消されませんの?
「私もさっきからこのワインが気になっていたんだ。クラーク伯爵、この氷はどこから手に入れたんだ?」
「は、はい、実はそれもイザベラの思い付きでして、先日従兄の子供がハルマン王国からノルウィス王国に嫁ぐと言うことでハルマン王国へ行ったんです。
その時ノルウィス王国の王太子殿下に箱の内側を凍らせて貰い、私が保存魔法をかけて凍った状態の維持をしたんです。
なのでその箱の中に型に入れた水を入れておけば氷が出来ると言う訳です。
どうしても冷たい菓子と紅茶が飲みたいと言うイザベラの我が儘を、快く受け入れてくださって……その代わり、この箱の権利は渡すのでどんどん生産してノルウィス王国の資金にしてくださいと言うことになりました。
ブランデーやウイスキーに氷を入れても美味しいんですよ。よかったら飲んでみませんか?」
「何!?ではウイスキーを頂こう」
どうやら宰相さんはウイスキー好きの様ですね。
ノルウィス王国との繋がりを知らせるべきか悩んだのですが、ここは知らせて懇意にしているとアピールしておいた方が今後役に立つかななんて軽い気持ちでいました……ですが、今は知らせてよかったと心底思っています。
さすがにノルウィス王国の次期国王と繋がっているので、簡単に消されることは無くなりましたよね?
「なるほど。氷の箱を保存か……他にも何か保存を?」
「はい、コーネリアお姉様の光魔法をガラスに込めた物をお父様が保存して、蝋燭の代わりの照明を作ったんです。
それをお輿入れの際の国民へのお土産にしたんですよ。
あ、よかったらご覧になりますか?これなんですけど、こんなに小さいのに明るいでしょう?
お父様の魔力で30年位は光り続けるそうです!」
な~んて、自分は何もしていないのに得意気に自慢してしまいました。
「なるほど……これはいい土産になっただろうな。俺の魔力も畑以外でも何か国民の役に立てるといいんだが」
何と!ななな何と素晴らしい心意気!ナルシストに聞かせてやりたいです!
とてもじゃないけど演技には見えないので、きっと本心なのでしょう。この人が国王になったら、この国は素晴らしい国になるんでしょうね。
何かお手伝い出来ればいいのですが……とりあえずキューピーを呼んでみますか。
「キューピー、あれ?その子どこの子?」
「何かね~、そこで寝てたから連れてきたよ」
「も~、僕眠いのに……おやすみなさい。すやすやすや」
そう言って初見の妖精ちゃんはオズワルド様の膝の上で寝ちゃいました。この子はもしかしたら土の妖精さんですか?
「え?え?え?何これ?なんで俺の膝で寝るんだ!?」
「どうかしたのか?何も見えないが……」
ああ、王兄様と宰相様には見えないんですね。この部屋で見えているのは私とオズワルド様とお父様の3人だけのようです。
え?お父様ですか?最初から見えてますよ?魔力だけは強いので。でもお父様の妖精は居ませんよ。と言うか、普通は居ませんからね。
ちなみにお母様はドライヤーなので見えませんよ?
「どうやらオズワルドさまの魔力に釣られて出てきた妖精さんみたいですね。
おーい、起きて起きて。オズワルド様の魔力について教えてよ~。土の魔力だと何が出来るの?」
「も~、うるさいな~。そもそも土じゃないし、大地の魔力だよ。ふぁ~ぁ。すやすやすや」
あ、また寝ちゃった。オズワルド様、どう扱っていいのかわからずオロオロしていますね。
ちょうどいい所にパンが2つ残ったバスケットがあるので、1つはキューピーにあげて、もう1つにもたれ掛かる感じで寝せてあげましょう。
むにゃむにゃ言いつつパンをくんくんしていて可愛いです。
それにしても、大地の魔力って何なんでしょうね?




