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僕は何色  作者: 燃志
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プロローグ

物事には何事にも良い面と悪い面がある。誰にも表と裏があるように、それは当たり前でだからこそ忘れ去られている。そう、言うなれば表裏一体。これはまだ僕がいや、僕達がそのことに気がついていなかったときの話。そのことに気がついていなかったからこその話。

胸を弾ませながら高校に入学して、もう1年が過ぎた。時の流れっていうのは、過ぎ去っていくときは何日、何ヶ月とどれだけ長い時間を過ごしても、後から見返して見れば、ほんの少しの時間のようだ。僕にとって何一つ面白いことなど無かった去年なんかは特に。結局、高校デビューにどれだけ胸を躍らせたって変わらないのだ。人ってもんはそう簡単には変われない。だから、俺は中学時代と同じようにまたいつも同じ景色を見ているんだろう。何度見飽きたと心の中でぼやいても変わることのない景色を。

同じ壁や床が使ってあるこの学校もクラスによって色も景色も違う。同じ2年7組っていうクラス内でも、確かに色は違うんだから。例えば、クラス内カースト最上位の真ん中で輪になって話している月城さんの周りはオレンジ色だ。黄色っぽくなったり、赤っぽくなったり、そんなオレンジ色。誰しも色ってものを持っていて、それが混ざり合ってあのオレンジ色を作っている。あの、青を無理やり上から塗りつぶして青を消しているかのようなオレンジ色を。

中学のとき、道徳の授業であなたの心の色は何色ですかって聞かれて、先生からハート型の輪郭が書いてある白い紙を渡された。そのハートの中に自分が思う色を塗るという授業だった。赤や緑を塗っているクラスメートが多い中で僕が選んだ色、それは白だった。

先生からは何色にでも染まれるのは良いですね。っと言われた。正直何を言っているのかわからなかった。白っていう色は何色にでも染まったりなんかしない。君は絵画の授業で赤い絵の具に白い絵の具を混ぜたことがあるだろうか。赤じゃなくて青でも黄色でもいい。とにかく他の色の絵の具に白い絵の具を混ぜたことがあるだろうか。赤い絵の具に白い絵の具を混ぜた瞬間それは赤でも白でもない新たな色になる。絶対にだ。言いたかったのはこういう事である。つまり白はどれだけ赤になろうとしても赤にはなれない。染まりきらないのだ。だから僕は誰とも気が合わない。合いそうで合わないのだ。それなのに赤に強烈な憧れは抱いてしまう。

これは、僕が自分の色を見つける話。

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