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三神正義と魔法の箱  作者: 桜華 澄
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プロローグ

主人公、三神正義は不思議な夢を見る。それも同じ夢を何回も繰り返す。それが死神が出てくる夢で、何故その夢を繰り返し見るのか気になっていた。あるきっかけで韓国の仙人に会うことで、正義の異能力が発動し、悪霊や天使が見れるようになる。その能力を使って死神と天使と協力して、人間を脅かす悪霊退治に乗り出す。そして正義は医者の能力も目覚めていくのです。

三神正義と魔法の箱


桜 華  澄


俺の名前は三神正義セイギ。世田谷区の都立高校に通っている。平凡な人間だ。

だが俺はたまに自分の存在がわからなくなることがある。自分の生きている意味は何だろうか。人生というものに果たして目的はあるのだろうか。

俺はある事件をきっかけにそんなことを考えるようになった。


プロローグ

 

みなさんは死神を見たことがあるだろうか。この頃夢に現れる死神は、どうも悪い存在ではないように感じている。

 一般的なメージでは、死神は大鎌を持ち人の魂を刈るというものである。振り上げられた鎌は振り下ろすときに、必ず誰かの魂を刈ると言われている。やつの鎌から逃れるためには命を狙われた人が誰かの魂を死神に捧げなければならない。

写真に死神が写ってしまった場合、それは命に係わる危機だとする迷信も存在する。

また、死神は人が死を迎える前の七日間、観察期間を置き『実行』か、『見送り』か、判断する仕事を行うともいわれている。

 歴史的には聖書の出エジプト記に『ヤハウエが創造した命あるものの名が記されている書』の中から、人の命に関与する存在の名が消されている。そのことからそれを『死神』と呼ぶようになったとされる説もある。

イタリア喜歌劇、ダンテの神曲、グリム童話などで、死神は基本的に悪い存在として描かれている。しかし、死神には死を迎える予定の人間が魂のみの姿で、現生に彷徨い続けるのを防ぐという冥府の案内人としての役割を持つとされる。輪廻転生に関連付けられる地域では、死と再生の神々としてとらえられている事も多い。


古典落語の死神


最後に死神を題材にした古典落語を紹介しよう。

主人公に死神が取りつき、彼はそれが死神であることを理解する。そして死神の言うとおりに医者になる。彼が重病患者を診る時に、死神が病人の枕元に座ればその人は助からず、死神が足元に座ればその人は助かる。死神が見える彼は、こうして病人の生死を確かめることができる。だがある日、死の運命にある患者から、三千両で何とかしてほしいと懇願され、お金に目がくらんだ彼は、死神が居眠りしている間に布団を半回転させ、死神を呪文で追い払ってしまう。

やがて彼は死神に捕まり、たくさんのローソクの揺らめく洞窟に案内される。ローソクは人間の寿命を現すということである。彼のローソクは今にも消えそうだ。

金に目がくらみ自分の寿命を売り渡したのだ。彼は死神から渡されたローソクを継ぎ足そうとするが、結局炎は消えてしまう。そんな落ちだ。


 寿命というものはあらかじめ決まっているのか、あるいは人間自身の努力でどうにでもなるのか、地上で善良な生活をすれば永遠の天上世界では善なるところに行くのか。もしそうであるなら、地上で善人として生きるべきなのか。

俺はそんなことを考えながら、いつも通り学校に向かった。寝不足が原因だろうか、最近授業中に意識がなくなり夢を見ることがある。これは問題だと思っていた。

その夢というのは、俺が幼児で、従妹のレナといつもの空地でかくれんぼをしているという光景だ。鬼になった子が、隠れるほうになった子を見つけると鬼の方が

『バケ バケ バー』と言って鬼を交代する。そしてまた遊びを続ける。そんなかくれんぼだった。

何回か鬼を交代した後に、レナが誤って空地の穴におちてしまった。大人なら腰ぐらいの深さの穴だが、幼児にはとても深く感じられた。俺は慌てた。無我夢中で周りの大人に「助けて」と叫んだ。

近くを通りかかって異変に気付いた男の人が駆けつけてくれた。レナは助け出されるが、全く動かない。俺は「レナ、レナ。」と叫び続けた。そこに死神がやってきて、レナを蘇らせるというところで夢が終わる。


学校で死神と呼ばれた男


「三神、三神、授業中だぞ、くまごろうが呼んでいるぞ」とかっちゃんの声が耳に入ってきた。その声に反応した俺は慌てて飛び起き、

「わ、死神」と叫んでしまった。俺の声が教室に響いてしまい、クラス中がどよめいた。この時以来俺のあだ名は『死神』になった。

まずい、またいつのまにか寝ていた。くまごろうの授業中だってことを忘れてた。こういう時に限って、みんななんでこんなに静かなんだ。いつもの騒がしい授業はどうした。そう思ったが既に後の祭り。くまごろうは、

「三神、授業が終わったら数学教室に来るように」と言ってきた。

あちゃ、最悪だと俺は思った。

くまごろうは大熊五郎先生といってクラス担任で数学の教師でもある。今は何時限目か?

六時限目だ。しかももうほとんど終わりの時間だ。すると…。ゲッ、五時限目からの記憶がない。しまった寝過ごした。

「かっちゃん、なんでもっと早く教えてくれなかったんだよ」

「声を掛けたり、ゆすってみたりしたさ。でも全然起きなかったぞ。それより三神、お前この頃なんか変だぜ。どこか悪いのか」とかっちゃんは言った。

かっちゃんは勝田守といって中学時代からの親友だ。

「わりい、眠り込んでしまうと夢を見るもんで起きないのかな」

「三神、今日一緒に帰るか」

「かっちゃん、先に帰ってくれよ。クマゴロウに呼び出しくっているから」

俺はくまごろうに言われたとおり数学教室に向かった。

「三神です。入ります」

「三神か、最近どうした。居眠りばかりだぞ」


医者の家系と苦悩


くまごろうの話は進路のことだった。もうすっかり桜は散ってしまっていた。

三年生は本格的に進路を決めなければならない時期に来ていた。その中で俺だけが進路を決定していない。進路に関する書類は白紙のまま提出してしまったし、母親にも相談していない。この日はくまごろうから進路についてよく考えるように再三言われて帰った。

俺が今置かれている立場を考えると、中学時代のようにぐれているわけにはいかない。俺の家族はみんな医療関係の仕事についているので、誰もが医者を目指していると思っている。

 祖父の三神一はじめは医学博士、父、三神進は世田谷で開業医をしていた。長兄ののぼるは外科医で、父が開いた病院を仕切っている。次兄のしょうは最先端医療の勉強のためアメリカに留学している。姉の麻衣は医学生で、小児科を手伝っている。

ところで俺は家族の中では浮いた存在である。兄たちが一流の高校に通って東大医学部に入ったのに対し、おれは極平凡な高校に通っている。俺のレベルから見ると兄たちはまるで宇宙人のように感じられる。

俺が進路のことで迷っている理由は、医者を志望するか否かということよりは、西洋医学の限界を感じるような、ある事件に遭遇したからだ。そのとき以来、俺はこのまま医者になる道を進んでいいのだろうかと自問するようになった。

 


人間の生と死に真っ直ぐ立ち向かい、蘇生術と死神、医療天使の存在にまで切り開いていく主人公正義の生きざまから、医療の疑問にせまります。

現代の専門分野による医学やAIを使った再生術や、チップを体に埋め込んで体のコントロールをすることに警告を与える作品です。人間の本来持っている「治癒力」を生かしながら、総合的治療や善の最先端の医療の力を発揮できる時代が来ることを願っています。

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