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ポジティブ?

「我々もハルマン王国の事は知っている。諸外国についても調べたんだが、何処も似たり寄ったりでハルマン王国だけが特別だった。

 だが真似する価値はあると思って陛下に進言したんだがな……私腹を肥やしている奴等こそが陛下の取り巻きでな……何ともならんのだ!

 くそっ、いつもは録に書類も見んくせに、こんな時だけはしっかり反対しおって!」


「宰相、落ち着け。怖がらせてすまないね。

 ただ我々としても陛下が否と言えばどうしようも出来ないのが現実なんだよ」


「そうなんですね……でも、もうすぐオズワルド様が国王になるので出来るようになりますね!

 教科書はハルマン王国では個人の物では無いので持ち帰り出来ないと聞きましたが、この絵本の紙と製法でしたら1冊3千円位で出来るんですよ。

 家に持ち帰れたら親も教科書を見て勉強出来ますわ!」


 そう、ハルマン王国では教科書はまだまだ貴重品なので教会で勉強の時しか見ることが出来ないのです。しかもノートは黒板みたいな物の小さいやつなんで、消しちゃうんですよね。

 まぁ余裕があれば布に書いたり木の板に書き写したりは出来る様ですけどね。


「くっく……若いとはいいな~宰相?」


「いえ、これはもう若さと言うよりイザベラ嬢の性格なんじゃないでしょうか?

 私が若い頃は、ここまで切り替えが早くポジティブではありませんでしたよ……」


「確かにお前は若い頃からどこまでも慎重すぎる男だったな。まぁ私もお前よりはマシだがここまでポジティブでは無かったな。


 それでイザベラ嬢、教科書1冊3千円としてその費用は何処から出すつもりだ?ただでさえ子供も働き手となっているんだ。

 来るかどうかも分からんのに、3千円自腹となってはますます集まらんぞ?」


「そこは贅沢三昧の現陛下や王妃様の宝飾品やドレスを売ったお金を当てたらどうですか?

 あ、せっかくだったら貴族を集めてオークションにしましょう!


 正直印象が悪いから買ったとしても人前で身に付けるのは憚られますよね?ですが、平民の教科書のための資金に協力した証としてだったら堂々と身に付けられますわ!

 むしろ好印象です!物に罪は有りませんものね。


 買っていただいた貴族の名前は教科書の最後のページに載せるようにしたら、平民も貴族の皆さんが自分達のために教科書を作ってくれたんだと身近に感じることが出来るでしょう?


 それと、授業は午前か午後のどちらか都合のいい方に来ればよくて、来たら帰りにパンを渡したらどうでしょう?3つ位でしょうか?

 地元のパン屋さんに依頼したら、パン屋さんが損する事もないでしょう?

 たまに貴族様の好意でベーコンやジャムやクルミやおかずなんかを差し入れしてもらえると、その方の人気が上がると思いますよ!うふふ」


「なるほど……だが裕福な貴族ばかりじゃないぞ?

 その理論だと貧しい貴族は何も協力出来ないから人気も下がるんじゃないか?その領地に住む者から不満が出たらどうする?」


「貧しいと言うことは働かなくてはいけませんよね?教師をしていただいたらどうですか?

 ご子息はもちろん、ご令嬢だっていいと思いますわ!

 もちろん、ご当主様のご兄弟様だって奥様だってご隠居様だって、手が空いていれば誰でも大丈夫ですよ。


 文字の読み書きに簡単な計算、国の歴史位だったら貴族の常識として皆さん出来ますしね。

 案外子供には女性の先生の方が人気かもしれませんね」


「く……はっはっは!本当にイザベラ嬢は面白いな!どうだ、うちの3男坊の嫁に来ないか?」


「いえ、馬に蹴られたくないのでやめておきます。

 それに王家はもうこりごりですわ」


 婚約者さんと大変仲が良くて有名なんですよね。それに王兄様が義父になるとか……ノミの心臓の私には絶対無理です!

普通によその王太子様をこき使ったり、王兄様や宰相に対してここまで色々言えてる時点で心臓に毛が生えてるんですけどね(笑)

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