トンネル
「各地に行きながら道路の整備も行ったらどうでしょう?馬車の揺れも少なくなりますし……
そうだ、今まで山や大きな岩があって迂回していた所もどうにか出来そうですよね!
まず岩は砕いて排除して貰って、山はトンネルを掘るといいですわ!地盤をしっかりさせてトンネル内は煉瓦で覆って、お父様の保存魔法をかければ完璧ですね!
ああでも迂回することによって今まで通っていた町を通らなくなって寂れたりしないかしら?
まぁその辺は宰相様や国の上層部の人に任せればいいわよね!うふふ」
「イ、イザベラ嬢……楽しそうな所を申し訳無いが、トンネルを掘るとは?」
「え?はい、山を避けて迂回したり登ったりするより穴を開けて突っ切れば早いでしょう?
どう言ったらいいのかしら?紙とペンをお願い」
口で説明するのが難しいので紙に書いてみましょう。さすがうちの執事ですね、ちゃんと羊皮紙ですよ。私の作った紙は極秘ですもんね。
でもペンはガラスとか……ふふふ、皆さんトンネルもですがガラスペンもかなり気になる様ですよ。
これは隠す必要ないので店舗購入資金の為にどんどん売らなきゃですもんね!
商売をよく理解している執事です。後でお礼にチョコをあげましょう。
「こんな感じなんですけど……わかりますか?
この穴が向こう側まで続いてるんです。なので山を登る事無く最短距離で向こうまで行けるので、かなり早くなります。
人の手で掘ると時間もかりますけど、オズワルド様の魔力ならきっとすぐ出来ますわ!」
「鉱山の様に、時おり崩れたりはしないだろうか?」
「そうですね、もちろんそのままだと崩れると思います。でもそこはオズワルド様の魔力でしっかり補強して、お父様の保存魔法で大丈夫だと思います!
ああそうだ、王兄様は確か光の魔力も使えましたよね?でしたら先程のガラス玉みたいなものを作って天井に埋め込みましょう!トンネルの中は昼でも真っ暗ですからね。
馬車が通れる位の広さは必要なので、大きめがいいでしょうか?形はどうしますか?
従姉のアボット男爵令嬢がガラスの扱いは得意なんですよ。
このペンも彼女が作ったんですよ!綺麗でしょう?
それにインクの持ちも良くて書きやすいんですよ。よかったら試し書きしてください」
さりげなくペンの紹介もしておきます。
ふふふ、トンネルは勿論ですが、道路が整備されれば馬車の旅がずいぶん楽になりますよね。
……まぁこの国を旅する機会なんて、この先おそらくありませんけどね……
「そうだ!この国を整備し終わったら、国外の上層部の方を招いて視察していただいて、需要があれば国外へも赴いて各地の整備も請け負ったらどうですか?
もちろんお金にもなりますが、今まで侮られていたチェーチル王国の新国王はこんなに凄いんだって国外へのアピールにもなりますし、諸外国へ恩も売れますよ」
私が住むハルマン王国の道路も綺麗に整備されますしね!うふふふふふ
ガラスペンを試していた面々が驚愕の表情でこちらを見ています。心の声、漏れてませんよね?
「く……はっはっは!いや、参った!まさかイザベラ嬢がここまでとは!
いや本当消さずによかったな~、宰相。魔力は抜きにしても恐ろしい人材だな。
もし陛下がイザベラ嬢を手に入れ「いえ、あの方達といてもこんな事考えもしませんよ?お人形になるだけです。オズワルド様が国のために何かしたいとおっしゃったので、オズワルド様の魔力で何か出来ないか考えただけです!
それに私、絶対殿下とは結婚したくないんです!国外追放になってハルマン王国でのんびりお店を開くのが夢なんです!」」
だからお願いします!消さないでくださいー!




