王都散策
「あ、そうそうベラ、絵本は付き合いのあるいくつかの店舗に置かせて貰うことになったからな。いや~、どこも店もレディ・フローラの新作で公爵家のコーネリア様がノルウィス王国まで花嫁道具と共に持っていくと言ったら飛ぶように売れたぞ!
さっそくどこの店も店頭に並べて呼び込みしてたからこの時期だしきっと勢いで売れるぞ!よかったな!」
な、何と言うことでしょう!私が野菜を作っている間にダニエルおじ様とチャールズ様とで売ってきたようです!
先払いで店舗が仕入れると言う形を取ったらしいので、売上金はおじ様に管理して貰うことにします。
一緒に行きたかったのに……
「まあまあベラ、一緒だったらお前がレディ・フローラだってバレるかもしれないだろう?明日散策に行った時に見てみたらいい。きっと色んな店で大きく扱ってるから。
僕は行かないからサイラスおじさん、誰か護衛兼案内を付けてあげて貰えますか?」
「あの、出来れば平民街に詳しい方がいいです!」
サイラスおじ様は執事さんに人選を頼み、昔から公爵家で護衛をしている方が案内してくれることになりました。
奥様も平民街で雑貨屋さんをしているそうなので、いい人を紹介してもらえてよかったです。明日は楽しい日になりそうです。
翌朝、コーネリアお姉様にピンクの可愛らしいワンピースのお下がりを無理矢理着せられました。コーネリアお姉様と違って地味っ子だからあまり可愛らしいのは似合わないんで恥ずかしいです……
まあこんな可愛い色を着れるのも今だけですし、有り難く着させていただきお出掛けしましょう。
「おはようございます。護衛のマークと言います。今日は1日よろしくお願いします。さっそくですが、平民街に行きたいと聞いたのですが、どこか行きたい店などありますか?」
マークさんは40代位の強面ですが、目が優しいのできっといい人なんだと思いたいです。筋肉隆々でちょっと恐いですけど……
「ありがとうございます。どこのお店と言うか、平民の女性に話を聞きたくて……どこかおすすめの場所とかありますか?」
「話ですか?」
ひい!顔が怖いです!
「すみません、自分あまり詳しくないんで、とりあえずうちの家内が店をやってるんで行ってみませんか?」
怒ってる訳じゃなかったようです。自分不器用ですからってやつでしょうか?
恐い人ではないようなので、とりあえずよかったです。奥様は雑貨屋さんをしてると言うことなので、どんなお店か楽しみですね。
王都は凄く人が多くて活気があってビックリです!昨日ダニエルおじ様が言った通り、通り沿いのいくつかのお店の店頭に絵本が並んでいて、コーネリア様が嫁入りのお供に持っていく本として紹介のポップが掲げられています。
家族連れやご令嬢方が次々買っているようです。完全にコーネリアお姉様の結婚に乗っかった感じで申し訳ないですけど、まあ売れたらその分店舗購入資金に繋がるので、有り難く乗っからせて貰いましょう。
「それにしても人が多いですね。いつもこんなに賑わっているんですか?」
「いえ、今の時期はコーネリア様のご結婚のお祝いで各地より人が集まっているんです。まあでも王族のお人柄か、この国の国民はおおらかで祭り好きが多いので、ご結婚に託つけて街全体浮かれてるんですよ。
なので絶対に離れないでくださいね。この人出じゃすぐに迷子になってしまいますから」
な、もう13歳なのに迷子なんて失礼です!




