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消されますの?

 数日後の晩餐に王兄様と宰相様とオズワルド様が密かに来られました。


「今日はお招きありがとう。ここでの事はわかっていると思うが全て内密に頼むよ。

 こんばんは、イザベラ嬢。私達に何か話があるようだね?」


 王兄様はもっと普通な感じの方だと思っていましたが、穏やかな口調に表情なのに、何処か凄みのある方のようです。


「はい……父から色々聞きまして……もしかしたらなんですけど、私消されそうになっていました?」


 シーン……


「く……はっはっは!中々面白くて頭のいい子じゃないか!ああそうだ、はっきり言ってあの時クラーク伯爵があの男爵令嬢を排除して娘を王妃にと望んでいたら、おそらく消していただろうな。


 本当は今日まで悩んでいたんだ。いくら本人が望んでいなかったとしても、現時点では殿下の婚約者だからな。

 しかも素晴らしい魔力持ちだ。君もわかっていると思うが、正直君が居ない方が事はもっと簡単に運ぶんだよ。

 だが……くくく、そうだな、君を消すのはやめることにするよ。その方が面白そうだ」


 あ、危ないところでした。まさかとは思っていましたが、本当に消されそうになっていたとは!

 しかも全然予期せぬ方向から……王兄様は要注意人物としっかりインプットしました。


「イザベラ嬢は中々面白い方なんですね。王宮でお会いする時とはまるで別人のようですね。

 王宮ではもっと地味で人形みたいに感情の無い方だと思っていましたが、今日のイザベラ嬢はとてもお美しくて表情も豊かなんですね。

 父に対してビクビクしている姿が、まるで小動物の様で……くく、すみません」


「い、いえ、お気になさらずに。さすがに自分を殺そうとされていたと聞いて、狼狽えてしまいましたわ。

 今日はオズワルド様とお話ししたかったんです」


「私とですか?さて、何の話でしょう?」


 私をからかって楽しそうにしていたオズワルド様が、何やら怪しむようにこちらを見ています。


「実は、私には子供の頃から妖精の友人がいるんですけど、その子……と言うか正確にはその子のお友達が言ってたんです。

 だいたいの人の魔力は殻を被っていて力を抑えているそうなんですけど、そのまま一生を過ごす人が最近ではとても多いそうです。

 昔は大人になるまでにほとんどの人の殻が割れていたそうなんですけどね。


 おそらくオズワルド様はその殻が割れたんじゃないかと思います。私の従姉も先日怒りで殻が割れて、凄い魔力を発動したんですよ。火の魔力が炎に変化して、ファイヤーボールを連発していましたわ。


 土の魔力だとどんなことが出来るんでしょうね?恥ずかしながら、土と聞いて陶器位しか思い浮かばなくて。

 あとは道路の整備などでしょうか?もう少し滑らかな道路だったら、馬車でも楽なんですけどね……」


「イザベラ、話がずれているぞ!あと口を慎みなさい!」


「も、申し訳ございません、つい……

 私発明が趣味でして、つい魔力を何か利用出来ないかと考えてしまう癖がありまして……本当に申し訳ございません」


 何と言うことでしょう!土の魔力に気を取られて、誰の前にいるのかすっかり忘れていました!こんな失礼な言動、やっぱり私消されるんじゃ無いでしょうか?


「いや、今日はそんなことは気にしなくていい。それより妖精と言ったか?実在するのか?」


「はい、王兄様……もしよろしければこの場に呼びましょうか?おそらく見た目は想像と違いますが、物知りで色々力の使い方を教えてくれるんですよ。

 例えばこのパン、ふわふわで美味しいんですよ。天然酵母と言うものを混ぜているんです。そう言う物の作り方も教えてくれたりするんですよ。

 よろしかったら召し上がってみてください」


「俺も今食べたけど凄いぞ!父さんも宰相殿も食べてみてくれ!それにこのワイン、冷たくて旨いんだがどうやって氷を手に入れたんだ?氷の魔力持ちはチェーチル王国にはいないはずだ」


 オズワルド様、ずいぶん急に態度が砕けましたね。ビックリしました。

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