さすがはプロです
まず始めに絵本から見て頂く事にしました。
1冊しか無いので、回し読みするのも時間がかかるし、少し恥ずかしいですが紙芝居のようにして私が読むことにしました。
読み終わったあと、やはり女性二人はすごく感動して手に取って二人で感想を言い合いながら読んでくださっています。
男性陣の反応もよく、きっとこれなら売れると太鼓判を頂きました。
予定通り後日印刷屋さんに紹介してくれるそうです。
販売方法はおじ様とチャールズ様とで色々話し合って決めてくださるそうです。
そしてここからが本題です。
未だに絵本を手に二人で話し込まれているおば様とクラリス様の前に、プリザーブドフラワーとリボンで飾り、ヒールを5cmほど高くして華奢にしたガラスの靴を差し出してみました。
二人はあんぐり口を開けて固まっています。
始めに反応したのは以外にもブライアン様でした。
「これは……さっきのお伽噺に出てたガラスの靴だね!これは本物のガラスで出来てるのか?こんな繊細なガラスは初めて見た!どうやって作ってるんだ?」
掴みは上々のようです。やはりこの繊細なレースの部分が気になっているようですね。こんな技術、見たことありませんもんね。ふふふ、うちのハンナは凄いでしょう!
「ガラスの靴!お母様、本物のガラスの靴だわ!
何て綺麗なのかしら?ブライアン、私このガラスの靴が欲しいわ!買ってもいいかしら!?」
「確かに、これはすごい技術だな。しかし、このお伽噺を知らなければ価値が無い物でもあるな。ふむ、ベラの言う通り少し時間はかかるが先に絵本から売って行こう。
絵本が広まった頃には、これは大人気商品間違い無しだな」
クラリスお姉様にダニエルおじ様の評価も高いようでホッとしました。
ここで平民用のシンプルなデザインの物も出してみます。
「おじ様、こちらは平民向けに金額を抑えた物になっています。どう思われますか?材料の原価から計算して、だいたい10万円(分かりやすく日本の価値観で設定してます)位での販売予定なんですけど……」
おじ様はガラスの靴を手に取り渋い表情で答えました。
「それは少し高いな。3万くらいまでなら平民でもそこそこ売れるが、10万まで行くと中々手を出し辛い。特に絵本として売り出すならターゲットは幼い子供も含まれるだろう?
子供のおねだりに10万出す親はまずいないよ」
なるほど、確かにそうですね。
私も日本人だった頃、10万円の商品なんてとてもじゃないけど手が出ませんでした。
頑張れば買えたんでしょうけど、そこまでして欲しいかと言われたら否で……でも3万だったら確かに高いけど自分へのご褒美とか、恋人へのプレゼントに買った事があります。
何だかんだ言ってもやはり私も貴族の娘ですね。その辺の価値観を思い出させてくれた、おじ様に感謝です。
でもこれ以上安く売るのは原価割れしてしまいます。
どうしたらいいのでしょう?
「これ、もっと小さくしたらどうかな?本物の靴のサイズじゃなくても、掌サイズで花も薔薇を1輪でいいんじゃない?」
チャールズ様、ナイスアイデアです!確かにデザインがシンプルな分、小さい方が逆に可愛いかもしれませんね!
それなら3万円で出来そうです!
「あと貴族向けの商品を少し上乗せして売ればいいんじゃないか?出せるところから貰えばいい」
ブライアン様……中々腹黒いですね。でもその考え、嫌いじゃないです!
「そうだな、貴族向けはこのクオリティだと30万って所だな。貴族は平民と差をつけた方がよく売れるんだよ。覚えておくといい」
なるほど、さすがおじ様です!勉強になりますね。
やはり貴族には貴族のステイタスがあると言うことでしょうか?実は原価はさほど変わらないので、貴族の方からそれだけ取って貰えるとウハウハです。ふふふ




