運命の再会?
それにしてもこんな急に呼び出すなんて、レティシア姫甘やかされ過ぎではありませんか?いくらお姫様でも、我慢は教えないとダメだと思います。
って事情がよくわからないので姫の我が儘で急遽呼び出されたって思ってしまいましたが、もしかしたら時間がある時にって感じだったのを、王家からの呼び出しだからって慌てたのかもしれませんね。
先入観は止めときましょう。まぁ、今後会うことも無いので関係ないですけどね……明日は王都散策楽しみです。
おはようございます。朝一で納品した方がいいのかなと思って前回より大分早い時間に出発です。文房具屋さんの場所はマークさんが知っているそうなので、案内して貰うことになりました。
マークさんに納品する商品の入った箱を持ってもらって、貴族街を歩きます。
確かあの辺の文房具屋さんからイケメンさんが出てきたんでしたね。もしかしなくても同じお店のようです。
ふふ、イケメンさんが行ってたお店、どんな所なんでしょうね?楽しみです。
「申し訳ありません、まだ商品が届いてなくて。午前中納品なんでもう届くとは思いますが……」
ドアを開けると男性の困ったような声が聞こえてきました。もしかして今持ってきた商品でしょうか?朝一で来たつもりが、お客さんの方が早かったみたいですね!大変です!
「おはようございます!ブロウ商会です!もしかしてうちの商品をお待ちでしょうか?」
「おお、ちょうど来たようです!少々お待ちください」
慌てて店長さんらしき中年のダンディーな男性が飛んで来ました。やっぱりこれだったみたいですね。
先日作った黒のガラスペンが、今日の午前中納品と聞いていたので箱から出して伝票と一緒に見せます。
「このガラスペンでしょうか?」
「この伝票の物で間違いないです。残りは家内が検品しますので奥の方へお願いします」
やっぱりあれでしたね。奥のレジの方へ向かうと、棚の影で見えなかったお客様の姿が見えました……
え!?あのイケメンさんです!あぁ、どうしましょう、とりあえず遅くなったことを謝らなくてはいけませんよね。
「あの、遅くなってしまって申し訳ありませんでした。ご注文のガラスペンはとても綺麗に仕上がっていると思います。お気に召していただけるといいのですが……」
チラリとこちらを見て一瞬驚いた様ですが、目の錯覚かと思うくらいすぐに無表情に戻りました。何やらボソボソ問題ないとか聞こえた気がするけど、気のせいかもしれません。
私の顔、絶対赤いですよね!気付かれていないといいのですが……
それにしても、やっぱりイケメンですね~。こんな近くで見れるなんて……レティシア姫に感謝です!ふふふ
イケメンさんは店主さんから箱を受け取って蓋を開きました。やっぱり無表情です……気に入らなかったのでしょうか?
「あの、もしお気に召さないようでしたら作り直しますので遠慮無くおっしゃってくださいね」
不安になって思わず店主さんを押し退けて横から話しかけてしまいました。手に取って握り心地を確認しているようです。
そうだ、試し書きをして貰いましょう。
子爵家で最後に少し時間が余ったので、レザーを貰って簡単に縫い合わせて作ったクランチバッグからメモ用紙とインクを出して差し出します。
「よかったら試しに書いてみてください」
「……ぁぁ」
躊躇いがちにインクにペン先を浸けます。スーっとペンの溝にインクが入っていって、何度見ても綺麗ですね。
イケメンさんも見入っているようです。
メモ用紙にくるくる書いたり線を引いてみたりしています。何となく気に入ってくれているような雰囲気で少し安心しました。あ、終わりかな?
「インクを洗いますので、ぺんをお借りしてもいいですか?」
ペンをお借りして魔力で水の玉を作って先を洗浄してハンカチで拭ってお返しします。
ハンカチを出すときにチラリと見えた物をどうするべきか悩みますね……




