帰国
いよいよ今日で休暇も終わりです。午後には家へ帰らなければいけません。視線の先でハンナが泣いてチャールズ様が慰めています。
すぐに会いに行くから大丈夫だよ。元婚約者と違って絶対浮気しないから。ハンナが16歳になったらすぐに結婚しようね。なんならこっちに留学してくれば?ですかそうですか……
今はベラが大事な時だから寂しいけど頑張るって……私馬に蹴られませんか?大丈夫ですか?
ふう、これ以上見てたらいけない気がするので退散しましょう。
これからの1年が勝負でしょうか……あのバカ王子に処刑されないかだけが心配ですが、まぁその場で殺されることは無いと思うので、いざとなったら魔力で何とかなるでしょう。
でもバカだけに何を仕掛けてくるやら……死なずに畳ライフが無事送れます様に、神様お願いします。
いよいよ帰る時間になりました。今回の滞在は公爵家はもちろん、本当に子爵家にお世話になってしまって……ありがとうございました。
え?ネックレスですか?なんとお父様の記録石を学園でもつけられる位のシンプルなネックレスに加工して、私とハンナに学園にいる間は肌身離さぬ様着けとくように言われました。
ハンナの分もあるのは、常に一緒に行動して私の姿が写る様にするためだそうです。
記録石だけだと誰が着けていたかわからないじゃないかと絶対言われるからと、大人組で色々話し合ってくれたようです。
みんな心配してくれているんですね……ありがとうございます!
おや?ハンナのとデザインが少し違うようですね……ハンナのは金のチェーンなんですね。記録石の横の緑の石はもしやチャールズ様の瞳の色ですか?ダニエルおじ様やお父様と同じ金の髪に緑の瞳ですもんね。
私のは白金に記録石だけですか……まぁナルシストの髪と同じ金のチェーンじゃなくてよかったですけど……何だろうこのスッキリしない感じは?
一応私のために用意してくれたんですよね?まぁハンナが嬉しそうなんでいいですけど……ただ記録石がグレーなんで、白金にグレーで地味すぎやしませんか?まぁいいですけど。
さて、いよいよ今日から学園です。昨日は転移門でサクッと家について、料理長に酵母ちゃんと冷凍箱を渡して、食堂を避けるべく木でお弁当箱を作ってみました。
冷たいお茶、最高です。朝御飯は久しぶりのお米に味噌汁に卵焼きに焼き魚です。和食最高!
学園では制服はなく、基本的に華美過ぎなければ何でもいいようになっています。なので私は出来るだけ目立たないようにいつも地味なドレスを着るようにしています。
特に今日なんてナルシストに会いそうなんで、気付かれない様にいつも以上に地味にオリーブグリーンのシンプルなドレスにしてみました。
髪も長めの前髪を下ろして、ハーフアップにします。うん、地味さに磨きがかかっていい感じに完成です。
気分重く学園に到着したら、キラキラしい集団が遠くに見えた気がします。うん、気のせい気のせい。ハンナはまだかな?教室は成績順のためナルシスト達とは違うので、先に教室に行った方が無難かな~なんて考えているといつの間にかキラキラ集団が目の前にいました。
「あら、イザベラ様おはようございます。相変わらず地味で誰だかわかりませんでしたわ。ふふふ
まぁ何ですの、その地味なネックレス?リチャード……殿下の婚約者ともあろうお方が、そんな地味なネックレスなんて」
と嫌みを言いつつ自分のネックレスを触っています。きっとこの休暇中にでもナルシストに買って貰ったんでしょうね。
「殿下、マリー様、おはようございます。マリー様のネックレスはとても素敵ですね。華やかなマリー様に、よくお似合いですわ。
では、私はこれで……」




