いよいよ休暇の始まりです
あれから私が描いたシンデレラの見本を元に、無事木版も完成し、紙も用意したので後はハルマン王国で印刷、製本してもらい販売するだけです。
手紙で聞いたところ、繋がりのあるいい印刷屋さんを紹介してもらえたので、到着したらさっそくおじ様と一緒に訪ねる予定です。
さすがに滞在中に完成は間に合わないと思うので、販売の方はおじ様に任せる事になります。お世話になりっぱなしで申し訳ないです。
あと、おじ様から貴族向けに皮の表紙を使った少し高級なものを作ったらどうかと言われたのでお願いしました。
絵本は前段階で、本番はガラスの靴とプリザーブドフラワーなので、とにかく少しでも多くの人にシンデレラを知ってもらうために、各地の図書館や孤児院などにも寄付する予定です。
さて、隣国であるハルマン王国への移動手段ですが、実は馬車に何日も揺られるわけではありません。
馬車で行くのは行くんですが、なんと同盟国同士なら転移魔方陣が各国の王都へ繋がっているのです!
どこでも門って感じでしょうか。
もちろん出入り自由な訳ではありません。
飛行機に乗る時ほど厳しくはありませんが、きちんと身分証の提示に荷物検査もされ、通行料もそこそこかかります。
でも、何日もかけて宿に泊まりながら行くと思うと安いものです。
手紙や小包なんかも各国でまとめて郵送されるので、結構早くやり取りできるんですよね。
ただ、いつもお世話になっている子爵家は王都から少し距離があるので、一泊二日の馬車の旅になります。
ふう、毎回お尻が痛くて仕方ないんですよね。そろそろゴムを開発しなきゃですね。
ゴムを開発したら、まず馬車の車輪にパンツも欲しいですね。前世日本人の私に、紐パンは辛いのです。
あと髪ゴムも欲しいですね。あ、靴の底にも付けたいです!皮なので滑るしすぐ削れるんですよ!
おじ様にゴムの木を植える場所があるか確認しなきゃです!靴底は絶対欲しいので、プレゼン頑張ります。
ハンナには今回靴の他にドーム型の物や林檎型、カボチャの馬車を作ってもらいました。
靴とドームは凝ったデザインとシンプルなデザインの2種類を用意してみました。
シンプルなドームも可愛いですが、貴族用は持ち手部分を天使の上半身にして、ドーム部分をスカートに見立てたデザインです。裾に2段の繊細なレースを付けたので、凄く可愛いんですよ。
ちなみに天使のモデルはアマリリスです。
中に赤い花束を入れると、まさにアマリリスみたいで可愛いんです。
どう言う販売方法にするかは、到着後おじ様とじっくり話し合いたいと思います。
ハルマン王国で商売をしているおじ様なら、きっと色々な販売ルートを持ってるので、最善策を考えてくれると思います。
想像以上の出来なので、きっとハルマン王国で流行ってくれると思うのですが……
ガラスの元になる物も用意してくれてるらしいので、滞在中にいくつか販売用の商品を製作したいと思います。
出来れば2年後にはこちらに来たいので、この滞在中に出来ることは全てやっとかないと……おじ様はそこまで頑張らなくても子爵家に住めばいいと言ってくださいますが、さすがにそこまで甘えるわけにはいきません。
子爵家もいずれご子息のチャールズ様が結婚して継ぐわけですし、親戚が居座っていたらお嫁さんにも迷惑です。
それに商品開発が楽し過ぎて、いずれ自分の店とアトリエを持ちたいと強く願うようになりました。
自分が開発した商品を、目の前でお客様が喜んで買っていってくれるなんて……素敵ですよね。
目指せ一国一城の主です!




