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「おいおい、そんなに安くていいのかい?紙の分が入ってないんじゃないか?がっはっは」


「それなら大丈夫です!木から出来てるんであまり材料費もかかってないんですよ。普通に作ったら時間も手間もかかるんでしょうけど、私の魔力で作ったので人件費もかからなかったので、実質材料費のみなんです。

 それに儲けよりも多くの人に読んでもらいたいので、これでいいんです」


「そうかそうか、まあこっちからしたら金さえ払ってもらったらそれでいいから嬢ちゃんがそうしたいならそうすればいい。

 ただ今までこんな本見たこと無いからみんなビックリするぞ!

 それに王家の肖像画より安いと来たもんだ。これはバカ売れ間違い無しだな!

 他所に回されたらたまらんから、みんなしっかり仕事するぞ!よし、じゃあさっそく1ページ目から試してみるか」


「よろしくお願いします。

 ではアリスさん、一緒に表紙を作りましょうか。糊はありますか?」


 王家の肖像画より安いとは、王家の肖像画はいったいいくら位するのか気になります。

 ハルマン王国では王家が人気なのでしょうか?チェーチル王国は王家の人気があまり無いので、おそらく肖像画の売れ行きもあまり良くないのではないかと思われます。


 ちなみにうちももちろん飾ってません。

 婚約者とはいえナルシストがうちに来ることはまず無いので、飾ってなくても問題無いのです。ふふふ


「あの、はじめましてアリスです。

 さっきの本はあなたが描いたんでしょう?こんな素敵な本を作れて凄く嬉しい!

 いつも作る本はつまらないし汚れるし、お手伝いするのが凄く嫌だったんだけど、こんな素敵な本に出会えるなんて……完成したら絶対お小遣いを貯めて絶対買うね!

 私が作ったのよって友達にも自慢しなきゃ!」


 10歳くらいでしょうか?黒髪に青い瞳の可愛らしい少女です。不思議の国のアリスと言うより白雪姫ですね。

 いつも家のお手伝いをしているんでしょう、指の先に青黒いインクが染み込んでます。

 アリスよりもっと小さいうちから家のお手伝いをする事は、平民では珍しくありません。せっかくなので色々聞いてみましょう。


「ありがとうアリスちゃん。そうだ、あなた達は普段どこで買い物してるのかしら?本屋さんなんてよく行くの?

 あまり行かないようなら、どこか別のお店に置いて貰いたいなと思ってるんだけど……難しいと思う?」


「ううん、ほとんどみんな本屋さんになんて行かないよ。本屋さんに行くのはお貴族様だけ。

 だって汚しちゃったら弁償するのが大変でしょう?

 だから読みたい本があったら図書館に行くんだけど、図書館もあまりみんな行かないかな。

 難しい本ばっかりで読みたい本が無いんだもん。

 だから平民は本なんて基本読まないんだよね。


 でもこれは別!

 そうだ、パン屋さんなら友達の家だから置いてもらえるかもしれない。あと花屋さんにも友達がいるから聞いてみようか?」


「なるほど……パン屋さんとお花屋さんはいいわね。でも汚れるのを嫌がって置いてくれないかもしれないのね……そうだ、見本に1冊ご自由にお読みくださいって物を用意して、残りの商品用の本は1冊ずつ紙に包んでいたら汚れないし、プレゼントっぽい感じで良くないかしら?

 そう言えばこの国の認字率はどうなってるの?」


「それはいいと思うけど、みんなにタダで読ませていいの?すぐ汚れちゃうよ?それに紙で包むなんて贅沢過ぎじゃない?


 あと、この国では6~10歳の間に2年ほど近くの教会で文字と歴史と算数を習うの。

 そこで算数の成績が良かったら、さらに2年習えて、そこでも成績が良かったら13歳から貴族が通う学校に特待生として入れて、成績優秀だったら卒業後にはいい所で働けるんだよ。


 10歳になったら魔力の適正テストもあって、魔力が高い子も学園に入れるの。王宮魔術師や魔術騎士団にだってなれるんだよ。適正次第で色々な職もあるんだ。

 でも私はこれだけ。こうやって少し物を動かせるだけだから、特にいい就職先も無くて、家の手伝いをしてるんだ~」


 アリスちゃんはそう言って、布を貼り終えた表紙をフワッと浮かせて乾かすための作業台へ移動としました。

 え?平民でそれだけ魔力があるって凄くない?ハルマン王国ではチェーチル王国と比べて平均的な魔力が高いのでしょうか?

 おじ様達としか接してなかったので知りませんでした。

 この国に来るならもう少しこの国の事を勉強する必要がありますね。

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