍道中』のことである。俳優の月見里 悠悟さんとも共演させてもらって、とても勉強になった。


「私もそのSNS、見ました。そして、ドラマも見ています。毎回手に汗握る展開があって、緊張してしまいますが、とても面白いです」


「僕もSNS見た!僕も、もちろんドラマを見ているよぉー!ドキドキして楽し〜!毎回主人公Aのとんでもない行動にハラハラしっぱなし!」


コウの意見に、ユカリとアヤがうんうんと頷く。ユカリは自らの手をギュッと握ってそう言い、アヤは先程までは眠そうだったが、今やすっかり目が覚めたらしく、寝転がっていた身体を起こしてうんうんと頷いている。


「うん。撮影はとても楽しかったし、勉強にもなった!違う人間になる?みたいな感覚がなんか不思議で面白かったよ。また機会があったら演技をしてみたいなぁ」


僕がそう言うと、ユカリは少し考えるように首を傾げた。


「演技とはそんなにたのしいのですか?そういえば、コウくんは元々俳優をやってらしたんですよね?」


「うん、アイドルをする前は俳優だったよ。今もたまに俳優の仕事をしているね」


ユカリの問いに、コウは頷く。コウは僕と同じ時期に株式会社ビジューのオーディションを受けたのだが、事務所に所属した当初は俳優として活動していた。名前も本名だったらしい。


「楽しくはあるけれど、大変でもあるかな。俺はその人になるっていうよりは、色々調べたりしてその人のイメージを作り出していくっていうのが近いと思う」


「なるほど、人によって違うんだ!」


アオが言うと、コウがうんと頷く。


ちなみにだが、アヤも俳優の経験がある。元々子役だからだ。一時期、3年ほど活動休止期間があって、それからはドラマには出ていないが。僕は小さい頃、音楽情報しか教えて貰えなかったから、詳しくは知らないが演技関係で何かあったらしい。


それゆえに、アヤは演技関係の話を自分からはしない。だが、前に、話題に出さないのは気を遣われている感じがして嫌だ、というようなことを言っていたからあえて避けたりはしていない。


「アオくんは今回、月見里 悠悟さんと仰る俳優さんと共演だったのですよね。どのような方なのですか?」


「とてもいい人だよ!あとは、そうだな、大人の色気!って感じ。あと、ジェントルマンだよ。撮影期間中はよくご飯に連れて行ってくれた!!」


とても優しく、いい人だった。でも、ドラマ撮影の終盤は少し何かに焦っているような気がしないでもなかったが。優しくいい人なのは変わらなかったが、様子がおかしかった気がする。


「でも、少し気になることがあって。後半の撮影の時、話しかけても上の空だったことが結構あったんだ。何か考え込むような、何かに焦っているような……焦燥感?を感じたよ」


僕が言うと、ユカリがぱちくりと瞳を瞬かせ、コウは少し驚いたように目を見張り、アヤは考え込んでいるようだった。


「疲れていたんですかね?」


「単にそれだけかなぁ〜……?」


ポツリと零したような声がアヤから聞こえる。一斉にアヤに視線が集まるが、アヤはうーんと考え込んでいる。


「アヤ……?」


「ううん!なんでもない!ごめん〜」


僕が声をかけると、アヤはハッとしたような顔をして、それから首を横に振った。それから、時計を見て驚いたような声をあげる。


「あ!そろそろ再開しなきゃだよね!」


「本当だ。すっかり話し込んじゃったね。再開しよっか」


コウも時計をみて少し驚き、それからニコッと笑ってそう言った。それを合図に練習が再開したのだった。

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