頑固親父?
いよいよやって参りましたよ!頑固親父の工房です。
ちゃんとアポを取ってきたので応接間へ案内されます。
華美な装飾も無く、シンプルでアンティークな感じの落ち着いた雰囲気の応接間です。
無駄が嫌いで伝統を大切にするタイプなんでしょうね。わくわくわくわく
暫くすると、ザッ頑固親父って感じでは無く、ちょっとくたびれた感じの優しげな30歳位の男性が入って来ました。
え?まさかのこの方が頑固親父なんでしょうか?きっとお弟子さんか息子さんですよね?
「こんにちは~、ブロウさん……何度来て貰っても~僕これ以上作れませんよ~。そもそも~いつも言ってると思うんですけど~、新しく1から契約するのもめんどくさいし~、作りたい時に作りたい物を作ってるだけだから~、2ヶ所も契約とか無理ですって~」
な、何と言う脱力系なんでしょう!頑固親父じゃなくてまさかの脱力系だったとは……しかももしかしなくてもそっち系なんでしょうか?ああ、何だこの気になりすぎる生き物は!
はう、私も直接話したい……うずうずうずうず
「相変わらずだな。今日は新素材を持ってきたんだ。
まだ数も少ないから他所には出さずにうちだけの専売特許になるんだが……いずれ知名度が上がって量産出来るようになったら他所にも売るつもりではあるけど、今契約したら先に使うことが出来るんだけどな~。
まあとりあえず先にどんな素材か見てみるか?」
「新素材……そ、そうですね、とりあえず見たいです」
あれ?何かちょっとシャキッとしたような気がします。そう言えば新素材に弱いって言ってましたね。ふふふ
「これなんだけどな、この靴底に着けているのがゴムと言うんだ。革と違って滑りにくくて歩きやすいぞ。試しに履いてみるといい」
「ゴム……靴底とは意外ね。ブロウ商会だからもっと華やかなものだと思ったのに」
そう言いつつ歩き心地を確かめるように部屋をぐるぐる歩き回っています。ブツブツ何やら言っているようですが聞こえません。急にドアを開けて何処かへ行ってしまいました。
「この靴にも靴底を付けれませんか?出来れば早めに欲しいんだけど……」
思ったより早く戻って来て、大きめの女性用のヒールの靴を差し出されました。
念のために持って来ていた靴底を出して装着します。そんなに見つめられるとやり辛いのですが……
「魔力で装着するのね。いずれは売り出すって言ってたけど、魔力がない人はどうやって装着すればいいのかしら?」
「熱で溶けるので、接着部分を少し熱で溶かすか接着剤かになると思います。
あの、さっきもっと華やかな物って言ってましたよね?実はこう言う物も作ってみました。
宝石をカットし終わった後に残った屑宝石を樹脂で固めてブローチにしてみたんです。
樹脂の中に宝石屑を散りばめるので、形は自由に作れます。
強度を色々試してみて、大丈夫だったらこんな風にヒール部分に使っても可愛いと思うんですよね~。
あとは普通に飾りとして使えるし、中に小さな金の星とか花を1つ入れてもアクセントになって可愛いですよね」
「やだ、これあなたが描いたの?可愛いじゃない!
このブローチも素敵ね、屑と言っても樹脂でコーティングしてるからかキラキラしてるのね。グラデーションにしたりしても可愛いんじゃない?
花の形とか蝶の形とか出来るのかしら?
てんとう虫も可愛いかもしれないわね。花とか貝殻も入れれるのかしら?
靴の飾りにすると綺麗だと思うわ。キラキラしてて綺麗ね。
土台を使わずにそのままの状態で着けたら今までに無い感じで綺麗じゃないかしら?」
言葉遣い……やっぱりそうなんですね。ふふふ
そしてナイスアイデアです!帰ったらさっそく試してみなきゃですね。




