珍客
男爵家兄妹も少しずつ生活が落ち着いて来た金曜日の午後、月曜の朝王都へ手続きに向かった一番上のお兄ちゃんが帰ってきました……何故かマークさんとエマさん夫妻にちょっと怪しげな魔法騎士団の方を連れて……
えっと~、とりあえず男爵家から離籍して兄妹みんな平民になる手続きは終了したんですね。
ついでにサイラスおじ様が、兄妹はブロウ子爵領にいるように誤魔化す手続きまでしてくれたんですね!それはよかったですね。これで安心ですね。
「それでえっと、マークさんとエマさんお久しぶりです。ご旅行ですか?」
「実はね~、お店もテイラーちゃん達がいるからそんなにすることも無くなったでしょう?
それでいつか暖かい土地でのんびり老後を暮らしましょうと主人と話してたんですよ。公爵様達の話では街も出来てずいぶん住みやすい所になったって言うでしょう?
だから騎士募集に思いきって応募させて来ちゃいました。うふふ
暇なんで私も何か仕事がありますか?」
な、なるほど。確かに騎士を募集するって言っていましたね……それでマークさんが騎士の一人になってくれると言うことですね。
若い騎士ばかりだったので、ベテランのマークさんがいてくれると安心ですね。
エマさんはどうしましょう……せっかくの販売スキルがあるので、工場勤務は勿体無いですよね。
う~ん、そう言えば石鹸工場は出来たけど、販売するお店が無いんで石鹸屋さんをして貰おうかな。シャンプーやリンス、化粧品なんかもいずれは置く予定なので、通り沿いがいいですよね。
騎士団の目の前が空いていますけど、さすがに休日も休まらないかな?デパートの隣の空き店舗に入って貰いましょう。
あ、でも2階が物置や休憩室で、3階が家になるけど大丈夫かな?階段がキツいって言ってましたよね……
2軒先の広場の前だったら、まだ建てて無いので好きに作れますけど、どうしますか?
やっぱり3階まで毎日上るのはキツいから家は2階がいい?ですよね。わかりました、では2人暮らしなので子供部屋も要らないし、2階にちょっとした物置部屋だけ作って2階建てにしましょう!
工場もすぐだし、そんなにストックを置く必要もないですしね。
そうと決まれば影君達に建設作業に入って貰いましょう。とりあえず出来るまではお屋敷に住んでください。
マークさんは明日から働いてくれるそうで、騎士団に挨拶に行きました。まぁ同じ公爵家で働いていた仲間なので、普通に顔見知りだそうです。
さて……どうしましょうこの見るからに怪しいローブの人……ちょっと顔を見せて欲しいんですけど……と言うか暑くないですか?
魔法騎士団なだけあって、普通の騎士と違って線が細い様です。オーラは半端無いですけどね……何しに来たんでしょうか?街の護衛騎士団に入ってくれると言うことでしょうか?
えっと~、マークさん何でこの人置いていったんですか?この空気どうすれば……
「フィリスです。よろしくお願いします。
団長に何としても元男爵家兄弟を連れて来いと言われて……連れて帰るまで戻れないので、永遠にお世話になるかもしれません……とりあえず騎士団はちょっと合わないと思うので……どこか別の場所にいたいのですが……」
線が細いと思ったら女性だったんですね!と言うかやる気無さすぎじゃないですか!?連れて帰る気ゼロじゃないですか!
まぁ、あの兄弟は一筋縄じゃ行きませんもんね……
確かにあの脳筋しかいない護衛騎士団の中に入れと言うのも酷ですね……この人本当にどうしよう……




