完成ですよ
「今度完成した本を持ってお友達のパン屋さんとお花屋さんに連れていって貰える?置いて貰えるようにお願いしたいの。
他にもそうね、雑貨屋さんなんてどうかしら?
私あまりお買い物とか行ったことがないからよく分からないから、アリスちゃんがよければ案内して貰えると嬉しいな」
「もちろんいいよ!この街の事なら任せてよ。色んなお店を教えてあげる。お母さんにも他に置いてくれそうなお店がないか聞いとくね」
なんていい子なんでしょう。アリスちゃんのおかげで情報収集も出来たし、本当に助かりました。
何も知らずに本屋さんにだけ置いていたら、平民には広がらないところでした。あ~危なかった。
やっぱりもう少し庶民の常識を知る必要がありますね。
ふむ、アリスちゃんに案内して貰うのとは別に、滞在中に1度街の散策に出掛けたいとお願いしてみましょう。ウェディングドレス事情も調べなきゃですしね。
あとは子爵家の使用人の方々にも色々聞いてみるのもいいですね。
その後は他愛ない話をしつつ表紙に布を貼る作業をボチボチこなしていたら、おじ様に呼ばれました。
「ベラ、来てごらん。とりあえず10冊分完成したよ。乾かす間に同時進行で作ったんだ。どうだい?いい出来だろう?表紙は出来たかい?」
綺麗に10個の束が出来ています。生成色の紙に文字は濃紺です。
ちなみに表紙は水色の布に濃紺の縁取り、表面には題名のシンデレラの文字と右下にガラスの靴で、裏面も同じ縁取りで中央にカボチャの馬車にしました。
パラパラと1枚ずつめくって感動している間に、向こうでアリスちゃんと親方が表紙付けの作業をしてくれています。
完成した分は持って帰っていいそうなので、6冊貰って行くことにしました。
まず第一号は自分用です。ふふふ
次にハンナ、エレナおば様、クラリスお姉様、あと滞在中に公爵家のおじ様の所にも行かなくてはいけないので、公爵家に1冊、ご子息様ファミリーに1冊手土産にしましょう。
貴族用の皮の表紙の方が良かったら、ご自分で買って貰うと言うことで。うふふ
は~、午前中だけでしたが、凄く有意義な時間でした。
親方の了承を得て、アリスちゃんと後日街に行く日取りを決めておいとまします。
午後はブロウ商会で仕入れている靴に、靴底を着ける作業をして、終わったらまた今日の分のお花に魔力を込めます。
飾るのは平民向けのは1輪になってしまったので特にすることも無く、貴族用の小さなブーケは私達付きのメイドさんが空き時間にちょこちょこ作ってくれていました。
同じ花なのに私が作るより綺麗です!ありがたや~。
残った時間でパンツ用のゴムを試行錯誤するか、絵本を包む用紙を製作するかジュエリーデザインでも考えるか悩んでいると、チャールズ様がやってきました。
「ベラ、昨日のこれなんだけど、こんな感じでどうかな?」
ふお、忘れてました!鉛筆の芯をお願いしてたんでした!
どれどれ、見た目まさに鉛筆ですね。
「小刀か何か削るものを貸していただけますか?」
「いいけど、え?まさかベラが使うの?危ないから僕がするよ!どんな風に削るか教えて」
「大丈夫ですよ、私鉛筆削るの得意ですし、小刀で切ったくらいの傷ならクラリスお姉様が治してくださるでしょう?
説明が難しいのでとにかく貸してください」
そう言って無理矢理小刀を奪って削ります。
何故か前世で通っていた小学校が鉛筆削りじゃなくて自分で削らなきゃだったんですよね~、地域の問題でしょうか?
地方の県庁所在地で、そんなに田舎じゃなかったんですけどね。なのでこんなものはお手の物です。
ふんふふんふふ~んなんて鼻唄歌いながら削ってやりますよ!
あぎゃー!!




