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三神正義と魔法の箱  作者: 桜華 澄
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決意

決意


マリアは、うなずきながら聞き入っていた。どうやら落ち着きを取り戻してくれたようだ。

「セイギ、私もそう思うよ。セイギって大雑把な人かと思っていたけど、意外に深く物事を考えることもあるのね」

「意外にとは何だ。それって、俺がいつもは何も考えていないみたいな言い方じゃないか。まったくもうー」俺がふくれっ面を見せるとマリアは、

「セイギ、ごめん、ごめん。気を悪くしちゃったかな」

彼女は声を出して笑った。俺もつられて笑った。そんなやりとりをしていたら、ミーシャヲが俺の近くに飛んできた。

「正義、ジョンは大丈夫だ」

「ミーシャヲご苦労様。よくやってくれたね」

俺がミーシャヲをねぎらっていると、翔兄さんも手術室から出てきた。

「兄さんありがとう」

「何、もっと難しい手術を手掛けたことがあるからそれに比べれば今回の手術は楽だった。もちろん成功だよ」

ジョンは穏やかな顔で眠っていた。今回倒れたのはやはり銃で撃たれた時の傷が原因だった。ジョンが撃たれた時に行われた手術では、弾丸の破片が完全に摘出されていなかったようだ。彼は普通の病室に運ばれていった。マリアはジョンのところに行った。俺はもう心配ないと思い自分の病室に戻った。するとルシムが戻ってきて、

「ジョンが元気になってよかったですね。正義の体が治ったら日本に戻りましょう。」

「わかっているよ。でも今日はさすがに疲れたな」


正義のリハビリ


次の日の朝、俺の周りを飛び回っているミーシャヲがいつもより騒がしかった。

「ミーシャヲどうしたんだ。まだ朝早いぞ。俺は朝飯食ってないし…」

「正義、今日は病室周りがしたい。お兄ちゃんと一緒で楽しかった。あたい、またお兄ちゃんを手伝いたい」

楽しかったなんて言われても困るな。でもミーシャヲも俺の期待通りよくやってくれたのだから、今度は願いを聞いてあげようと考えた。

「ミーシャヲ、兄さんの予定を聞いてみるよ」

俺がそう言うとミーシャヲは、

「正義、サンキュー」とさらに楽しそうに飛び回った。

間もなく朝の検診でマーガレットがやってきた。マーガレットに今日の翔兄さんの予定を尋ねると、

「ドクター三神の予定は…。午前中は病棟内の回診です」と答えた。

「ありがとう」

「それにしても正義の回復力はすごいですね。今日もリハビリを行いますが、もう外出できるほどにまでになっています」

「そうか、ありがたい」

「お大事に」

マーガレットはそう言って病室を出ていった。しばらくして朝食が運ばれてきた。食事をしていたらミーシャヲが来て、

「あたい、すぐにお兄ちゃんのところ行きたい。すぐに病室見たい」

とわがままを言ってきた。

「しょうがないな。兄さんはもうすぐここに来るから、それまでこの部屋からあまり遠くへ行かないで待っていなさい。兄さんがここに来たら、そのままついていっていいぞ。」

「わかった。すぐ戻るようにする」

ミーシャヲは飛んで行ってしまった。

ゲンキンな奴だ。でもこれがミーシャヲのキャラなんだよな。俺はそれが大好きなんだ。アメリカまで来た目的の一つは、ミーシャヲに最先端医療を見て貰うことだった。出来る限り協力してやろう。今日はいいチャンスかもしれない。俺がそんなことを考えていたら、翔兄さんが病室にやってきた。

「正義、今日は気分がよさそうだな」

「そうだよ。とても気持ちがいい朝だ。それから、俺の医療天使、ミーシャヲがアメリカの医療現場を見たいと言っているんだ。兄さんには見えないだろうけど、今日ミーシャヲが兄さんについて回ってもいいかな」

「そうだな。ミーシャヲの不思議な力は、僕に伝わってくるのが感じられた。何か見えない力に後押しをされている感じだった。すごいよな。よし、正義の頼みならオーケーさ」

「ありがとう、兄さん」

話を聞いていたルシムが、

「ミーシャヲを呼んできましょうか」と気を聞かしてくれた。俺がうなずくとルシムは飛んでいき、すぐにミーシャヲを連れて戻ってきた。

「ミーシャヲ、兄さんについていってくれ」

「あたい、がんばる」


ミーシャヲとゴーズの動向


ミーシャヲは兄さんのそばをグルグル回りながらついていった。実はアメリカの医療現場は俺も見たかったのだ。だが、今は体を回復させることに専念しなければならない。一緒に歩きまわってダウンしてしまったら元も子もない。

ところでゴーズはというと、俺が入院している間アメリカのいろいろなところを回ってきたようだ。ゴーズは、

「おかげでアメリカのかなりな都市を行くことができた」

「それはよかったな。でもアメリカ人の中には、俺みたいな能力を持った人もいたんじゃないかと思うが、ゴーズどうだったか」

「正義の言うとおりだ。わかるか」

「そうか。俺もそれぐらいのことはわかるさ。ところで正体を見破られたりしなかっただろうな。あとお前が回ってきたところの事を俺に詳しく話してくれないか。『死神の大冒険』なんて面白そうじゃないか」

「正義、何を言う。そのようなことは我は好まぬ」

いつもは落ち着いた雰囲気でいるゴーズだが、俺がからかうので、慌てふためいているようだ。天使たちと俺がこうしたやり取りをしていたら、マリアとジョンがやってきた。

ジョンは車いすを使用しているが、顔色もよく、かなり元気を取り戻していた。

「ジョン、だいぶ良くなってきてよかったですね」と言うと、

「ありがとうセイギ。実は珍しく、今日夢をみたんだ。小さい女の子が体の中を行ったり来たりしていた。すると体がよくなっていったんだよ。それと、黒い帽子の大きな男がやってきて、『おまえ、とてもえらい。国のために命を懸けて仕事しているんだな』と言っていた。」

「ゴーズだ」俺とマリアが同時に言った。

「ジョン、最初の女の子がミーシャヲ。次がゴーズよ。会ったのね」

マリアはうれしそうにしていた。

三人で話をしているところに回診を終えた翔兄さんがやってきた。

「みんなはここにいたのか。ミーシャヲが動いているのを感じたよ。もちろん僕には見えない。でも患者さんのところを訪ねるたびに、いつもよりも元気そうにしていたんだ。

だから、ミーシャヲが何らかの治療を行っていたんじゃないかと僕は感じとったんだ。」

戻ってきたミーシャヲは俺の周りをまわりながらはしゃいでいた。マリアもミーシャヲに目をやりながら、

「ミーシャヲ、わかるわ。楽しかったのね」と言った。

俺もジョンももうじき退院できる。それにしても、いろいろな経験をしたアメリカ滞在だった。ここで会った人たちから俺が学んだことは意義深い。進路も決まった。

日本に戻ったら俺は医者を目指してしっかり勉強するぞ。

俺は、アメリカでの出来事を振り返りながら、決意を固めていた。


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